2018年2月18日(日)
トップ > 特集 > コラム > 記事

ウナギ瀬戸際 それでも食卓へ
写真は語る

(1/2ページ)
2013/7/16 3:30
保存
共有
印刷
その他

 国際自然保護連合は今月、ニホンウナギを絶滅危惧種に指定するか検討に入った。国際取引を規制するワシントン条約の議論にも影響する。日本では今、海外種の輸入や完全養殖事業化の動きが進む。我々はどこまでウナギを消費し続けるのだろうか。

インドネシアでビカーラ種と呼ばれるウナギの養殖と加工を手がける「インダスト」。現地の工場で作ったかば焼きを従業員が見せてくれた。かば焼きは年間90トン生産している(7月、ジャワ島西部)

インドネシアでビカーラ種と呼ばれるウナギの養殖と加工を手がける「インダスト」。現地の工場で作ったかば焼きを従業員が見せてくれた。かば焼きは年間90トン生産している(7月、ジャワ島西部)

 「近い将来、スーパーの店頭からニホンウナギが消えるかもしれない」。今年、ウナギ業界の関係者からこんな声を聞くようになった。

 ウナギ自体が消えるというわけではない。資源が枯渇し、相場が高騰しているニホンウナギに代わる新顔が、量販店での「お手ごろなウナギ」の主流になる可能性があるというのだ。

 筆頭候補は東南アジアに生息するビカーラ種。既に大手スーパーの店頭にも登場している。ニホンウナギに比べると体長が短く、皮が厚いが、かば焼きになると簡単には見分けがつかない。価格は1尾千円以下。ニホンウナギより500円以上安い。

 7月22日は需要のピークの土用の丑(うし)。インドネシアでビカーラ種の養殖・加工を手がけるインダスト(熊本県玉名市)の中川勝也社長は「引き合いは強い。色々な取引先からあるだけすべて欲しいと言われる」と話す。

 ビカーラ種の養殖・加工はインドネシア以外に、日本や中国でも始まっている。混乱を避けるため、水産庁は5月、ニホンウナギを原料にした国産かば焼き製品には「ニホンウナギ」と明記するよう通達を出した。

 暑さの盛りの土用の丑にウナギを食べる慣習は商売上の戦略から始まった。ウナギ屋の店主から客足が落ちる夏の集客策を請われた江戸時代の知識人・平賀源内は、丑の日にウのつくウナギを食べる夏バテ対策を提案したといわれる。元来、ウナギの旬は冬眠に向けてエサを食べ込む秋だったのだ。

養殖池からあげたビカーラ種のウナギをバケツに入れて運ぶ従業員。同社はインドネシア政府と協力して、水産資源を管理する法整備を目指している

養殖池からあげたビカーラ種のウナギをバケツに入れて運ぶ従業員。同社はインドネシア政府と協力して、水産資源を管理する法整備を目指している

従業員が集まって大きさごとに仕分けする。バケツから流し込まれたウナギを素手で触って格闘しているようだ。小さなウナギは養殖池に戻して、適度な大きさになるまで飼育する

従業員が集まって大きさごとに仕分けする。バケツから流し込まれたウナギを素手で触って格闘しているようだ。小さなウナギは養殖池に戻して、適度な大きさになるまで飼育する

ウナギの白焼きを作る工場のライン。機械は日本から中古品を持ち込んでいる。工程を示す看板にはローマ字で「HONENUKI(骨抜き)」と「SHIRAYAKI(白焼き)」と書かれていた

ウナギの白焼きを作る工場のライン。機械は日本から中古品を持ち込んでいる。工程を示す看板にはローマ字で「HONENUKI(骨抜き)」と「SHIRAYAKI(白焼き)」と書かれていた

「高値で売れるんだよ」。ジャワ島西部の海岸で漁をする男性は、小魚に交じっていたシラスウナギを喜びながら手のひらに載せた。1匹あたり5円程度で取引されているという

「高値で売れるんだよ」。ジャワ島西部の海岸で漁をする男性は、小魚に交じっていたシラスウナギを喜びながら手のひらに載せた。1匹あたり5円程度で取引されているという

浜松市の昭栄商会は冷凍されたアフリカのマダガスカル産ウナギ「アンギラ・モザンビカ種」の輸入、販売を手がけている。「海外種の中では一番、ニホンウナギに味と食感が似ている」と同社の担当者は自信をのぞかせる。市内での普及に努めながら、シラスを日本でも育てようと模索している(浜松市)

浜松市の昭栄商会は冷凍されたアフリカのマダガスカル産ウナギ「アンギラ・モザンビカ種」の輸入、販売を手がけている。「海外種の中では一番、ニホンウナギに味と食感が似ている」と同社の担当者は自信をのぞかせる。市内での普及に努めながら、シラスを日本でも育てようと模索している(浜松市)

 

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ

電子版トップ特集トップ


日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報