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エージシュート、メジャーV…快挙に沸くシニア

編集委員 吉良幸雄

66歳の「ジャンボ」尾崎将司のエージシュートに58歳の中嶋常幸のレギュラーツアーでの優勝争い、51歳の井戸木鴻樹のシニアメジャー制覇――。今季のゴルフ界では、シニア選手の活躍がスポーツニュースをにぎわしている。

66歳ジャンボ、軽々とエージシュート

シーズン序盤、4月のつるやオープン(兵庫・山の原GC)で度肝を抜いたのがプロ通算112勝(ツアー94勝)の尾崎将だ。初日に9アンダー、コース記録に並ぶ「62」をマーク。年齢以下で回るエージシュートを軽々と達成した。国内レギュラーツアーでは史上初の快挙だった。

「アイアンさえ良ければすごいスコアが出る予感があった」。加齢による視力低下などで、衰えも目についたパットもさえ、1イーグル、9バーディー(2ボギー)を奪ってみせた。

初日首位発進は9年ぶり。第2ラウンドで72とスコアを落としたが4位で2011年秋のブリヂストンオープン以来となる予選通過を果たした。決勝ラウンドでは疲労困憊(こんぱい)、72、76と次第に崩れ結局2アンダーの51位にとどまった。

優勝は、史上最年長V(55歳8カ月)を果たした02年全日空オープンが最後。長年腰痛に悩まされ、試合中も戦国時代の大将が床几(しょうぎ)に座るように、携帯用のいすに度々腰を下ろす。寄る年波で快進撃は4日間続かなかったとはいえ、全盛期を思わせる豪快なジャンボのプレーに、老いも若きも大いに刺激を受けた。

井戸木、初出場で全米プロシニアV

5月下旬、誰もがびっくり仰天の朗報が海外から飛び込んできた。全米プロシニア選手権(セントルイス・ベルリーブCC)で、初出場の井戸木が優勝したのだ。日本人選手のメジャー制覇は、1977年全米女子プロの樋口久子以来。米シニア優勝は青木功に続き2人目である。167センチの小兵が「世界のアオキ」でもかなわなかったシニアメジャー制覇を成し遂げた。

かつて欧州シニアツアーで賞金王に輝いた海老原清治は「すごいこと。金メダルだ」と手放しでたたえた。同大会に出場していた高見和宏は「(井戸木が)記者会見で『米国はファーストタイム(初めて)でんがな』としゃべっていたのが印象深い」と笑う。

レギュラーツアーでは90年関西プロ、93年NST新潟オープンの2勝しかしていない。だが悪戦苦闘しながらもずっと奮戦してきたことで試合勘は衰えず、シニアでは飛距離のハンディがほとんどなくなったことが"大化け"につながった。実質シニア1年目の昨季は、正確なショットを武器に日本シニアオープン(10月、東名古屋CC)で2位に。1打差で涙をのんだが、翌週の最終戦、富士フイルムシニア(ザ・カントリークラブ・ジャパン)で初日から首位を走りシニア初優勝を飾った。

国内ではシニア新記録の61マーク

「関西のドン」杉原輝雄さん(故人)の影響を受け、5、6年前から使っている47インチの長尺ドライバーで「260ヤードくらいは行っている。数年前より20ヤード伸びた」と井戸木。レギュラーツアーでは、「若い子に勝つにはパットを入れなきゃいけない」と自らに余計なプレッシャーをかけ、3パットも多かったそうだが、シニアでは「外してもまたチャンスが来る」とゆったり構えられるようになったという。

6月のスターツ・シニア(茨城・スターツ笠間GC)初日には、シニア新記録となる11アンダー、61の快スコアをマークした。2番のチップインイーグルを口火に、9バーディーを奪取。3、4メートルの入れごろ外しごろのパットを簡単に決め、同組の中嶋に「メジャーチャンピオンは違うね」と言わせた。

ただ井戸木は2日目、最終日とスコアを伸ばせず結局通算11アンダーの10位にとどまった。最終日にボギーなしの8バーディー、64で回り、「宿敵」室田淳とのマッチレースを制して通算18アンダーで逆転優勝を飾ったのが中嶋である。

58歳の中嶋、シニアで5年ぶり優勝

中嶋のシニア優勝は2008年の日本シニアオープン以来、5年ぶり5勝目。同週に開催された全米オープンを毎日テレビ観戦し、刺激を受けたそうだ。過去のシニア優勝はシニアオープン3勝、日本プロシニア1勝で、スポンサー大会の優勝は初めて。「今年はゴルフの手応えはずいぶんある。やってやろうという気持ちになる」と胸を張った。

中嶋はその2週前のレギュラーツアー、ダイヤモンドカップ(茨城・大洗GC)で、37歳も年下の松山英樹と優勝争いをしている。第3日に1イーグル、5バーディー、1ボギーの6アンダー、66をマーク。前日16位から一気に松山と並び首位に浮上したのだ。難コースで有名な大洗での「66」は尾崎将の「62」に決してひけを取らない快スコアといえよう。

レギュラーツアーでも最終日V争い

最終日の8番で単独首位に立ったが後半失速、6位に終わったが、ツアーで06年三井住友VISA太平洋マスターズ以来となる優勝、史上最年長Vを狙える底力を存分に示した。

2年前に95キロあった体重を83キロまで落とし、体に切れが戻ってきた。「メタボ(リック症候群)だったからね。(好物の)アイスクリームは週に2回。夕食は夕方5時までにすませる」。3年前にスキー合宿先の青森で交通事故に遭い右足に全治2カ月の重傷を負った。減量で右膝への負担を減らすとともに、月に2回、膝にヒアルロン酸注射を打っている。

長持ちの秘訣について「体をケアして疲れを残さない。マッサージは朝20~30分、ラウンド後は1時間」。トーナメント会場に簡易ベッドを持ち込みトレーナーにマッサージをしてもらうことも。スターツ・シニア優勝後は、連戦の疲労を和らげるため、帰宅前に会場で体をほぐしケアに努めていた。

室田もシニア、レギュラーで活躍

中嶋より1歳下の57歳、元シニア賞金王の室田淳も元気だ。6月のKYORAKUカップ(三重・涼仙GC)で優勝し、シニア通算9勝目を挙げた。レギュラーツアーでも今季は7試合に出て、予選落ちはわずか1回。開幕戦の東建ホームメイトカップ(三重・東建多度CC名古屋)では最終日を3位で迎えた(結果は20位)。

レギュラーツアーは7月から8月にかけて6週間試合がなく「夏休み」に入る。英気を養ったシニアの猛者たちが後半戦にどんな活躍を見せてくれるか、楽しみである。

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