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サハラと九十九里を結んだ砂浜レース仕掛け人

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2013/6/23 7:00
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 7日間で計250キロ、炎熱の砂漠を走るサハラマラソン(モロッコ)は「世界一過酷なレース」ともいわれている。大会に参加し、完走した人は日本人にもいるが「日本でも砂の上を走ろう」と思い立ち、大会を作った人はほかにいないのではないか。松永寿雄さん(65)。人にそこまで深入りさせる砂漠のレースの魔力とは……。

浜マラソン(千葉県)の着想の元となったサハラマラソン。なぜわざわざ砂の上を走るのか

浜マラソン(千葉県)の着想の元となったサハラマラソン。なぜわざわざ砂の上を走るのか

 6月2日、千葉県の九十九里浜に、北は北海道から南は佐賀県までのランナー425人が集った。本須賀海岸(山武市)から作田海岸(九十九里町)の間を行って帰ってくるコースで、10キロ、20キロ、40キロの男女個人レースと、駅伝部門が設けられた。

■単調なコースのなかで自分と向き合う

 松永さんが中心となって2010年から始め、今年4回目を迎えた「浜マラソン in 九十九里」。スタートの号砲が鳴ったあとのコースには、砂と海と風の音があるばかり。まっすぐ伸びた波打ち際のコースは単調きわまりなく、風景は変わらない。折り返し地点を境に、太平洋が右に見えるか左にみえるか、風下になるか風上になるかが反転するだけだ。波に洗われて締まった浜は結構硬く、走りにくくはない。しかし、目標物がないためスピード感がつかみにくい。ゴール前の数百メートルでランナーは浜マラソンの本領をみる。波が及ばず、ふかふかになったままの砂の層は蹴るそばから崩れ、前に進まない。

千葉県の九十九里浜で行われた浜マラソン。寄せては返す波が、単調な浜辺のレースにアクセントをつける(6月2日)

千葉県の九十九里浜で行われた浜マラソン。寄せては返す波が、単調な浜辺のレースにアクセントをつける(6月2日)

 近代日本文学の代表作の一つとされる「砂の女」(安部公房)は蟻地獄のような砂の館にとらわれた男の姿から人間という存在を突き詰めたが、砂という物質自体の酷薄さも印象に残る作品だった。

 もがいても空転するばかりの浜マラソンのラストは、小説に描かれた砂の世界の無慈悲さをしのばせるようだ。

 東京でPR会社を経営する松永さんがサハラと出合ったのは1991年。大会に出るというランニング好きの社員に付き添って、見物に出かけたのがきっかけだった。主催したフランス人に以後の大会を手伝うよう頼まれて、日本側の窓口となり、参加者の募集などにあたってきた。

■サハラのレースに引き込まれ

2011年のサハラマラソンに参加した松永さんのいでたち

2011年のサハラマラソンに参加した松永さんのいでたち

 旅行者、あるいは事務方としてレースに関わりながらでも、道なき道をゆくレースのおもしろさはわかったつもりでいた。日本で大会を開こうとも決めていた。

 しかし、サハラのレースの魅力を本当に知ったのは「そろそろ自分でも走ってみたら」と周囲に促されて大会に出たときだった。

 11年4月。サハラの砂の壁を前に、松永さんはあえいでいた。全長250.7キロ、7日間、計6ステージにわたるレースのなかでももっともしんどい、82キロを一昼夜かけて走るステージの途中だった。

 道もなく、目標物もない砂漠のレースではコンパスが必需品。そのコンパスを松永さんはどこかで落としてしまっていた。おまけに背中に痛みが走る。救援の医療班を呼び、リタイアしよう。いよいよ自分の位置を知らせるための打ち上げ花火とスティックライトの出番かなと覚悟したとき、同道していたイギリス人から声がかかった。

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