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オン・ザ・グリーン 森田2勝、表も復活V 女子で「チーム岡本」快進撃

ゴルフライター 月橋文美

梅雨空の下でも、大いに盛り上がりを見せている国内女子ツアー。5月下旬から特に目立つのが、岡本綾子門下生による「チーム岡本」の活躍だ。森田理香子が5月26日閉幕の中京テレビ・ブリヂストン・レディースで今季2勝目を挙げると、続くリゾートトラスト・レディースでは4位タイまでに4選手が顔をそろえた。6月9日閉幕のヨネックス・レディースでは門下生最年長、39歳の表純子が7年327日ぶりの優勝を果たした。

8年ぶり優勝、妹弟子らと涙の抱擁

ヨネックス・レディース最終日。2005年7月のスタンレー・レディース以来のツアー通算3勝目を飾った表を、はるか年下の妹弟子たちが全員で待ち構えて祝福した。青山加織、服部真夕、若林舞衣子、森田。たびたび「チーム」の食事や練習ラウンドに加わる井芹美保子、一ノ瀬優希、福田裕子、向山唯ら準メンバーともいえる仲間も加わり、順番に涙の抱擁が続いた。

チームの世話焼き役でもある夫の広樹さんが表と並び、フラワーシャワーを浴びた光景は、まるで2人の新たな門出を祝う結婚式のように華やかで晴れ晴れしかった。

「本当に苦しかったけど、ゴルフをやっててよかったなと思いました。米山みどり、古閑美保と自分より年下の選手が『優勝できなくなった』と引退していくことにすごくショックを受けていた。私はゴルフを続けていていいのかなと思ったし、『まだやってるの』などと誰かに言われてるんじゃないかと疑心暗鬼にもなった。でも、綾子さんに『45歳までは頑張れ。私が米ツアーの賞金女王になったのは36歳。まだ老け込む年じゃないよ』って言われて。その言葉を支えにやってきました」と表。

20代伸び盛りばかりの環境から刺激

自分以外の4人はすべて20代の伸び盛り、そんなチーム環境も刺激にした。プロ18年目の今季は開幕前から「一番いい仕上がりなのは表。そのスイングができていれば大丈夫。自信を持ってやりなさい」と、岡本師匠からお墨付きを得ていた。ゴルフを始める前は広島商高のバスケットボール部で活躍。当時のハードトレーニングで身につけた基礎体力と、毎年タイ合宿で行う走り込みで、体の故障もなく元気だ。

「今年の新しいボールもよくて、ドライバーショットは平均15ヤードぐらい(遠くに)飛んでいる。服部や森田と練習ラウンドしても私の打球の方が先に行っているホールもあって、まだまだイケるんじゃないかと自信が出てきています。後輩たちのお尻をペシペシたたいて、頑張れ頑張れと言いながら、自分も頑張りたい。負けず嫌いなんで、負けたくないです」

森田復調、賞金ランクトップを快走

ヨネックス・レディースで2位となったのは、最終日65の猛攻で追い上げた森田。服部も5位に入った。その前週のリゾートトラスト・レディースでは、優勝者こそ出せなかったものの2位に服部、3位に森田、4位タイに表と若林。5人の門下生中4人がベスト4フィニッシュと大奮闘だった。最近の「チーム岡本」の強さ、勢いには目を見張るものがある。

開幕戦Vから4月にやや調子を落とした感もあった森田は、5月の公式戦・ワールドレディース・サロンパスカップでの優勝争いを機に復調。中京テレビ・ブリヂストン・レディースで今季2勝目を手にし、賞金ランキングでトップを快走中だ。今季前半戦の第1目標だった全英リコー女子オープン(8月1~4日、セントアンドルーズ・オールドC)出場権も早々に確定した。

「やるからにはやらなきゃ」女王狙う

「所属先(リコー)の大会だし、聖地セントアンドルーズでの開催。どうしても出たいんです。それには6月の中旬までに賞金ランキング5位以内にいなきゃいけない。辞退者が出て、出場資格が繰り下がってきて出るんじゃダメなんです。それに去年の自分ではまだ早いと思っていたけど、今年の自分はもう全英に行ってもいいんじゃないかと。賞金女王も、やるからにはやらなきゃいけないと思ってます。岡本さんからの課題をクリアしていけば夢じゃないと思うし。死にものぐるいでやっていきます」と語ったのは開幕戦の週のことだった。

「戦うからには一番になりたい。岡本さんに近づきたい。岡本さんに認めてもらうにはまだまだ時間がかかる。一日一日を大事にって言われてます」と、日々の努力を怠らない。

岡本門下生の今季成績
森田服部若林青山
ダイキンオーキッド優勝3位予落予落予落
ヨコハマタイヤ・プロギア3位予落予落39位予落
Tポイント2位35位23位9位予落
アクサin宮崎3位予落33位33位予落
ヤマハ葛城6位40位13位40位60位
スタジオアリス15位19位6位予落33位
KKT杯バンテリン26位9位45位21位26位
フジサンケイ予落4位26位23位予落
サイバーエージェント14位予落18位2位27位
ワールド・サロンパス杯3位12位12位38位予落
ほけんの窓口33位42位16位2位予落
中京テレビ・ブリヂストン優勝予落19位36位予落
リゾートトラスト3位4位2位4位52位
ヨネックス2位優勝5位36位21位

服部は今季やや出遅れた感があったが、ようやく本来の力を発揮しはじめた。リゾートトラスト・レディースでは、首位と3打差7位からスタートした最終日に5バーディー、1ボギーの追い上げ。1打差のV逸に「久しぶりの優勝争いでこういう結果だったので悔しさはあるけど、次につながる試合になったと思う」。このところの課題だったウェッジショットにさえが戻りつつあり、「そこに自信が出てきたのはスコアにつながっていくと思う」と手ごたえを語っている。

予選落ちの服部、師匠と草むしり

門下では今季、師弟の約束事がある。予選落ちしたら、東広島(岡本の自宅)で草むしりすることだ。すでに5人全員に予選落ちがあるが、この"おきて"を実行したのは服部ただ一人。4月のスタジオアリス女子オープンでのV争いに敗れた翌日、岡本師匠と2人でほとんど会話もなく黙々と数時間の草むしりを行った。その後、久しぶりにマンツーマンでショートゲーム中心の指導を受けたという。

「森田さんと比較されれば今年はまったくって思われるかもしれないけど、私は私なりに考え工夫しながら自分のペースでやってます。それがいつか結果につながると信じています」

好調な森田を引き合いに出しての質問にうんざりしていた時期もあったように思う。しかし、師匠と2人だけの静かな時間が、自身の見つめるべきもの、進む道を再確認させてくれたのではないか。もともとスロースターターの服部だけに、調子が上がってきたこれからが楽しみだ。

今季序盤戦、門下で唯一苦しんでいるのは青山。ここまで14試合で予選通過が6回と低迷が続いている。だが、ヨネックス・レディースでは最終日に70で回り、前日の40位から今季自己ベストの21位まで順位を上げてフィニッシュした。門下の長女・表にもっとも世話になってきた次女。7月4日に28歳の誕生日を迎える、いわゆる「宮里藍&横峯さくら世代」の一人だが、表の優勝に刺激を受けた今後が期待される。

スイング改造が実りつつある若林

昨年は賞金シード落ちの悔しさを味わい、今季は最終予選会(QT)9位の資格で参戦。「久しぶりにQTに行って、この4日間がダメだったら来年はないという緊張感の中で回ったのは、ある意味新鮮だった。自分が忘れかけていたことを思い出せた気がします」と話していた。それだけに、順調にいかなかった序盤戦を新たなバネにして、シード復帰と念願のツアー初優勝を手にしてほしい。

一昨年終盤に門をたたき、岡本の5人目の弟子となった若林は「最近、いろいろな人にスイング良くなったね、て言われるんです。すごくうれしい」と、長期スパンで取り組んでいるスイング改造の成果を語る。森田らの大活躍に「私も頑張らなくちゃ、と焦りもある。でも焦りは禁物と葛藤しながらやってます」と、本音も隠さない。

サイバーエージェント・レディース、ほけんの窓口レディースと今季は2位が2度ある。「時間はかかるよ。焦らないこと。焦りは禁物よ」と岡本に言われながら続けてきた努力が、ツアー3勝目に結びつく日も近いのではないか。

「優勝者を多数輩出」協会から特別賞

昨年末のLPGA(日本女子プロゴルフ協会)アワード表彰式で「若手育成の結果、今季優勝者を多数輩出した功績」により、特別賞を受けた岡本が、壇上で短いスピーチをした。

「私が彼女たちを選んだのではなく、若い彼女たちが私を選んでくれたからいただけた賞。みんな、ありがとう」

そんな謙虚な師匠に胸を打たれた門下生たち。叱咤(しった)されつつ、快進撃はまだまだ続きそうだ。

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