2019年7月20日(土)

ソニーに「クレイジー」な文化を 研究所から変える
設立25周年、平井新体制で存在感

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2013/5/27 7:00
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 ソニー子会社のソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL、東京・品川)が、「新生ソニー」の中で存在感を高めている。約30人と少数精鋭の組織ながら奇想天外ともいえるテーマなどの研究を25年間に渡り続けてきた。これまでにソニー製品に搭載される無線技術や生産現場で品質チェックを効率化するアルゴリズム(演算手法)を開発。「研究の果実」を現場に落とし込むことで、本社からの期待も高まりつつある。短期間で新しいネットワークサービスを生み出すプロジェクトも成果を出す。23日の研究所公開(オープンハウス)で北野宏明所長に研究所の役割や今後の取り組みなどについて聞くとともに、そこで見た「未来のソニー」を感じさせる斬新なアイデアを紹介する。

ソニーCSLの北野宏明所長

ソニーCSLの北野宏明所長

 ――ソニーCSLの役割や強みは

「『Act Beyond Borders(越境し、行動する)』を標ぼうしている。技術の研究して論文を書いて終わりではない。生み出した技術を世の中に届けるまでが我々の研究スタイルだ。ソニー本体がカバーしている事業領域であれば、当然製品に反映させる。もし対象事業がなければ、自ら起業して新たな会社組織を作るなり、いろいろな方法があっていい。実際AR(拡張現実)や位置情報を開発していた研究員がスピンアウトし独立したクウジット(東京・港)の例もある。副所長の暦本純一氏も経営陣の一人だ。ソニー外の企業と組むという選択肢だってあるだろう」

「空飛ぶカメラ」。自律飛行するヘリを使って「自分の目」に

「空飛ぶカメラ」。自律飛行するヘリを使って「自分の目」に

「基礎研究は、ソニーが本業とする事業領域よりも広い視野で研究を進めなければ研究所の役割は果たせない。事業は時代によって大きくなったり、小さくなったりするからだ。テレビ事業だけを対象に研究していては、需要が小さくなったときに立ち行かなくなる。いずれにせよ自分たちの技術を常に世に問う意味で、ソニーという消費者に製品を届けられるチームの一員として研究できるのはありがたい」

「研究員の採用やテーマを選定する際には、十分にクレージーなテーマであるか、人類の未来に貢献できるよう高みから世の中をみる目を持っているかを見る。また『運のいい』人かどうかも重要だ。同じ事象に直面した場合でも、例えそれが試練や困難だったとしても、その事象を『運がいい』と前向きに捉えることができる」

 ――医療や農業などの研究にも取り組む。着目する分野は

「地球全体の社会問題を根本から解消することが一つ。もう一つは人間のクリエイティビティー(創造性)や身体や脳の能力を拡張し可能性を高める研究だ。さらに最近は、伝染病や経済現象なども研究対象にしている」

「新興国や途上国の経済活動が活発になり、エネルギーや食糧、水など生活の基盤となるものの需給が急速に逼迫してきた。医療一つとってもソニー本体が進出して新規事業にチャレンジしているが、より広い視野でアプローチしなければ根本的な問題解決には至らない。ただ、5年後にはこれをやる、などときっちり決めていくと研究そのものが死んでしまうのでダイナミックにテーマを選んでやっていきたい」

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