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あなたに合う金投資は 自宅に現物、連動証券…

金への投資は地金や金貨を買い、自宅で保管する方法から上場投資信託(ETF)など金融商品に近いものまで幅が広い。金をどう持つかという視点でそれぞれの特徴を押さえれば、自分の志向にあった投資手法を見つける参考になる。

金はどんなに想定外の事態が起きようと、けっして無価値にはならない。世界のどこでも通用する現物資産だ。これが株式や債券、投資信託などとの決定的な違いである。

「金融商品への投資で大きな損失を被った投資家ほど現物志向が強い。実物の金に触れると癒やされると話す投資家もいる」(マーケットアナリストの豊島逸夫氏)

ぴかぴかと光り輝き、けっしてさびない。初めて金の地金を持った人はまず、その重さに驚く。投資家はこうした金の特徴に価値を感じる。金に投資するなら現物で、しかも身近に置きたいと考える投資家が圧倒的に多い理由だ。

盗難対策しっかり

しかし、自宅に現物の金を置けば盗難のリスクがある。有事のための資産を自宅の有事で失っては元も子もない。盗難リスクを軽減するには、外出の際の鍵のかけ忘れをなくす注意などはもちろん、なるべく金庫に入れて保管したい。

「空き巣は10分以内で盗めないとあきらめることが多い」(セコム)。金庫などの製造・販売企業で構成する日本セーフ・ファニチュア協同組合連合会は、どれくらいの時間(分)をかけても金庫を破壊できないかで「15」「30」「60」といった基準を出している。

金庫と防犯サービスを組み合わせる対策もある。セコムは家の大きさや間取りに合わせて防犯サービスを提案しており、3LDKで月6000~7000円が目安だ。そこに同社製の金庫をオンライン接続できる仕組みになっている。

金の保管場所といえば、銀行の貸金庫も定番だ。好きなときに取り出して触ることはあきらめなくてはならないが、自宅に置くより安心感は高い。だが、多くの銀行は支店ごとに貸金庫を管理しており、支店の統廃合で貸金庫の数も減っている。

大手銀行のひとつに聞くと「貸金庫の料金は大きさによって年1万円から15万円前後。近くの支店で直接、空きがあるかどうか聞いてもらうしか方法はない」という。

田中貴金属工業や住友金属鉱山など金を販売する会社で、買った金を預かってもらうサービスもある。ただ、住友の場合は口座を開き、金地金を購入した際に預かってもらえるだけで、すでに所持している金を持ち込むことはできない。

田中貴金属は同社製の地金(100グラム以上で100グラム単位)なら、保有している金も預けることができる。その場合は通常の口座開設料(1050円)、保管料(5キログラムまでだと年5250円)のほかに、持ち込み手数料(1キログラムあたり5250円)がかかる。

所有権で線引き

毎月、一定額を買い付けていく金の積立口座は、一般の投資家にも人気の高い手法だ。実は、金投資はここで大きく色分けされる。現物の金を買った投資家に所有権があるかどうかという線引きだ。

現物を買って自宅や貸金庫に保管したり、販売会社に預かってもらったりする場合、所有権はもちろん投資家にある。だが、純金積み立ての場合は会社によって異なる。

たとえば田中貴金属の主力商品は、所有権が投資家に移る。一方、住友と三菱マテリアルの商品は、所有権は会社にあり、投資家は現物の金の返還請求権を持つ。会社は顧客の金をリース市場などで運用し、運用益を投資家に還元する。

住友の場合は日用雑貨などのカタログ商品で、三菱の場合は満期時に年率0.05%分の金を上乗せする。

ただし、所有権は会社にあるから経営破綻した場合は「投資家の債権が全額保証されるとは限らない」(住友金属鉱山)。

投資家はまさか住友、三菱が経営破綻しないだろうと思えば運用特典が妙味になるし、やっぱり不安だとなれば田中貴金属の商品となる。この違いをじっくり考えてみると、自分の金投資への志向は見えてくる。

ここから先は、現物の金を持つという意味合いより、金独特の価格変動を重視する投資の色合いが濃くなっていく。例外は、投資家が納会時に現物の金(または倉荷証券)で現受けできる東京商品取引所の金先物と、現物を確保するタイプの金ETFだろう。

金融商品に近く

とりわけ三菱UFJ信託銀行のETF「金の果実」は金と交換できる点で現物色が濃い商品だ。代表的な「SPDR(スパイダー)ゴールド・シェア」も現物確保型だが、国内の個人投資家が現物の金と交換することは事実上難しい。

現物を確保しないタイプのETFや、金価格に連動させる証券(ETN)は金融商品と考えた方がいい。債券を発行する企業の信用リスクなど金融市場独特のリスクが顔を出す。

その代わり、金融技術でハイリスク・ハイリターン型の商品にしたり、手数料負担を軽くしたりすることが可能になる。

保管や売買にかかるコストの比較ももちろん、投資手法や販売会社の選択では重要な要素だ。しかし、金の場合はそれぞれのリスクを考えながら現物を持つか、どう持つか、で色分けしてみると自分の志向に合ったものを見つけやすい。(編集委員 志田富雄)

[日本経済新聞朝刊2013年5月15日付]

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