2019年6月18日(火)

「黒田円安」に乗ったFX これから投資するには

(3/3ページ)
2013/5/4 7:00
保存
共有
印刷
その他

低コストもFXのメリット。倍率を1倍にすれば基本的な性格は銀行の外貨預金と同じだが、大手銀行の外貨預金では、ドルの手数料(業者が示す外貨の買値と売値の差)が2円程度のケースがある。FX(ドル・円取引)では1銭以下が珍しくない。

■不透明な「滑り」

FXのコストには注意も必要だ。業者が示していた買値や売値とは異なる水準で取引が成立するケースがあるからだ。高い買値で約定すればコストが上がる。こうした現象が起きるのは、株価などに比べると為替変動ははるかに素早く、発注した瞬間に数銭価格が滑るように動くことがあるため。ただ、相対取引の為替は一物一価といえないうえ、買値が低くなるなど顧客に有利な「滑り」もあるはずで、一概に悪いものと決めつけはできない。

問題は利用者に不利な「滑り」ばかりが起きる業者がある点だ。矢野経済研究所が昨年12月、主要6社(具体的な社名は一部を除き非公表)を調べたところ、ドル・円取引では6社中3社で不利な方向にずれたケースが全体の3分の2以上を占めた。うち1社は比率が100%だった。

顧客に有利なズレを起きにくくして、不利な「滑り」のみを放置しているのではないか。そんな疑問も出てくる。グラフCの通り、顧客に不利な「滑り」が起きやすい業者では「滑り」全体の発生比率(社名の下のカッコ内の数字)が低くなっており、疑惑は一段と深まる。真相は不明だが、業者が示すコストが安くても奇妙な値動きで不利益を被っていると思うなら、そうした業者との取引は控えるのもいいだろう。

今後の為替について「日銀の緩和は長期化し、円売り圧力は簡単に消えそうにない」(植野大作・三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフ為替ストラテジスト)との声が聞かれる。外貨買いへの追い風が引き続き吹くかもしれない。ただ海外景気の悪化などで円高リスクもある。投資するのは余裕資金にとどめ、倍率もあまり上げない堅実な姿勢で臨むのが良さそうだ。

(編集委員 清水功哉)

[日本経済新聞朝刊2013年5月1日付]

  • 前へ
  • 1
  • 2
  • 3
保存
共有
印刷
その他

FXに関する最近の話題

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報