「ホテルで楽しむ優雅な朝食」 東西ベスト10
新年度が始まり、平日はいつも以上に慌ただしい季節。だからこそ休日や旅先での朝は、ホテルでぜいたくな朝食をとり、ゆったりした気分を味わうという楽しみ方がある。宿泊しなくても朝食を楽しめるホテルに限り、東日本と西日本に分けて専門家に評価してもらった。
<東日本>

採れたて地元食材、お重彩る メインダイニング・ラ・ブリーズの「朝餉(げ)のにき菜重」は那須高原の地元の食材をふんだんに使った和食。中でも独自の飼料で育てた鶏が産んだ卵を使う卵かけごはんは、卵の黄身の味が濃くとろりとした口当たりで、深い味わい。
2段のお重の中には自家製豆腐、紅マスなどの焼き魚、南高梅の梅干し、山菜などが整然と並び、箸をつけるのがためらわれるほど。ベビーリーフやニンジンなどの野菜はホテルが無農薬で自家栽培しているもので、使う分をその日の朝に収穫する。「地産地消にこだわった新鮮な食材を味わってほしい」(シェフの富岡良一さん)との思いからだ。朝食のみの利用の場合は事前に予約を。
「美しい森を眺めながら、素材、空気、水の良さをすべて味わえる」(太田康子さん)(1)和食セット(2)3696円
チーズやハチミツ絶品 地上41階にあるレストラン、ジランドールの「ブレックファーストブッフェ」。周囲が白カビで覆われたヤギ乳のチーズ「サン・モール」などが味わえる。
「木製の台に仕込まれたハニーコームからすくってとるハチミツが絶品」(小松めぐみさん)(1)洋食ブッフェ(2)4407円
オムレツの具はお好み 和風庭園に面したテラスレストランの「朝食ブッフェ」。コックが目の前でオムレツを作る。ハムやタマネギなどの具材や焼き加減を好みで注文できる。
「卵料理の扱い方にホテルの格の高さが反映されている」(太田さん)(1)和洋ブッフェ(2)3465円
目の前で卵料理仕上げ 日本で初めてバイキング形式を生み出したといわれるインペリアルバイキングサールの朝食は、コックが目前で仕上げる卵料理や、自家製の約15種類の焼きたてパンやドレッシングに定評がある。
「発酵バターのおいしさは格別」(飯島千恵子さん)(1)和洋ブッフェ(2)3740円
自家製のパンを熱々で グランドキッチンの朝食ブッフェは大釜のオーブンで温め直してくれる自家製パンがおいしい。天井まで6メートルもある開放的な空間も魅力。
「自然の甘みのある野菜ジュース、ソーセージや厚切りハムがおいしい」(小松さん)(1)洋食ブッフェ(2)3850円
カフェレストランスワン「スローフード朝食バイキング青い森の恵み」 青森県産の野菜や果物など約50~60種類のメニューがある。(1)和洋ブッフェ(2)1800円
メインダイニングルーム「アメリカンブレックファスト」 明治創業の歴史を感じさせる室内ではふわふわのオムレツが食べられる。(1)洋食セット(2)2780円
オーシャンテラス「ブレックファストブッフェ」 横浜港を一望しながら焼きたてパンを味わえる。(1)和洋ブッフェ(2)3234円
イル・テアトロ「アメリカン・ブレックファースト」 絞りたてのフレッシュジュースがおいしい。(1)洋食セット(2)3300円
ザ・フジヤ「ケーキブレックファースト」 登録有形文化財のレストランで彫刻などを鑑賞しながら特製のフレンチトーストが食べられる。(1)洋食セット(2)2887円
<西日本>

食感絶妙、甘さ広がる朝がゆ 京懐石料理でもてなす蛍の「朝粥(がゆ)」は創業以来変わらない人気の和食。京都・美山のコシヒカリで作ったおかゆは堅すぎず柔らかすぎず絶妙の食感で、しょうゆベースの少し甘みのある「べっ甲餡(あん)」をかけると味がさらに深まる。
希少な美山産の卵を使っただし巻き卵に、ノルウェー産の脂ののった塩ザケやアサリのみそ汁なども人気だ。先付けや野菜の煮物は季節によって変わる。「煮物、みそ汁、卵、それぞれで使うだしが異なる」(料理長の中島智之さん)というこだわりよう。客の2~3割は京都御所などを散策した後に立ち寄る地元の人たちという。
「一口食べると甘さがじわっと広がるおかゆのおいしさに感動する」(村上実さん)「この朝食を食べたいがために泊まることもある」(牛窪恵さん)
(1)和食セット(2)2887円
南国を感じる品ぞろえ カフェテラスのラ・ティーダで食べる「ブレックファーストブッフェ」。9種類のジュースに、ゴーヤや青パパイアなど沖縄ならではの温野菜が並ぶ。
「海に面したテラス席で食べればすっかりリゾート気分」(小松さん)(1)洋食ブッフェ(2)2541円
ほぐれるクロワッサン フランス料理が基本のカフェ、イグレックの「ヨーロピアン・ブレックファースト」のクロワッサンは、口に入れるとはらはらとほぐれる食感が新しい。
「最上質の果物を使ったジャムもぜひ食べたい」(寺田直子さん)(1)洋食セット(2)5670円
映える日替わりジャム フランス料理のアッシュ・ドールで食べる「ブレックファーストメニュー」は、日替わりのジャムや自家製のミニデニッシュなどが目に美しい。
「海を眺めながら本格的な洋朝食を食べられるぜいたく」(飯島さん)(1)洋食セット(2)3234円
港町の眺めもごちそう 地上30階にあるラウンジ、プレンデトワールで楽しめる洋食と和食の朝食ブッフェ。なかでもパンケーキや卵料理など温かい料理の品ぞろえが豊富だ。
「港町神戸を一望できる景色もごちそうのひとつ」(富本一幸さん)(1)和洋ブッフェ(2)2541円
ザ・グリル「ブッフェブレックファスト」 ハムは一晩かけてローストするなど手間を惜しまない。(1)洋食ブッフェ(2)3234円
スプレンディード「ブレックファーストブッフェ」 卵を使ったエッグベネディクトを食べ、朝からシャンパンが飲める。(1)和洋ブッフェ(2)3955円
浮橋「和朝食」 だし巻き卵は注文を受けた後に巻くため、作りたてを食べられる。ビジネスでの朝食にもお勧め。(1)和食セット(2)2772円
アマデウス「ブレックファストブッフェ」 ドイツ仕込みのレシピで作るハムやソーセージは品数が豊富。(1)洋食ブッフェ(2)3000円
レインボーホール「朝食バイキング」 黒豚や近海でとれる魚介類といった地元の食材を中心に約80種類のメニューを用意した。(1)和洋ブッフェ(2)2100円
表の見方 数字は選者の評価を得点に換算。ホテル名、所在地の都道府県名の順。(1)朝食のタイプ、(2)価格(税、サービス料込み)。すべて宿泊なしで利用可。掲載の料理や配置は季節などに応じて異なることがある。東西2~5位の写真はホテル提供。
食事だけもOK
米ニューヨークの「サラベス」やハワイの「エッグスンシングス」といった朝食を売りにした海外の有名店が相次いで開業し、ちょっとした朝食ブームに沸いている。朝方に勉強会や趣味を楽しむ「朝活」の広まりも、朝食人気を支えているよう。交流を深める機会としても、朝食は注目されつつある。
宿泊はしないが、朝食を目当てに都市部にある高級シティホテルに足を運ぶ人も増えているという。ホテル側も特徴を持たせた素材で作る料理や、コックが客の目の前で好みに応じて調理するといったライブ感に工夫を凝らし、お出かけとして楽しむ人を増やしている。
一方、地方でも、西の10位に入った城山観光ホテルは「利用者の約2割は泊まらない地元の人」といい、その土地の素材が味わえるサービスとして定着しつつある。
価格は決して安くはないが、ホテルで夕食を取ることを思えば、使いやすい。ただし、予約できない店が多いので、時間の余裕はみておこう。
◇ ◇ ◇
調査の方法 全国のホテルに詳しい専門家10人においしい朝食を出すホテル(シティ、リゾート、ビジネスホテルを含む)を推薦してもらい、東日本と西日本に分け、候補リストを作成した。リストから(1)味(2)価格(3)雰囲気の3点を重視して1~10位まで選んでもらった。選者は以下通り。(敬称略、五十音順)
飯島千恵子(ホテル情報サイト「ホテルコンシェルジュ」編集部▽牛窪恵(マーケティングライター)▽太田康子(一休広報PR)▽岡武公士(楽天トラベル社長)▽小松めぐみ(編集者・ライター)▽菅野潔(ホスピタリティマネジメント社長)▽民輪めぐみ(料理王国編集長)▽寺田直子(トラベルジャーナリスト)▽富本一幸(トラベルニュース編集長)▽村上実(オータパブリケイションズ専務)
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