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ガラパゴスからの脱却 五輪はきっかけになるか
ドーム社長 安田秀一 ルールに「従う側」(下)

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2019/12/26 5:30
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1964年の東京五輪。国が威信をかけて多額の国費を投じた=共同

1964年の東京五輪。国が威信をかけて多額の国費を投じた=共同

米スポーツブランド「アンダーアーマー」の日本総代理店、ドームで社長を務める安田秀一氏が前編(「日本のスポーツ界をむしばむ、内向きの論理」)に続き、日本のスポーツ界の問題点を挙げていきます。米国では国から競技団体への金銭的な支援はなく、各団体が知恵を絞って競技の普及を目指すそうです。同氏は1964年東京五輪以降、ずっと税金に頼りっぱなしの日本の状況を改善してほしいと願っています。

◇   ◇   ◇

権威の傘の下にいることが最も重要になり、本質的なものを見失っていく。

こうした社会の問題が起こってしまう背景こそが「村社会」という社会構造です。村の中の秩序は保たれますが、地球上にあまた存在する「他の村」との競争優位性において、決定的な差を生み出してしまいます。他の強い村の侵略を受けたら、それこそ木っ端みじん、信じて従ってきた掟(おきて)はもちろん、文化や生活習慣も変えて生きていかねばなりません。

自分の村は、他の村との相対関係で成立していること。

ここを見落とすと、自分がいる社会の視点でしか価値判断ができないため、自分の従っている常識や風習がおかしいことに気付きません。もちろん、自分たちで「新しいルールを作る」ということなど思いも寄らないはずです。すなわち「自分が従っている掟より強力なルール」が社会には存在しているということが、本来は常識であるべきで、それが故に社会の緊張感となり、切磋琢磨(せっさたくま)と経済成長が生まれ結果として民度の向上などが果実となります。

そんな意味では今の日本は経済問題以外の緊張感が希薄で「ガラパゴス化がどんどん進んでいる」と表現せざるを得ない状況です。「増税ありきの財政悪化」が進行しています。真綿で首を絞められているかのように、ゆっくりと着実に危機は大きくなっていきます。

■金メダルを税金で取る

例えば、消費税は年々上がりながら高齢者の支払う医療費負担が増加して、お金の有無が寿命を決めるようにもなってしまう社会を受け入れなくてはならないかもしれません。スポーツで言えば、財政悪化が続くなか、東京五輪以降に補助金を出し続ける具体的理由をつけるのが、相当苦しくなるはずです。国立スポーツ科学センター(JISS)やナショナルトレーニングセンター(NTC)も明確な存在意義が問われるでしょう。少なくとも、スポーツを推進したい僕ですら、現代の日本において「金メダルを税金で取る」という政策の理由を説明することはできません。

スポーツ先進国では「日本村」だけが、体育行政、国体や五輪、あるいは全国にあるサッカー兼陸上競技場や体育館のコストを国民の借金によって払い続けています。

そもそも、五輪のメダルのために競技団体に国費を分配するというシステムは、1964年東京五輪の際にできあがりました。その意味では自主財源の確立を目指した30年前の日本オリンピック委員会(JOC)の独立は画期的だったのですが、現在ではその志は忘れ去られ、そのシステムは以前よりもはるかに強固になっています。JISSやNTCの設立運営費はもちろん、選手の生活や遠征、合宿への支援のほか、強化指定選手への強化費、エリートアカデミーの運営、競技団体の運営など、我が国では五輪選手を育てるために莫大な公金が投入されています。

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