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51歳でも「まだ速くなる」…信念通じハーフで自己新

編集委員 吉田誠一

私がいま、なぜ走り続けているのかというと、健康のためではないし、ダイエットのためでもストレス解消のためでもない。「楽に速く走るすべを極めたいから」だと思っている。

そんな格好をつけずに簡単に言い表すと「もっと速くなりたいから」ということになる。まるで子どものようなことを私は夢見ているのかもしれない。

「速くなるの?」の冷笑にも負けず

こんなことを言っていると「51歳にもなって足が速くなるんですか?」という疑義を含んだ視線を向けられることがある。悲しいかな、「なるわけないでしょ」「バカじゃないの」という冷笑が含まれていることもある。まあ、そう思われても仕方がない。

しかし、面白いことに、私のようなレベルであるならば、まだまだ足は速くなる。瀬古利彦さんやカール・ルイスさんが、この年になって以前の自分に勝ることはないだろうが、私の場合はきのうの自分を上回ることができる。

やってみればわかるんだなあ、これが。だからランニングはやみつきになる。

マラソンを楽に駆け抜けたい

なにも、私はオリンピック出場を狙っているわけではないし、ライオンのように走って狩りをしたいわけでもないし、逃げ足の速いコソ泥になろうとしているわけでもないが、ここまできたらせっかくだから、もっと速く走れるようになりたい。楽にシャープにスーッと42.195キロを駆け抜けたい。

2月3日の別府大分毎日マラソンでゴールにたどり着けなかった私は4月21日のとくしまマラソンでまたフルマラソンに挑み始める。

そのため、別大後はどちらかというとスピードの養成に力を注いできた。レースペース走をトレーニングの軸に置き、スピードにうまく乗れないと感じたらインターバル走を挟む。

ほのぼの大会、出直しにはもってこい

しかし、練習だけでは力がついているのかどうか実感しにくい。自分がしていることが正しいのかどうか不安になることがある。効果のほどを調べるには、やはりレースに出るのが手っ取り早い。

というわけで、私は3月24日の上里町乾武マラソン(埼玉)のハーフマラソンの部に出場した。

ゴール地点でもある受け付け会場は地元の小学校の校庭。ハーフの出場者は700人に満たない。人があふれかえっていない分、ストレスがない。スタート前にトイレにとんでもなく長い列ができることはない。

こぢんまりとした大会で、ほのぼのとしている。出直しの大会としてはちょうどいい気がする。

といっても私が「さあ、ここから出直しだ」と意気込んでいたわけではない。頭のてっぺんから湯気が上がらんばかりだったわけではないし、眉間にしわを寄せていたわけでもない。ただし「しっかりしたレースをしよう」という決意は強かった。ダラダラになるのは嫌だった。

後半にペースアップできたら…

では、ペース設定はどうしたらいいだろう。あいにく、1週間前に20キロ走をしてから持病の腰痛が出た。その後の練習ではスピードに乗りにくくなっていた。だから、どのくらいのペースを保てるのか、はっきりしたことがわからなかった。

とりあえずは1キロを4分30秒のペースで入り、後半はペースアップできたらいいなと考えた。

午前9時20分のスタート時は気温8度ほどだったと思う。数日続いた春の陽気はどこかに吹っ飛んでいた。肌寒く、風もほとんどない。コンディションはかなりいい。「暑かった」だの「寒かった」だの「逆風に邪魔された」などと言い訳はできない。

シャープな動き、出だしはハイペース

スタートの号砲とともに、みんながドーッと出た。少人数の大会だから渋滞がない。スタート直後の坂で先頭まで見通せた。私も気持ちよく、スーッと出た。

直前の2日間は体が重かったため、練習量を落とす一方で、少々レースペース(1キロ=4分30秒)を混ぜておいた。疲労がうまく抜けると同時に、動きがシャープになったのかもしれない。

苦もなくスピードに乗れた。いい動きができている。5キロの通過は21分19秒(グロスタイム)。1キロを4分15秒ほどで走っていることになるので、これは速すぎる(もしかすると距離表示が間違っている?)のかもしれない。

だが、別に息はあがっていないし、変に力んでいることもないので流れに任せる。フルマラソンではないので、これでも問題はないだろう。5~10キロ、10~15キロはともに21分55秒前後。1キロ当たり4分23秒ほどのペースで落ち着いた。

終盤まで攻めの気持ち保つ

このくらいのハイペースで走ると、いつもは道半ばで足が重くなるのに、今回はならない。少しももがいていない。それほど失速することないだろうという手応えがあった。

さすがに15キロ過ぎると1キロ=4分30秒ほどまで落ちはしたが、だらしのない失速はしなかった。終盤を迎えても、何とかして50メートルほど前にいるランナーを抜いてやろうという気力が充実していた。攻めの気持ちを持ち続けた。

もちろん、それは別大でこれ以上ない惨敗を喫していたからかもしれない。とにかく、だらしのないレース、いい加減なレース、あとで腹が立つレースはしたくないという思いが強かった。

途中で集中力を失ったり、投げ出したりしてはいけないと決意していた。「最後までしっかり走れ」と何度も自分に言い聞かせた。

やればできる、3年ぶりの記録更新

自分をむち打ち続けたのが効いたのだろう。うれしいことに1時間32分43秒(グロスタイム)の自己ベストが出た。ハーフマラソンの自己新は3年2カ月ぶりで、43秒更新した。

久しぶりにちゃんとしたレースができたという実感がある。やれば、できるじゃんという感じがする。嫌なことがあれば、いいこともあるんだなあと思う。「まだまだ足は速くなる」と信じていて良かった。

2月3日に別大で惨敗、3月24日にハーフマラソンで自己ベスト。こういう場合、日本のスポーツライティングでは安易に「別大の屈辱をバネにして」と書くような気がする。それは半分当たっているかもしれないが、ちょっと違うんだよなあという感じもする。

「復活劇」はまだつづく

今回、自己ベストが出たのは別大後のトレーニングだけの成果ではない。そのバネだけでは達成できない。これまでずっと積み上げてきたものが記録に表れたのだと思う。

もしバネが働いていたのだとすれば、もっとバーンと跳ねてほしい。跳ねなくてはいけない。もちろん、復活劇(自分で言うのも気恥ずかしいが、こう呼んでおきます)はこれで終幕というわけではない。「完」ではない。つづく。

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