2019年9月17日(火)

ファーガソン監督は怒鳴っても…体罰問題を考える
サッカージャーナリスト 原田公樹

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2013/2/20 7:00
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欧州のやり方がいつも正しいとは思わないし、必ずしもそれをまねる必要はない。だが、「体罰ゼロ」で、これだけ有能な選手たちを輩出している現状を無視するわけにはいかない。取材を続けると、英国に住んで14年間、ずっとくすぶっていた「日本のスポーツ界に流れる違和感」が、この体罰問題と関係あるのではないか、と思えてきた。

多くは「愛のムチ」だったと思っているが…

私の家庭では、幼いころから体罰は日常だった。海上自衛官の厳しい父親は、相当にやんちゃだった私の頬をはたき、母親にもよく叩かれたものだ。

だからなのか、初めてコーチから体罰を受けたときも、別にどうってことはなかった。小学2年のとき通ったスイミングスクールでは、何だかんだとビート板で叩かれた。次いで通い始めた剣道場でも、尻を竹刀で叩かれた。尻やももが赤くみみず腫れのようになったときもあるが、かえって親に得意そうに見せたものだ。何か"勲章"でももらったような感覚だったのだろう。

男子校の中高一貫の6年間でも複数の先生から厳しい指導を受けたが、多くは「愛のムチ」だったと思っている。謹慎や停学になるより、多少殴られて終わるなら、そのほうが好都合とも考えていた。

こうした経験があるから、ある程度の体罰は仕方ない、とずっと考えていたのである。

かつて英国にも体罰は存在した

取材を進めてみると、かつて英国にも体罰は存在した。しかも体罰の器具まであったのだ。高校教師を務める友人によると、1980年代初頭まで、スコットランドを中心とした英国北部では、教師は「トーズ」と呼ばれる、ベルトのような革製のムチのようなものを持っていたという。生徒にお仕置きをするとき、両手を前に出させ、その手をトーズで叩くことを許されたのだ。

その「むち打ち」の回数は教師の裁量によって決まるが、最大回数は決まっていたという。しかし1982年に欧州人権裁判所の裁定により、その後、英国でも全面的に体罰は禁止された。

その友人は親が教師だったため、いまでも家には、いまや歴史的な骨董品となったトーズがあるという。今度、見せてもらおうと思っている。

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