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金沢箔1位 「訪ねて楽しい伝統工芸」ランキング

金沢箔の箔張り体験(今井金箔提供)

料理の映える器、気持ちが引き締まる着物、心和む手触りの和紙……。伝統工芸品には代々受け継がれてきた匠(たくみ)の技が息づく。産地では職人の作業の見学や手づくり体験、風情ある街の散策が魅力のところも多い。訪ねて楽しい伝統工芸の街を専門家に選んでもらった。

1位 金沢箔(石川県) 560ポイント
金閣寺や東照宮を彩った輝き 金閣寺や日光東照宮などの建物から織物や漆器、屏風といった美術工芸品まで日本文化をきらびやかに飾ってきた金沢箔。加賀百万石の城下町として名高い金沢では国内で使う金銀箔のほとんどを生産する。金箔の厚さは1万分の1ミリメートル。熟練の職人は十円玉大の金塊を畳1枚分以上に延ばす技を持つ。
 かなざわカタニや箔座、箔一など箔張り体験や買い物ができるメーカーも多い。金箔で装った豪華な井戸が店内にある今井金箔でも、予約をすれば体験できる。石川県箔商工業協同組合(電)076・257・5572、写真は金沢市提供
 ▽選者のひとこと 金沢箔以外も加賀友禅や九谷焼、金沢漆器などの伝統工芸が盛んで、体験場所も多い(木村ふみさん)
2位 益子焼(栃木県) 480ポイント
こだわりカフェや雑貨店も人気 日常で使う実用品に美しさを見いだす「用の美」の民芸運動を進めた浜田庄司らの作品で知られるようになった。春と秋の陶器市がにぎわう。最近はこだわりのカフェや雑貨店、若手作家のギャラリー目当てのファンも増えた。東日本大震災で被害を受けた浜田庄司ゆかりの益子参考館などはほぼ復旧。つかもと、やまに大塚など大小窯元・販売店で陶芸体験を楽しめる。益子町観光協会(電)0285・70・1120、写真は同協会提供
 ▽選者のひとこと 若手作家の「陶ISM」や「土」をテーマにした秋のアートイベント「土祭(ひじさい)」も盛り上がる。器ファンの間で人気が高い「スターネット」などのギャラリー巡りも楽しい(高橋俊宏さん)
3位 西陣織(京都府) 430ポイント
十二単着てパシャ! 室町時代の応仁の乱で西軍が本陣を置いたことからその名が付いた織物の街。職人が20を超える工程を分業しながら、染色した糸で華麗な模様を織り出す。西陣織会館では着物ショーや手織り体験、十二単(じゅうにひとえ)や舞妓(まいこ)・芸妓(げいこ)姿の着付けや写真撮影ができる。着物を借りて北野天満宮などの神社仏閣巡りや上七軒(花街)歩きをすすめる声も多かった。3月15~17日には西陣の技が一堂に会する大博覧会を京都市勧業館(みやこめっせ)で開く。西陣織会館(電)075・451・9231、写真は同会館提供
 ▽選者のひとこと 30年超にわたり伝統工芸産地への旅を企画してきた中で、原点ともいうべき西陣織は外せない。職人の世界の奥深さを感じられるはず(樋口一郎さん)
4位 伊万里・有田焼(佐賀県) 400ポイント
若手作家がユニット 16世紀末に豊臣秀吉の朝鮮出兵に加わった鍋島直茂が陶工を連れ帰って発展した日本初の磁器。有田で焼いて伊万里から積み出し、欧州にも輸出。2016年に創業400年を迎える。大型連休に開く国内最大級の陶器市や窯元のろくろ体験に加え、レンガ造りの煙突が並ぶ味わい深い街並みも魅力。2月9日から3月20日までは「有田雛のやきものまつり」で、ひな祭り一色に染まる。佐賀県陶磁器工業協同組合(電)0955・42・3164、写真は同組合提供
 ▽選者のひとこと 若手作家4人のユニット「Cast Of Four」は産地のイメージを一新する器づくりに取り組んでおり、この器を使う料理も地元店で食べられる(清家貴さん)
5位 宮城伝統こけし(宮城県) 380ポイント
ブームで専門誌 江戸時代に東北の温泉土産として生まれたこけしは宮城では鳴子(なるこ)、作並(さくなみ)、遠刈田(とおがった)、弥治郎(やじろう)、肘折(ひじおり)と主に5つの系統があり、その土地特有の雰囲気がにじみ出る。かわいらしい表情や姿で若い女性を中心に人気が再燃。産地を巡る旅の関心も高い。鳴子の日本こけし館(3月末まで冬季休業)やみやぎ蔵王こけし館、弥治郎こけし村など見学・体験スポットが点在。工人の作業を見学できる店も。鳴子木地玩具協同組合(電)0229・83・3600、写真は同組合提供
 ▽選者のひとこと こけしは専門誌もできるほどブーム。産地=温泉地でその風情もいい。現地でこけしのモチーフをみつけるのも楽しい(田島可奈子さん)
6位 萩焼(山口県) 350ポイント
使い込むほど味わい 長州藩主の毛利家が朝鮮半島から連れ帰った陶工が窯を築き、使い込むほどに味わいの増す器は古くから茶人に愛された。武家屋敷の残る街に焼き物のギャラリーが立ち並び、ろくろ・絵付け体験のできる窯元もある。旧家や商店街ではひな人形の展示が始まり、2月16日からは萩・椿まつりが開かれる。萩市観光協会(電)0838・25・1750、写真は同市提供
 ▽選者のひとこと 焼き物と一緒に萩の城下町の雰囲気や温泉、お魚の味を楽しんだら、山陰の小京都・津和野にも足を運びたい。安野光雅美術館もおすすめ(小山織さん)
7位 江戸切子(東京都) 340ポイント
ペリーも驚いた珠玉の器 ガラスに様々な模様を浮かび上がらせる技には幕末に黒船で来航したペリー提督も驚いたという。東京スカイツリーのエレベーターやショップなど各所で目にできるほか、組合のショールームには多数の作品が並ぶ。工房は江東区亀戸周辺に多い。東京カットグラス工業協同組合(電)03・3681・0961、写真は同組合提供
8位 輪島塗(石川県) 300ポイント
漆の妙、ファン多く 良質の木地に漆を塗り重ねた器にはファンが多く、沈金や蒔絵(まきえ)の装飾も美しい。輪島漆器会館や輪島漆芸美術館のほか、街に出て工房や塗師屋(ぬしや)を訪ねたり、朝市をのぞいたりするのもおすすめ。2月9~17日には輪島あえの風冬まつりが開かれる。輪島漆器商工業協同組合(電)0768・22・2155、写真は同組合提供
8位 南部鉄器(岩手県) 300ポイント
新デザインに挑む工房も 南部藩が保護した盛岡の鉄器と、平泉文化とかかわりが深い水沢の鉄器の総称。粒が描くあられ模様が特徴的で、鉄瓶や花器など種類は多彩。盛岡の岩鋳では作業を見学できる。新デザインに挑む鈴木盛久工房に注目する声も。岩手県南部鉄器協同組合連合会(電)019・689・2336、写真は岩鋳提供
10位 越前和紙(福井県) 280ポイント
大観も愛した1500年の技 1500年の歴史がある紙すきの技術は歴代領主らの保護を受け、近代では横山大観ら多くの芸術家に愛された。発祥の地とされ、村人に紙すきを教えた姫を祭る岡太神社・大瀧神社、紙すき体験ができるパピルス館、実演が見られる卯立(うだつ)の工芸館などが見どころ。福井県和紙工業協同組合(電)0778・43・0875、写真は同組合提供

京都、最多の17品目

益子焼の陶器市(益子町観光協会提供)

今回のランキングは、法律に基づいて経済産業相が指定する「伝統的工芸品」を対象にした。指定には「100年以上の歴史を持つ」「主に手作業で作られる」「地域産業として成り立っている」などの条件を満たす必要があり、現在は全国に212品目がある。

都道府県別では京焼・清水焼や京友禅など17品目がある京都が最多。小千谷縮など16品目の新潟、琉球びんがたなど14品目の沖縄が続く。東北には東日本大震災からの復興を目指す雄勝硯(宮城県)や大堀相馬焼(福島県)などがある。これまで指定がなかった北海道は、アイヌ民族ゆかりのお盆「二風谷(にぶたに)イタ」や織物「二風谷アットゥシ」が近く加わる見通しで、これで47都道府県すべてにそろう。

西陣織の手織り体験(西陣織会館提供)

東京・青山一丁目駅近くの「伝統工芸青山スクエア」では全国の様々な工芸品を鑑賞できる。昨年4月に池袋から移ったギャラリーに約100産地、2千点ほどの工芸品が並び、買い物も楽しめる。

  ◇  ◇  ◇  

 表の見方 数字は選者の評価を得点に換算。カッコ内は工芸品の主な産地。説明文の最後は主な問い合わせ先。

 調査の方法 法律に基づく指定を受けた全国各地の伝統的工芸品212品目の産地を対象に、工房見学や制作体験、買い物や祭り・催しなど現地を訪ねて楽しめるところを専門家に10カ所程度ずつ挙げてもらい、順位を付けた。選者は次の通り(敬称略、五十音順)。

 赤瀬浩成(メイド・イン・ジャパン・プロジェクト社長)▽上野和彦(東京学芸大学特任教授)▽大橋幸千人(JTB西日本国内商品事業部)▽木村ふみ(食環境プロデューサー)▽小山織(インテリアスタイリスト)▽下平哲也(東武百貨店催事部プランナー)▽清家貴(ライヴス社長)▽関根由子(家庭通信社社長)▽高橋俊宏(雑誌「ディスカバー・ジャパン」編集長)▽田島可奈子(雑誌「ニド」編集長)▽樋口一郎(タビックスジャパン)▽宮崎清(放送大学特任教授)

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