長く米男子ゴルフ(PGA)ツアーの関係者は、かつて世界ランク1位にもなり、メジャー大会で3勝を挙げているビジェイ・シン(フィジー)とメディアの関係に苦慮してきた。
「もう少し、メディアの取材に応じてくれないか」。米PGAとメディアが求めたのはそれだけだったが、シンはなかなか思うように動いてはくれなかった。
■シンが禁止薬物含まれたスプレー使用
それだけに先週、シンが記者らに対応するという話が出たとき、米PGAのオフィシャルは「良かった」と胸をなで下ろした半面、「よりによってこんなときに、しかもそんな話題で……」と顔をしかめたはずである。
なぜならシンは禁止薬物の使用について、口を開こうとしていたからだ。
シンは先日、米スポーツ総合誌「スポーツイラストレイテッド」の取材に対し、あるスプレーを「使っている」と話した。「1、2カ月使った程度では、効果は分からないよ」と、使用が長期にわたっていることもにおわせている。
本人はむしろ得意げだったのだが、大問題があった。鹿の角を成分とするそのスプレーには筋肉増強を促す禁止薬物「IGF‐1」が含まれているのである。米PGAでは、2年以上も前に使用が禁止されているものだった。
■「知らなかった」と無難な声明
「私は、(禁止薬物が含まれているとは)知らなかった」。本人はそう釈明したかったようだ。確かに、それが真実らしいのだが、結局は無難な声明を発表するだけにとどめている。裏では、問題の影響を最小限にとどめたい米PGA側の意向が働いたのだろうか。
米PGAとしては、タイミングも気にしたのだろう。
1月半ば、かつて世界最高峰の自転車レース、ツール・ド・フランスで7連覇するなど活躍したランス・アームストロングがテレビ番組でついに薬物の使用を認めると、サイクリング界だけでなく、スポーツ界全体が揺れた。
2017年の最後には世界ランキングが2桁にまで落ち、不振がささやかれたR・マキロイ(英国)だったが、19年8月終わり、プレーオフの最終戦(ツアー選手権)で逆転勝ちを果たすと、16年以来、3季ぶり2度
もしこれが映画なら、ただの安っぽいB級映画としか、みなされないのではないか。話があまりにもうまく出来すぎている。しかし、そういうことが実際に起きると、人々は熱狂する。千葉県のアコーディア・ゴルフCC
今季開幕2戦の結果は、2016年限りで退任したティム・フィンチェム前PGAツアーコミッショナーに、先見の明があったことを証明した。
遡ること25年。1994年9月、第1回プレジデンツカップ(欧州を除