/

オン・ザ・グリーン 女子ゴルフ、2年連続の初シード組旋風は吹くか

ゴルフライター 月橋文美

昨年は8人の初優勝者が生まれた国内女子ゴルフツアー。その中でも木戸愛、吉田弓美子、イ・ボミ(韓国)、大江香織と、初シード選手として戦った面々が優勝カップを手にした。3月に開幕する2013年の女子ツアーで、初シードは8人。期待の成長株の中から、誰が大きく花開くか……。

昨年は未勝利だった初シード組の4人がV

50人の賞金ランキングシードのうち、近年は外国人選手の日本ツアー登録が増えたことも背景に、平均して10選手程度が入れ替わる女子ツアーだが、昨年ほど初シード選手が優勝したシーズンはなかったのではないだろうか。

昨シーズン、初めてシード選手として迎えたのは10人。うちフォン・シャンシャン(中国、2011年賞金ランク7位)、金田久美子(19位)は11年ノーシードから優勝を果たしてのシード入りで、テレサ・ルー(台湾、33位)、姜秀衍(韓国、38位)、ジャン・ウンビ(韓国、39位)、イ・ボミ(40位)、吉田弓美子(42位)、大江香織(43位)、大谷奈千代(45位)、木戸愛(49位)の8人が「今年はツアー初Vを達成したい」と口をそろえて開幕戦に臨んだ。

そしてツアー第2戦のヨコハマタイヤPRGRレディース(3月9~11日)で、イ・ボミがプレーオフの末に早々に日本初Vを達成。4月のフジサンケイレディースで大江が優勝、そして7月のサマンサタバサレディースで木戸が、8月のNEC軽井沢72ゴルフでは吉田がジャン・ウンビとのプレーオフを制して勝利を手にした。

未勝利だった8人の初シード選手の中から4人もの優勝者が出たのである。

大谷以外が2年連続のシード権確保

賞金ランキングでも、ヨコハマタイヤPRGRレディースの初Vの後に2勝を上乗せし、年間3勝としたイ・ボミが2位にジャンプアップ。

金田、テレサ・ルー、ジャン・ウンビの3人は前年を下回ったが、フォン・シャンシャンは日米メジャー制覇(全米女子プロと日本女子オープン)を果たして賞金ランク6位に。吉田は13位、姜秀衍は未勝利ながら17位に、大江23位、木戸も29位と前年よりランクを上げ、大谷以外が2年連続のシード権を確保した。

13年の初シードは8人

さて、そこで新シーズンの初シード選手たちだ。3月の開幕戦・ダイキンオーキッドレディースに、初めてシード権を持って臨むのは8人。

昨年の賞金ランキング順に並べると27位・成田美寿々、36位・酒井美紀、40位・姜如珍(韓国)、42位・福田裕子、43位・菊地絵理香、44位・斉藤愛璃、46位・穴井詩、51位・野村敏京という、平均年齢24.1歳のフレッシュなメンバーである(不動裕理が永久シードを持っているため、51位までがシード)。

まずは、すでに優勝を果たしている2人。

1人目は昨年の開幕戦で彗星(すいせい)のごとく現れたシンデレラ、斉藤。8歳からクラブを握り、厚木市立南毛利中3年で日本ジュニア5位に。07年日本女子アマでベスト16に入り、厚木北高卒業後は神奈川・程ケ谷CCでキャディーの仕事をしながらQT経由で2年間8試合のツアー参戦。11年のプロテスト合格を経て、一気にツアー初優勝をつかんでいる。

優勝したダイキンオーキッドレディースでは、2日目に4連続を含む8バーディー・ノーボギー64の大爆発で単独首位に立ち、最終日は初体験の最終組で、1番ホールいきなりダブルボギーをたたくスタートから粘りを見せた。終盤ではリードを守れなかったが、最後は李知姫(韓国)、三塚優子とのプレーオフを制して勝利。一躍ツアーの人気者となった。

「13年はもっとコンスタントに上位にいられる実力をつけたい」と話していて、ファンの大きな期待を背負う。今年もどこかの大会で再び爆発を見せるか。

成田も魅力たっぷり

10月の富士通レディースを制し、賞金ランクでも初シード組の中では最上位に入った成田も魅力的なプレーヤーだ。

現在休学中ではあるが、日体大体育学部体育学科に籍を置く現役女子大生。12歳でゴルフを始め、拓大紅陵高入学後にプロ志向を強めて井上透氏に師事、10年関東ジュニア選手権、東日本女子パブリック選手権を制している。

成田は大学に進学した11年、プロテストに挑戦し失敗も、ファイナルQTで26位に入りプロデビュー。約半年後にツアー初優勝を果たした逸材だ。切れ味のいいアイアンショットとビッグドライブに加え、アスリートらしい体格、堂々とした受け答えなど、さまざまな要素に期待の声は大きい。

いわゆる海外志向ではなく、"オリンピック志向"の持ち主で「小さい頃から、すべてのスポーツの頂点はオリンピックだと思ってきた。だから私は米ツアーやメジャータイトルより、リオデジャネイロ五輪に出て金メダルを取りたいんです。そして誰もが知っているようなスターになりたい」という。

まだ20歳。プロ2年目となる今季は「公式戦タイトルを含む年間複数回優勝」を目標に掲げるそうだ。

そして初V候補は…

姜如珍は29歳のベテラン。11歳からゴルフを始め、アマチュア時代は強豪がそろう韓国ナショナルチームのキャプテンを務めたという。02年から04年まで韓国大学ゴルフ選手権を3連覇しているほか、アメリカでも1996年ドラールパブリックジュニアクラシック、03年ロングビーチ女子選手権で優勝を飾っている実力者だ。

05年から日本ツアーに参戦、なかなか力を発揮できず07、08年の2年間は自国・韓国に戻ったが、昨年ついに念願の日本ツアーシード権を手にした。

派手な選手ではないが、「日本の試合は雰囲気が好き。ギャラリーの応援も力になります。精神面を強化して上位進出を目指します」と語っている。

酒井は福島・いわき出身。8歳でクラブを握り、12歳だった03年から福島県ジュニアを連覇すると、中学3年だった06年から東日本女子パブリックアマ3連覇、東日本国際大付属昌平高を卒業した10年に日本女子アマを制してプロテストに一発合格した。アイドルグループ「嵐」の熱狂的なファンとしても有名になったが、自宅の被災も乗り越えてプロ3年目の昨年、念願の初シード入りを果たした。

8月のCATレディースで自己ベストの単独5位に入ったが、地元・福島開催だった11月の大王製紙エリエールレディースでは「見に来たみんなが『ゴルフやってみたい』と思うような姿を見せたい」との意気込みが空回りして予選通過はならず。13年は初優勝で故郷を元気づけようと張り切っている。

初シードの中では最年長、31歳の福田は15歳でゴルフと出合い、鹿児島・樟南高卒業後は2年間オーストラリア・ゴールドコーストの専門学校で修業。06年、2度目の受験でプロテストに合格している。

ツアープロたちの間では、その潜在能力の高さが評価されていたが、12年1月のオフ合宿で男子プロの平塚哲二、久保谷健一らと合流、「アプローチ&パットの精度が上がりました。技術面だけでなく、精神面のアドバイスももらった」ことが転機になった。

岡本綾子門下の服部真夕、若林舞衣子、森田理香子らと親しく、彼女らの活躍には大いに刺激を受けているだけに「負けずに追いつきたい」という思いは強い。

頑張り屋の菊地、穴井

また、ティーチングプロの父・克弥さんの影響で6歳からクラブを握った菊地は、北海道の星。中学3年で日本女子アマベスト4に入り「強い人と一緒にゴルフがしたい」と、地元を離れ、宮城・東北高に進学。04、06年東北ジュニア優勝、06年全国高校選手権夏季大会で個人&団体の2冠に輝くなどの戦績を持つ。

中学2年からの4年間は毎日、「シャフトに2キロの鉛を巻き付けた7番アイアンで素振りをして」スイング作り。「肋骨を3度折ってしまったので、やめました」という根性娘だ。

08年、挑戦2度目のプロテストで合格、5年目にしてシード権を手にした。「将来は日本中の人から応援されるような選手になりたいです」と話し、13年は「もっとたくさんやることはあると思うし、もっと頑張れます!」と、意気込んでいる。

賞金ランクこそ46位にとどまったが、初シード選手の中で昨シーズンもっともV戦線に登場したのは穴井だろう。

11歳でクラブを握り、愛知・岡崎市立葵中2年の時に父の仕事の関係で米国・ボストンに。フロリダ州・ノバサウスイースタン大に入学したが、1年で中退してミニツアーに挑んだ後、インターネットで即日入寮できるゴルフ場を探して帰国、静岡のゴルフ場で練習を積んだ頑張り屋だ。

穴井は江連忠門下で、08年プロテスト合格後、稼げなかった時代には学習塾講師のアルバイトで生計を立てていたという。その飛距離はツアーでも五指に入る迫力で、「私の課題は心の弱さなんです」とも。10月の富士通レディースでは仲のいい成田に逆転負けしただけに、「13年はしっかり勝ちたいです」と宣言している。

野村敏京、故障に悩まされなければ…

最後に紹介する野村はシード最下位の51位で滑り込んだが、日本ツアーメンバー登録以前の11年5月、中京テレビ・ブリヂストンレディースで"日本でのプロデビュー戦V"を飾っている。

日本人の父と韓国人の母を持ち、5歳までを神奈川・横浜で過ごし、その後、高校卒業まではソウルに。07年に日本ジュニア優勝。韓国ナショナルチームの一員にも選ばれ、ソウル明知高に在籍していた09年に日本女子オープンでローアマに輝いたエリートだ。

米下部ツアーでの優勝も経験しており、昨年も手首などの故障に悩まされなければ複数回優勝も期待された選手だけに、新シーズンのブレークは大いに期待できる存在だ。

今年も楽しみな選手が多い初シード組。2年連続のフレッシュ旋風は吹くか、注目したい。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン