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サッカー日本代表、2013年は「強化」の年

サッカージャーナリスト 大住良之

2013年は日本代表にとって「強化」の年だ。

アルベルト・ザッケローニ監督が就任した10年後半は「観察」の年だった。監督が選手を観察し、選手も新監督の人柄などを知るための時間だった。

続く11年は「挑戦」の年だった。1月のアジアカップ、9月にスタートしたワールドカップのアジア3次予選で、タイトルや勝利に向かってチーム一丸の戦いが続いた。そして12年は「充実」の年だった。6月から始まったワールドカップ最終予選で5試合を戦い、4勝1分け、2位以下を大きく引き離し、5大会連続の出場権獲得はほぼ決まったといってよい。

したがって13年は、来年ブラジルで開催されるワールドカップに向けての「強化」の年となる。

早ければ3月26日にワールドカップ出場決定

昨年11月にアウェーでオマーンを2-1で下したことにより、日本代表はワールドカップ・アジア最終予選B組での勝ち点を13に伸ばした。

アジア最終予選B組順位表
国 名










1日本13541013211
2オースト
ラリア
54121440
3イラク5512245-1
4オマーン5512247-3
5ヨルダン45113411-7

この組の他チームが「つぶし合い」をしている状況もあり、2位オーストラリア以下との勝ち点の差は8。すでに5チーム中3位以内は確定し、悪くてもプレーオフ(9月にアジアの5位決定プレーオフ、それに勝つと11月に南米第5位との最終プレーオフ)出場権は確保している。

そして実質的には、自動的に出場権を得ることができる2位以内もほぼ決まっているといってよい。残り試合は、オーストラリア(勝ち点5)が4試合で、他の3チーム、イラク(同5)、オマーン(同5)、ヨルダン(同4)が3試合。

日本が残り3試合(ヨルダン、オーストラリア、イラク)にすべて負けても、イラク、オマーン、ヨルダンのうちの1チームがひとつも引き分けることなく3連勝しない限り、日本に追いつく、あるいは抜くことはできないからだ。そしてこの3チームは、そろってオーストラリアとのアウェーゲームを残している。

最短なら、3月26日のアウェーのヨルダン戦で勝てば、あるいはこの試合を引き分けても、同日の早い時間に行われるオーストラリア対オマーン(シドニー)も引き分けで終われば、日本の2位以内、すなわちワールドカップ出場権が確定する。

ヨルダン戦へ向けての入念な準備

このヨルダン戦への準備として、日本代表は国際サッカー連盟(FIFA)が定めた「インターナショナルマッチデー」をフルに活用する。

ことし前半のFIFAカレンダーでは、2月6日と、3月22日と26日の両日がそれに当たる。ヨルダン戦は3月26日。会場やキックオフ時間はまだ発表されていないが、ヨルダンの首都アンマンになるだろう。

2013年の日本代表の日程
種類対戦相手会場
2月6日親善試合ラトビア神戸
3月22日親善試合カナダドーハ
(カタール)
26日 W杯予選ヨルダンアンマン?
5月30日親善試合豊田
6月4日W杯予選オーストラリアさいたま
11日W杯予選イラクドーハ?
(カタール)
6月15~
30日
FIFAコンフェデレーションズカップ
                                    (ブラジル)
15日A組ブラジルブラジリア
19日A組イタリアレシフェ
22日A組メキシコベロオリゾンテ
26/
27日
準決勝ベロオリゾンテ/フォルタレザ
30日3位決定戦サルバドル
決勝戦リオデジャネイロ
7月20~
28日
東アジアカップ(韓国)
8月14日親善試合宮城
9月6日親善試合
10日親善試合
10月11日親善試合
15日親善試合
11月15日親善試合
19日親善試合

それに向けて、2月6日には神戸でラトビア代表と、3月22日にはヨルダン戦に備えた合宿地であるカタールのドーハでカナダ代表と親善試合を行うことになっている。

親善試合の場合、クラブが選手を放出しなければならないのは、試合の48時間前ということになっているので、神戸でのラトビア戦では「ヨーロッパ組」の合流は試合の前日になり、カナダ戦も前々日か前日という形になるだろう。それでも昨年11月以来の久々の招集となるため、意義は大きい。

練習時間がたっぷり取れるわけではない代表チーム。ザッケローニ監督は「ミーティングや選手とのコミュニケーションを通じて、このチームの大事なところを伝えていく」と語っている。時間は短くても、ヨルダン戦を勝ち取るための大きなステップになるに違いない。

「最も大事な1カ月間」

このヨルダン戦が終わると、「ザック・ジャパンの4年間で最も大事な1カ月間」がやってくる。6月4日にワールドカップ予選のオーストラリア戦(埼玉スタジアム)、11日に同最終戦のイラク戦(会場はカタールのドーハの予定)。

それが終わるとすぐにブラジルに移動し、FIFAコンフェデレーションズカップに臨む。大会は6月15日に首都ブラジリアでのA組のブラジル―日本で開幕、30日にリオデジャネイロのマラカナン・スタジアムで行われる決勝戦まで2週間で16試合が行われる。

「6月シリーズ」に先立って、5月30日には、豊田スタジアムで親善試合(相手未定)が計画されている。

ヨーロッパの主要リーグは、その多くが5月の3つ目の週末(18日土曜日と19日日曜日)に閉幕する。5月30日は親善試合だが、「ヨーロッパ組」も、5月27日に始まると予想されるトレーニングの初日から参加できるに違いない。

ただし本田圭佑(CSKAモスクワ)がプレーするロシア・リーグだけは26日が最終日になるので、合流は少し遅れる可能性がある。

コンフェデレーションズカップで、日本は6月22日までグループリーグを戦い、2位以内に入れば26日あるいは27日に準決勝、30日に3位決定戦あるいは決勝戦という日程になる。

6試合あるいは8試合を戦うこの1カ月間で、14年を戦う日本代表の本当の基礎がつくられるだろう。

大きなメリットのあるコンフェデレーションズカップ

そのコンフェデレーションズカップは、FIFA傘下の6地域連盟のチャンピオンを集め、そこに世界チャンピオン(10年ワールドカップ優勝のスペイン)とホスト国ブラジルを加えた8チームで争う大会。

14年のワールドカップで使用予定の12スタジアムのうち6スタジアムを使い、「ワールドカップのリハーサル」として開催される。

日本はA組に入り、ブラジル(FIFAランキング18位、6月15日=ブラジリア)、イタリア(同4位、19日=レシフェ)、メキシコ(同15位、22日=ベロオリゾンテ)という強豪と戦う(ランキングは17日現在)。FIFAランキング21位の日本にとっては、どの試合も「チャレンジ」ということになる。

昨年10月のヨーロッパ遠征でフランス、ブラジルという世界の強豪と対戦し、手応えを感じるとともに、大きな課題を突きつけられた日本代表。積極的な戦いをしつつもブラジルの守備を崩せず、カウンターから失点を重ねた試合で学んだものをどう生かし、差を縮められるか。

来年のワールドカップが行われるブラジルの気候やスタジアムの雰囲気を体験できるのも、コンフェデレーションズカップ参加の大きなメリットだ。

「国内組」で臨む東アジアカップ

13年にはもうひとつ大会がある。

東アジアサッカー連盟(EAFF)の東アジアカップだ。03年以来「東アジア選手権」として開催され、今回で5回目だが、名称が変わった。そしてオーストラリアが「ゲスト」として参加する。

EAFFはアジアサッカー連盟(AFC)の下に設けられた地域別のサッカー連盟。オーストラリア協会はこうした地域別の連盟には正式加盟しておらず、ユースは東南アジアサッカー連盟(ASEANサッカー連盟=AFF)に参加している。

EAFF東アジアカップ2013の予選は2次に分けて行われ、グアム、マカオ、北マリアナによる1次予選を勝ち抜いたグアムが、オーストラリア、北朝鮮、香港、チャイニーズ・タイペイとの2次予選(12年12月、香港)に進出、ここではオーストラリアと北朝鮮が3勝1分けで並び、得失点差で上回ったオーストラリアが決勝大会進出を決めた。

日本、韓国、中国の3チームは予選を免除され、決勝大会のみに参加する。

大会は7月20日から28日までの9日間。4チームが総当たりして優勝を決める。

ただし、日本や韓国、オーストラリアは最強の代表チームを送り出すことはできない。クラブにはこの大会への選手放出義務はないため、ヨーロッパのクラブに所属する選手の参加は見込めないからだ。

同じように、J2所属の選手の選出も難しいだろう。J1はこの大会の期間は日程を空けているが、J2はそうではない。

ザック監督には様々な選手を試せるチャンス

だが、ザッケローニ監督にとっては大きなチャンスに違いない。ワールドカップ予選やコンフェデレーションズカップではなかなか試すことのできないJリーグの選手たちを大量に使うことができる。

東アジアカップはザッケローニ監督にとって思い切った采配が試せるチャンス

これまでなかなか出場チャンスを与えられなかった選手、可能性は感じていても呼べなかった選手たちを集め、オーストラリア、韓国、中国という強豪を相手にその力や人間性を見ることができるのだ。

コンフェデレーションズカップは現在の日本代表のベスト布陣でチャレンジするだろう。しかし、この東アジアカップでは思い切った采配が見られるのではないか。そしてそのなかから、来年のワールドカップで戦力になる選手が出てくれば、大きなプラスだ。

8月から11月にかけて最多7試合で強化

8月以降は親善試合による強化だ。もちろん、その前にワールドカップ出場を決め、プレーオフには出場しないことが前提だが……。

8月14日、9月6日、10日、10月11日、15日、そして11月15日、19日と、7試合分の「インターナショナルマッチデー」がある。8月14日の試合は宮城スタジアムでの開催が決まっているが、ザッケローニ監督は9月、10月、11月の日程はアウェーで強豪と戦うことを希望している。昨年10月のフランス戦(パリ)、ブラジル戦(ポーランドのブロツワフ)のような形だ。

欧州や南米では9月と10月はワールドカップ予選の終盤に当たり、強豪との対戦を組むのは簡単ではないかもしれないが、11月に行われるのはプレーオフのみ。そこでどんな相手と試合を組み、アウェーの舞台で日本のサッカーを実現できるか。

今年も、日本代表は楽しみでいっぱいだ。

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