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ラグビー界期待の星 南アで輝く松島の挑戦

日本ラグビー界期待の星が強豪国の南アフリカで実力を認められ、輝きを放っている。2010年度の全国高校ラグビー大会で桐蔭学園高(神奈川)のFBとして東福岡高と両校優勝を果たし、高校卒業後、大学進学せずに世界へ飛び出した松島幸太朗(19)。前例のない挑戦から2シーズン。確かな手応えを感じつつ、南半球最高峰リーグ「スーパーラグビー」の舞台に立つことを夢見て奮闘を続けている。

松島(左)は高校卒業後、単身で南アの育成組織の門をたたいた

最短距離で夢の実現めざす

野球界では昨年、日本ハムに入団した大谷翔平(花巻東高)が高校から直接、米大リーグに挑戦するか、日本球界を選ぶかで話題を呼んだが、ジンバブエ人の父(故人)と日本人の母を持つ松島は2シーズン前、高校卒業後にプロ契約を目指して単身海を渡ることを決めた。

高校ラグビーでは体幹の強さだけでなく、快足としなやかなステップで相手の防御網を次々に破り、脚光を浴びた有望株。国内の大学からも勧誘があった。

だが、「スーパーラグビーを目指す上で、そこに直結しているところに行きたかった。日本ではそれが難しい」。最短距離で夢をかなえるため、南アフリカのチーム、シャークスの育成組織の門をたたいた。

プロ契約、わずか一握りだけ

育成組織には20歳以下の選手が100人以上在籍する。基本的には午前にマーケティング論やトレーニングについての座学を受け、午後は練習というプログラム。

選手は5つのクラブに分かれて試合を重ね、その選抜がシャークスの19歳以下代表として他のスーパーラグビーの下部チームと対戦するという。

評価を上げれば上のカテゴリーに"出世"でき、最終的にはほんの一握りの選手だけがプロ契約を勝ち取れる厳しい世界だ。

松島はもともと南ア生まれ。英語が話せるため言葉の壁を感じず、環境にはすぐに順応できた。「みんなフレンドリーで友達には困らなかった」

2シーズン目の昨季はチームの最優秀選手にも選ばれた

同世代との体格差大きく

ただ、同世代との体格差は大きく「コンタクトでケガをするかもしれないと思った」。身長190センチ、体重90キロを上回る選手が珍しくない。175センチ、81キロ(高校卒業当時)の松島はむしろ小柄な部類だった。

案の定、育成組織に入校してから半年で両足の肉離れに見舞われ、1シーズン目を棒に振った。松島は「最初は落ち込むこともあったし、悔しかった」と振り返る。

だが、そこで「プレーができないのなら、今のうちに体を大きくしよう」とプラスに捉えられたことが、その後の成長につながった。

周囲と渡り合える体を目指して1日2回、計3時間かけてじっくりウエートトレーニングをして体づくりに励んだ。2季目には体重が約5キロ増え、「プレーの力強さが増した気がする」。

オフに体脂肪率が1%でも増えると約1万円の罰金が科せられる厳しい管理のもと、徹底的に体を鍛え上げた。

育成組織内での競争は激しく、生き残るのは容易ではない。日本にいる同世代では味わえない環境にさらされ、松島は精神的にも強くなった。

怠ければ名前すら覚えてもらえず

「みんながライバルでプロ契約したいというハングリー精神がものすごく伝わってくる。怠けていたら名前すら覚えてもらえない」

成果が出始めたのは昨年6月。19歳以下の選抜チームのセレクションに合格、主にWTBとしてレギュラーに定着した。7~10月の国内大会ではリーグ戦、プレーオフの13試合のうち12試合に出場。3トライを奪ってチームの最優秀選手(MVP)にも選出された。

コーチから高い評価を受け、「プレー面では対等にやっていけると思った」と強豪国で生き残れる自信をつけた。

その手応えは昨年11月、今年開催される20歳以下のワールドカップ(W杯)に向けた南ア代表合宿の候補選手に選出されたことで確かなものになった。

昨年12月には愛知県の南山高、県立明和高、県立日進高のラグビー部員に指導もした

20歳以下W杯、代表合宿の候補選手に

W杯で2度の世界一に輝いている南ア代表にも通じる願ってもないチャンス。本人も「レベルアップしている実感はあったので、やってきたことは間違っていないと感じた」と打ち明ける。

ただ、南アの20歳以下代表で国際試合に出場すると、日本代表に入る資格を失ってしまう国際ルールがある。合宿には興味はあったが、将来のことを考えると現段階で南アか日本かで選択肢を1つに絞ってしまうのは得策ではないと判断。今回は見送った。

昨年12月にはクリスマス休暇で日本に一時帰国、高校生へ初めて指導も行った。自分のように世界に目を向け、何事にも勇気を持ってチャレンジしてほしい――。そんな思いもあったのかもしれない。

2月からは3シーズン目がスタート。「少しでもプロ契約に近づけるように頑張りたい」。伸び盛りの19歳は間違いなく、19年に日本で開催されるW杯で中心になる世代の選手。世界の荒波にもまれながら夢への挑戦は続く。

(渡辺岳史)

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