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ジュニア勢が頭角…フィギュア、女子も大混戦時代に

フリーライター・野口美恵

ハイレベルな男子の戦いが注目された今年の全日本フィギュアスケート選手権(24日まで)。しかし、熾烈(しれつ)なのは男子だけではなかった。女子も、2014年のソチ五輪に向け、激しい代表争いのスタートを感じさせる試合だった。

4位となった鈴木明子(邦和スポーツランド)は試合後に五輪を目指すことを発表。ジュニア世代である14歳の宮原知子(大阪・関大中)はジャンプを次々と決めて3位に入り、来季は五輪出場を視野に入れて戦うことを宣言した。鈴木と同門の16歳の本郷理華(愛知みずほ大瑞穂高)も5位と健闘。浅田真央(中京大)はミスがありながらも優勝する圧巻の演技を見せ、村上佳菜子(中京大中京高)はフリーで渾身(こんしん)の演技を披露して2位となった。混戦時代の幕開けとなった女子を振り返る。

ジュニア勢、五輪へ名乗り

とうとう頭角を現した、といったらよいのだろうか。昨季の世界ジュニア4位で全日本ジュニア2連覇中の宮原が、今季のGPファイナルで3位となった鈴木を上回って銅メダルを獲得した。身長143cmの宮原が、浅田や村上と並んで表彰台に立った姿は、次世代の台頭を印象付けた。

宮原はショート、フリーともに「3回転ルッツ+3回転トウループ」を決めたほか、計6つのスピンすべてで最高のレベル4を取るなど、高い技術を披露した。

小林芳子フィギュア強化部長は「とにかく彼女は努力家。彼女はジュニアとシニアの両方の強化合宿に参加したのですが、その後、両方の合宿で習ったステップを毎日すべて反復練習したといいます。真面目な部分が底力になっています」という。

体重が軽いことも生かし、5種類すべての3回転ジャンプから、連続の3回転トウループをつけることが可能だ。

来年3月26日に15歳の誕生日を迎え、五輪の年齢制限を満たす。「年齢が足りているので、(五輪に)出られるようにこれから頑張りたいと思います」。すでにトリプルアクセル(3回転半)の練習にも着手しており、来季は台風の目となりそうだ。

また、全日本ジュニアで3位の本郷も、ショートプログラム(SP)は6位、フリー4位で総合5位と大健闘した。

「最終滑走で滑れるなんてありがたいこと。ジャンプが決まるうちに楽しくなって、伸び伸びと滑りました」と大物ぶりを発揮し、新人賞も獲得。流れとスピードがあって質も高い、シニア選手顔負けのジャンプを跳べるのが魅力だ。

宮原と本郷は、ともに来年2月の世界ジュニア選手権で海外の強豪と競り合う。才能豊かなジュニア勢が、五輪切符を目指す争いへ名乗りを上げた。

全日本4位の鈴木は現役続行「ソチを目指す」

「GPファイナルの直後、現役続行してソチ五輪を目指そうと感じました。自分の首を絞めないように、(来年3月の)世界選手権で頑張って、ソチ五輪の枠を(3枠)取りたい」

総合4位で世界選手権の代表に選ばれた鈴木は、フリーを終えた夜、現役続行を宣言した。鈴木にとって、これほど複雑な心境の試合もなかっただろう。

前日のSPは大きなミスなくまとめて首位発進。しかしフリーでは、3回転フリップが1本目は1回転になり、2本目は転倒。ミスが重なったとはいえ、ジュニア勢2人の得点をも下回ってフリーは114.94点で5位、総合180.03点で4位となったのだ。

「今シーズンは練習からミスが多く、うまくいっていませんでした。試合によっては身体と気持ちのバランスがうまく保てて結果が出ていましたが、今回は練習がそのまま出たという感じです。この経験を無駄にしないよう練習したいです」と唇をかんだ。

もちろん、表現面を評価するプログラムコンポーネンツは浅田に次ぐ2位で、実力の評価は高い。この雪辱を期して来年の世界選手権、そして14年の五輪へと、さらに実力を伸ばすはずだ。

村上、渾身のフリーで笑顔の復活

昨季からSPとフリーをそろえられずに苦しんでいる村上。SPは得意の「3回転+3回転」が単発の2回転になるミスが響き、5位発進となった。

それでも気持ちを切り替えて臨んだ翌日のフリーでは、大きなミスのない力強い演技を披露。フリーは126.41点、総合183.67点で銀メダル。フリーを終えた後に笑顔がはじけ、何度もガッツポーズした姿が印象的だった。

SPでミスをしてフリーでばん回というのは、グランプリ(GP)シリーズのロシア杯でも経験したケース。今季は気持ちを切り替え、フリーで攻めるスケートができるようになったのは成長の証だ。

「フリーは本当に自信があったので、練習以上に落ち着いてできました。点数を見て喜べたのは、シニアデビュー以来かも。山田(満知子)先生も喜んでくれたのが一番うれしかった」

会場を幸せにするような、佳菜子スマイルが復活した。

浅田、トリプルアクセルと「3+3」へ意欲

浅田にとって今回の優勝の意味は、ジャンプ以外で点を取れるスケートを確立したことだろう。ミスをしたのは得意のループやフリップで、課題だった「ダブルアクセル+3回転トウループ」の精度が高まるなど、成長した面があったのも収穫だった。

しかし本来ならば、この全日本選手権でノーミスに近い演技をした上で、世界選手権に向けて技のレベルを上げたかったのが本音。

「練習ではミスなくベース(基礎)もできているので、レベルアップを目指したい。トリプルアクセルや3回転+3回転をやっていた時代があるので、それを試合で成功させて、ようやく喜ぶことができる。今はまだ50%くらいの状態」と大技への意欲をみせた。

エース浅田の背中を追うように、成長をみせる村上とジュニア勢、そして現役続行宣言をした鈴木。五輪へ向けて、男子に負けず劣らず日本の女子フィギュアもますます面白くなりそうである。

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