2019年7月19日(金)

証券優遇税制打ち切り 対策は? 益出しは早く、損切りは遅く ファイナンシャルプランナー 深野康彦氏

2012/12/14 7:00
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 上場株式の配当や売却益に対する税制の優遇措置が2013年末に打ち切られると聞きました。どのような対策を考えておくべきでしょうか。株式相場への影響なども教えてください。(東京都、男性、65歳)

上場株式などの配当や売却益にかかる税率は、2013年12月31日まで10%の軽減税率が適用されます。来年から新たにかかる復興増税と合わせて10.147%。「上場株式など」には公募株式投資信託や上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(REIT)も含まれます。衆院選を経て政権が代わる可能性もあり「優遇税制の延長がない」とは断言できませんが、今のところ14年以降、本来の税率20%(復興増税含めて20.315%)に戻る予定です。

対応策は「益出しは早く、損切りは遅く」です。保有している株式に含み益が出ている場合は、13年末までに売却してしまえば税率は10%で済みます。ただ、こう考える人が増えれば、株価が上昇している銘柄ほど売りが出てくるかもしれません。相場に与える影響も考慮してタイミングを見極めましょう。

反対に持ち株が値下がりして含み損が生じている場合は、慌てて売却することはありません。上場株式などの売却損は確定申告すれば、翌年以降最長3年間にわたって利益から差し引けます。損は税率が上がる14年以降に温存しておくという考え方です。

もちろん売却の時期は、税制面の有利・不利だけで判断せず、企業の経営状況や株価動向を見て考えましょう。

証券税制との関連では、14年1月から少額投資非課税制度(日本版ISA)が導入されます。14~16年の3年間、毎年100万円を上限に投資した上場株式や公募株式投信などの配当・売却益を非課税にする仕組みです。

銀行などでかつて大量の資金を集めた「マル優」の投信版ともいわれます。高配当型の株式投資信託などで運用すれば、長期で税制面でのメリットが見込めます。

非課税期間は最長10年。この間に売却できますが、空いた部分の枠を利用して再投資することはできません。金融庁は13年度の税制改正で、制度を3年間とせずに「恒久化」することや、対象商品を公社債・公社債投信に広げることなどを要望しています。

深野 康彦(ふかの・やすひこ)
1962年埼玉県生まれ。大学卒業後、クレジット会社を経て89年4月に独立系FP会社に入社。以後、金融資産運用設計を中心としたFP業務の腕を磨き、96年1月に独立。2006年1月設立のファイナンシャルリサーチは2社目の起業。新聞、マネー誌や経済誌、各種メールマガジンへ執筆や取材協力、テレビ・ラジオ番組などの出演を通じて、投資の啓蒙や家計管理の重要性を説いている。

[日本経済新聞朝刊 2012年12月12日付]

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