2019年2月24日(日)

レアアース・バナナ…中国が仕掛けた経済戦争の行方
編集委員 後藤康浩

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2012/12/9 7:00
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中国の「反日」が燃えさかっていた9月。内モンゴル自治区や江西省のレアアース鉱山は生産停止に追い込まれていた。世界のハイテク産業で不可欠といわれていたレアアースの需要が激減、在庫の山となっていたからだ。様々なレアアースの価格も総じて最高値の3分の1以下に落ち込み、政府は赤字生産で飢餓輸出も辞さない構えの鉱山に生産停止を命じた。2010年9月の尖閣諸島での中国漁船衝突事件をめぐってレアアースの対日供給を絞り、一時は日本企業が青ざめ、奪い合うように買っていた中国産レアアースがなぜ売れなくなったのか?

中国によるレアアースの事実上の禁輸措置から約2年。産地で今何が起きているのか

中国によるレアアースの事実上の禁輸措置から約2年。産地で今何が起きているのか

日本や韓国などの需要国が「脱中国」を着実に進めたからだ。日本は米国、カナダ、インド、ベトナムなどに新たな供給源を求め、各地で鉱山開発や旧鉱山の再開を促した。豊田通商と双日はレアアースの埋蔵量が世界第3位といわれるベトナム北西部のドンバオ鉱山の開発に参加、13年中に生産が開始される。代替材の開発、使用量の削減も劇的に進んだ。東芝はレアアースの代表ともいえるジスプロシウムを一切使用しないモーター用の高鉄濃度サマリウム・コバルト磁石を開発、今年8月に発表した。

70年代の石油危機と同じ構図

こうした動きをみて思い出すのは1970年代の2回にわたる石油危機だ。サウジアラビア、リビアなどアラブ石油輸出国機構(OAPEC)はイスラエルを支援する米国とオランダに対し、石油全面禁輸を宣言、さらにイスラエル友好国への供給削減に踏み切った。日本向けの原油供給の減少は一時的なものだったが、日本は国を挙げて「脱石油」に動いた。原子力、液化天然ガス(LNG)の利用拡大、石炭の見直しなどに加え、省エネを強力に推進した。結果的に日本の石油消費は横ばいから減少に転じ、世界の石油需要も伸び悩んだ。一方、産油国は原油の値上がりで増産に走り、1986年前半、原油価格の大暴落が起きた。「逆オイルショック」だ。その後、原油価格は03年まで15年以上も低迷した。いったん減った需要、代替物に逃げた需要を再び増やすのはきわめて難しい。中国のレアアースもまったく同じ轍(わだち)にはまっている。

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