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侍ジャパン、キューバ戦で浮かんだ収穫と課題

イチローも黒田も出場を辞退し、来年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で3連覇を目指す日本代表は大リーガー不在に。国内組だけで臨むことになった「侍ジャパン」だが、光明も見える。若手主体で臨んだ16、18日のキューバとの親善試合で連勝。接戦をものにした2つの白星から浮かんだWBCを勝ち抜くための収穫と課題は……。

大隣、沢村の両先発が好投

「選手はいい経験をしたのではないか。気持ちが伝わってくる2試合だった」。平均年齢26歳の若武者たちの奮闘を、日本代表を率いる山本監督はたたえた。

連勝をもたらした最大の要因は、強打のキューバを2試合で計1失点のみに抑えた投手陣の踏ん張りだ。初戦の大隣(ソフトバンク)、2戦目の沢村(巨人)と2人の先発が、序盤をピシャリと抑えたことが大きかった。

2人に共通したのは、変化球の効果的な使い方だった。大隣はチェンジアップで打者を手玉にとり、2回を1人の走者も許さなかった。沢村はスライダーとフォークボールで3者連続三振を含む計4三振を奪い、2回を1安打無失点に抑えた。

変化球勝負が奏功

WBCに向けて参考になりそうなのは、沢村のピッチングだろう。零封された第1戦の反省からか、キューバ打線は直球に狙いを絞ってきた。

初回、2番のベルに152キロのストレートを左中間にはじき返されて二塁打。ここで「変化球で勝負していこう」(沢村)と切り替えたことが奏功した。

決め球となったのは、ストライクからボールになる低めのフォーク。さらに、主砲の3番グリエルを見逃しの三振にしとめた、右打者の内角をえぐりボールからストライクになるスライダーも有効だった。

力勝負を挑んでくるパワーヒッターには、ストライクゾーンの「出し入れ」が大きな武器になることを証明した。

「変化球中心の投球が結果的には有効だった」とリードした捕手の嶋(楽天)もいう。しかし、「(今回の投球内容をキューバのみならず韓国などの)ライバルたちは研究するはず」とも話していて、「緩急で投球の幅を広げるためにも、直球をどこで使うかが、(本番での)カギになる」ことは間違いない。

ストライク先行が打ち取るための近道

もう一つの収穫は、2試合通して登板したのべ14人の投手が四死球を1つも与えなかったことだ。第3回大会については協議中だが、過去2回のWBCでは投手の「球数制限」の特別ルールが設けられた。

WBCでの登録選手は28人。限られた数の投手陣でやりくりするためには、球数を抑えることが必要になってくる。

初戦でマスクをかぶった炭谷(西武)が「少しでも(コースが)甘くなるとスタンドまで持っていかれる感じがした」というキューバ打線だが、ボール球を極力減らして、逃げずに勝負した。山本監督も「ストライク先行が打ち取るための近道」と評価する。

国内リーグ戦が開幕前で調整不足のキューバ相手という状況を差し引いても、WBCでの配球の大きなヒントになったに違いない。

課題が残る打撃、堂林の積極性がヒントに?

一方、課題が浮かび上がったのが攻撃面だ。初戦は6安打2得点、2戦目は7安打3得点。キューバの投手を打ちあぐみ、好機は作るものの、適時打は1本もなかった。

「当たり前のこと。相手の投手が良かった。そう簡単に打てるものじゃない」と山本監督はいうが、得点力不足という印象は否めない。

光明は2戦目の八回に均衡を破る先制点のきっかけとなる三塁打を放った堂林(広島)に代表される積極的な打撃が見られたことだろう。

対戦したことのない投手に、「見ていても仕方がない」と迷いなく初球をたたいた最年少の21歳をチーム全体が見習わなければならない。短期決戦では思い切りの良さが必要な場面が出てくるはずだ。

さらにスランプのない「足」も「改めて大事だと感じた」と山本監督はいう。

先の塁を狙おうとする意識がミスを誘う

初戦の七回、右中間への当たりで二塁を奪った角中(ロッテ)が、失策で生還。2戦目には八回、自らは「暴走」と反省するものの右翼への当たりで糸井(日本ハム)が一気に三塁に。その後の投手の暴投で本塁を陥れた。

ロースコアの接戦だっただけに、いずれも貴重な追加点。相手のミス絡みの得点とはいえ、ミスを引き出すような状況を作り出したのは、1つでも先の塁を狙おうとする意識だったといえる。

試合翌日の19日には、イチローと黒田の出場辞退が明らかになり、ダルビッシュ、岩隈、青木ら現役大リーガー不在の布陣でWBCに臨むことになった侍ジャパン。「国内組で一体感を強めて3連覇に向けて戦っていく気持ちが固まった」と山本監督はコメントする。

「投手中心の守り勝つ野球」掲げる

3月2日のヤフードームでの第1ラウンドから始まるWBC本番は、投手では田中(楽天)、前田健(広島)、打者では内川(ソフトバンク)らが招集されることが有力。今回のキューバ戦で生きのいいプレーを見せた若手も、何人かがメンバーに加わることになるだろう。

連覇のけん引役だったイチローが抜けるなど世代交代との感も強いが、日本代表の戦い方は過去2大会とは変わらない。

掲げるのは「投手中心の守り勝つ野球」。強豪キューバに競り勝った2試合を「ミスがなく、きっちりした野球ができた」と総括した山本監督にとって、若手を率いての初陣は、改めて方向性がはっきりしたという点で大きな意義のある戦いだったのかもしれない。

(伊藤新時)

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