/

監督たちの戦い ヤクルト・小川監督、若手鍛え脱「外国人頼み」

スポーツライター 浜田昭八

監督の続投、更迭が明らかになるのは、契約切れするシーズンが押し詰まってからだ。ところが、今季のヤクルトは9月上旬に、2年契約最終年の小川淳司監督が2013年も続投すると公表した。

「故障者が多いのに、よく戦っている」と衣笠剛球団社長兼オーナー代行。若手育成でも成果を上げていると、高く評価した。このとき、チームは夏バテ症状が抜けきらず、4位だった。

故障者続出、苦しい台所やり繰り

投手の由規(佐藤)、林昌勇、主戦捕手の相川亮二、主力打者の畠山和洋、川端慎吾らが次々と故障した。エース石川雅規は不調。首位打者3度の青木宣親は、大リーグへ流出した。それを考えると、小川監督は苦しい台所をやり繰りして確かによく戦った。

高田繁前監督が退陣した10年には5月末から代理監督を務め、最下位だったチームを4位に引き上げた。11年は中日と優勝を争い、土壇場で逆転されたが2位。そして、今季は苦しみながらも終盤に巻き返して3位に食い込んだ。

セ・リーグではケタはずれの大補強をした巨人と、中日、阪神の"富裕球団"が3強を占めると予想されていた。そこへヤクルトは割り込んだ。

チーム打率トップも得点効率悪く

投手陣では村中恭兵が復活し、新外国人ロマンも頑張った。故障した林昌勇に代わるストッパーは3年目のバーネット。中継ぎから転向し、中日・岩瀬仁紀とトップに並ぶ33セーブを挙げて代役を無難に果たした。

青木が抜けた打線はリーグ1位、2割6分のチーム打率をマークした。その割には得点効率が悪く、65敗のうち20は完封負けだった。

2年連続本塁打王のバレンティン、打率3割をマークした快足の新外国人ミレッジの調子次第という偏った打線の状況が、この結果を招いた。

スピーディーな攻撃、十分といえず

チーム本塁打90本のうち、52本を2人の外国人(バレンティン31本、ミレッジ21本)が放った。日本人選手で最多は畠山の13本。これに次ぐのは3年目松井淳の5本。4月1日から38日間は日本人選手の本塁打ゼロという珍現象もあった。

本塁打だけが攻撃のすべてではなく、機動攻撃でカバーできる。

だが、バントの多さが目立っただけで、小川監督が目指した足を使うスピーディーな攻撃が十分にできたとはいえない。

続投が決まった同監督は脱外国人頼みを目指し、秋季練習から思い切った体質改善を図ろうとしている。

同監督は今年の米大リーグのプレーオフで、ヤンキースのジラルディ監督が見せた用兵をたたえたことがあった。

秋季練習、量をこなすことに重き

不振のスーパースター、A・ロドリゲスに敢然と代打を送った決断。この用兵に託し、本塁打王でも3割打者でも、代えるべきときは代えると決意表明したのだった。

秋季練習では量をこなすことに重きをおいた。ベテランは長期ペナントレースの疲れをいやすクールダウン、若手は個人技のレベルアップを目指すのが、これまでの秋の動きだった。

だが、ぜいたくな補強はできず、選手層も薄いヤクルトが、巨人や中日と同じことをしていたら差はいつまでも縮まらない。

そこで、個人技もチームプレーも、原点に立ち返って鍛え直そうとしているのだ。

来季終了後にフロント入りの見方も

重点強化選手は投手の日高亮(22)、捕手の中村悠平(22)、内野の山田哲人(20)、比屋根渉(25)、上田剛史(24)らと見られる。

いずれも素晴らしい能力を秘めていて、順調に育つとリーグを代表する選手になりそうだ。

ドラフトでは藤浪晋太郎(大阪桐蔭―阪神)を抽選ではずしたが、ヤマハ・石山泰稚(24)をはじめ即戦力投手を中心に5投手と捕手、内野手を1人ずつ指名した。

投手陣では林昌勇の退団もあって、先発、救援の役割分担が大きく変わるかもしれない。

来シーズン後の小川監督は、フロント入りするのではないかと見られている。後継者が宮本慎也であることは、衆目の一致するところ。

スムーズな禅譲を果たすために、クライマックスシリーズ進出は最低条件。巨人にひと泡吹かせ、自らの手で育てた若い戦力を宮本に委ねることができたら万々歳だろう。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン