「ガンダム駅」なぜできた アップル地図騒動の真相

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2012/10/17 7:00
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OSMに限らず、ゼンリン、マピオン、インクリメント・ピーやアルプス(現ヤフージャパン)などはライバルでありながら交流を持ち、切磋琢磨(せっさたくま)して品質向上に努めてきた。グーグルもその一員だ。アップル同様、開発体制などは明らかにしていないが、デジタル地図開発者コミュニティーの立ち上げや、位置情報を活用したボランティア活動にも積極的に参画している。

08~09年ごろ、位置情報サービスの普及を目指す「ジオメディアサミット」には、グーグルのマップエンジニアと見られる20~30代の男性数人が熱心に参加していたという。地図の専門家ばかりではなかったが「『良いサービスを作りたい』と教えを請う熱意が彼らにはあった」(森社長)。

現在も東日本大震災の支援プロジェクト「Hack For Japan(ハック・フォー・ジャパン)」や「sinsai.info」などの活動を通じて、米国から地図や位置情報を生かした復興に取り組むメンバーもいる。こうした活動で得た知見を、グーグルはマップの品質向上にも生かしてきた。

一方アップルは、こと地図に関しては「こうした貢献は皆無」(古橋氏)。OSMのデータを使っていることすら知らされなかったといい「(情報交換さえしていれば)そもそもデータ結合時に初歩的なミスを犯すことはなかったはずだ」(同氏)。

お粗末なエンジニアリングに、コミュニケーション不足。これに、ビジネス上の「事情」も追い打ちをかけた。

■位置情報の獲得競争に参戦

不完全なものを、なぜ今、出さざるを得なかったのか。背景には、「アップルはユーザーの位置情報の獲得競争を、グーグルやマイクロソフト相手にせざるをえなくなったという事情がある」というのが海外の通信事情に詳しい情報通信総合研究所の小川敦研究員の見解だ。ユーザーのスマホから取得した位置情報は、今後カネを生む可能性が高いビッグデータだ。自社製地図の機能をアプリ開発者に組み込んでもらい「OSとセットで囲い込みたいという意図がある」(同研究員)。

美しいグーグルのストリートビュー機能

美しいグーグルのストリートビュー機能

スマホにOSを提供する各社は、地図機能の強化に力を注いでいる。例えば米マイクロソフトは、9月6日に発表した最新版OS「ウィンドウズフォン8」を搭載したスマホ「ルミア920」に、道路が混雑する時間帯を考慮して所要時間を算出するナビゲーション機能を搭載した。グーグルはグーグルマップの機能を外部サービスやアプリケーションから利用可能にするAPI(アプリケーションインターフェース)の利用料を6月に値下げ。11日には「Street View(ストリートビュー)」機能を大幅にアップデートするなど、着々と強化を進めている。

前OSまでの標準地図アプリはグーグルマップだったため、アップルはこの宝の山をみすみすグーグルに渡してきた。

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