2019年1月24日(木)

「イノベーション欠乏症が日本を滅ぼす」
小林三郎・元ホンダ経営企画部長が講演

(1/7ページ)
2012/10/11 7:00
保存
共有
印刷
その他

 日本経済新聞社は3日、日経電子版「テクノロジー」で5~8月に連載した人気コラム「ホンダ イノベーション魂」著者の小林三郎氏を招き、電子版有料会員を対象に特別セミナーを開催した。セミナーは「イノベーションの神髄~挑戦する人と組織のつくりかた」と題した小林氏の講演と、トークセッションの2部構成。小林氏は「新しい技術を生み出せない国は滅びる」「アタマの硬い40歳以上は、若い人たちにイノベーションを委ねるべきだ」などと熱く語った。

小林三郎氏 中央大学大学院戦略経営研究科客員教授。1945年東京都生まれ。71年に本田技術研究所に入社。2000年にホンダの経営企画部長に就任。05年12月に退職後、10年4月から現職

小林三郎氏 中央大学大学院戦略経営研究科客員教授。1945年東京都生まれ。71年に本田技術研究所に入社。2000年にホンダの経営企画部長に就任。05年12月に退職後、10年4月から現職

今日は「新しいことをどうやるか」という話をする。新しい商品や技術を生み出せない国は必ず滅びる。

米ゴールドマンサックスの予測によれば、2050年のGDPランキングでは1位中国、2位米国と続いて日本は8位だ。ブラジルにもインドネシアにも負けることになってしまう。日本は過去20年間、コストダウンと効率化に力を注ぐばかりで革新的なことをしてこなかった。企業のトップも、今やそういった人たちが占めている。

戦後、ソニーやキヤノン、ホンダなどの日本を代表するベンチャーが大企業まで成長し、日本経済の発展を支えた。30年前、新しいものはかならずソニーから出てきた。すぐ壊れても「新しい」、つまり革新的だったから欲しかった。ところが今やどうだ。ソニーは全く革新的ではなくなった。ホンダを辞めた人間ですら、ホンダには欲しい車がない。買えば悪い車ではないのだが、まず欲しいと思わない。こんなことは創業以来初めてだ。仕方がないからアウディやポルシェ、ベンツに乗っているありさまだ。話にならん。

■革新的な企業、3つの共通項

イノベーションを起こす企業には3つの共通項がある。1番目は、ユニークなリーダーだ。キヤノン初代社長の御手洗毅氏やソニー創業者の井深大氏、ホンダ創業者の本田宗一郎氏――。2番目は、ロクでもない社員だ。大学の成績が悪かったり、そもそも大学を出ていない社員が多い。成績は瞬間的な論理判断力で決まるが、新しいことをやる時には邪魔になることもある。3番目は、年寄りがいないことだ。例えば私がホンダに入った時は、全社の平均年齢が24.6歳だった。

イノベーションの実例を挙げる。ソニーのウォークマンだ。32年前ほど前、ソニーの若手社員がある提案をした。テープレコーダーから当時付いているのが当たり前だった録音機能を削り、その分いい音で聞けるようにしようというのだ。ソニーの全役員と技術エキスパートが大反対した。しかし当時会長だった盛田昭夫氏が「いい音だから売ってみろ」といった。すると大ヒットして、ウォークマンを聞きながらジョギングするといった新しい文化まで作ってしまった。このヒットが現在のソニーの基盤を作った。

  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 次へ

日経電子版が2月末まで無料!いつでもキャンセルOK!
お申し込みは1/31まで

保存
共有
印刷
その他

「ホンダ イノベーション魂」を読む

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報