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V目前・巨人の懸念材料 戻るか豪快さ、村田の苦悩

優勝マジックを1として、3年ぶりのリーグ制覇に王手をかけた巨人において、今季新加入した村田が苦悩している。阿部、坂本、長野らの主軸打者が打撃部門の上位を占め、好調なバットでチームを引っ張る中、村田自身の成績は期待の大きさと比べるといまひとつ。横浜(現DeNA)から鳴り物入りでフリーエージェント(FA)移籍した和製大砲は、来るべきクライマックスシリーズ(CS)とその先にある日本シリーズに向け、巻き返しに燃える。(記録は20日現在)

本塁打は自己最低ペース

「プロに入って勝率5割以上の野球をしたことがない。強い野球というものを自分の中でも感じたい」と語って今季巨人入りした村田だが、これまでの成績は打率2割5分8厘、11本塁打、54打点と物足りない数字だ。

特に本塁打はプロ入り最少だった2年目の15本を下回るペースで、持ち前の長打力が鳴りを潜めている。

統一球の影響もさることながら、その要因には置かれた環境の大きな変化もあるようだ。

横浜時代は不動の4番打者として、常に走者をかえし、走者がいないときには一発長打を狙う役割が期待された。大量点が見込めないチーム内で求められたのは、貴重な得点源としての働きだった。

チーム打撃を気にし、スイング小さく

だが、重量級の打者が居並ぶ巨人ではケースによって役割は異なってくる。僅差で終盤を迎えて走者が出れば、得点の確率を高める進塁打の意識も必要だ。

こうした場面に応じたスイングの使い分けにうまく対応できず、村田は「チーム打撃を気にしすぎるあまり、スイングが小さくなりすぎた」と振り返る。

チームへの貢献を考えての意識改革は皮肉にも、村田の打撃を窮屈にし、負の結果を招いた。痛烈なゴロが内野手の正面を突く場面も目立ち、併殺打はリーグワースト2位の16。

バットを構える際のグリップの位置を下げたり上げたりするなど試行錯誤も続けているが、劇的な効果はなく、得点圏打率は2割4分と低空飛行を続けたままだ。

勝負強さをなかなか発揮できずに9月を迎えると、原監督の厳しい采配の矛先が向けられるようになった。

9月に入ると非情の交代も

得点圏で3度凡退した翌日のゲームだった7日のヤクルト戦。一回に2点先制し、なお無死一、二塁のチャンスで打席に立った村田は空振り三振を喫し、続く二回の1死一、二塁では三ゴロ併殺に倒れた。

すると、その裏の守備で交代を告げられ、試合途中でリフレッシュのための帰宅を促された。

心機一転、髪を丸刈りにして臨んだ9日のヤクルト戦第3戦(新潟)は、0-3で迎えた六回2死満塁の第3打席で代打に高橋由を送られた。

村田を常々、「打線の軸の1人」と位置づける原監督の非情とも言える決断。対戦相手の小川監督さえも驚く"屈辱的"ともいえる交代だった。

守備では貢献

それでも、昨季は三塁手を固定できなかった巨人にとって、ここまで全試合に出場している村田の存在は大きい。鋭いダッシュからのランニングスローや鮮やかなグラブさばきで、何度もピンチを救ってきた。

原監督も守備面での貢献を高く評価するだけに「修(村田)はまだまだもがきながら第一線で引っ張ってほしい」と打撃面での奮起を促す。

厳しく接する監督の態度が、期待の大きさの裏返しであることは本人も承知している。11日から始まった本拠地・東京ドームでの広島戦では、試合前の練習中にノックバットを使ってロングティー打撃に汗を流す姿があった。

試合用より長いバットを使ったスイングで、ボールを遠くに飛ばす感覚を体に染み込ませるのが狙い。「長距離を打てるのは天性。そうすることができる打者は限られている。捨てるのはもったいない」。9月初めに村田打撃コーチから受けた助言が、2007年、08年と2年連続でセ・リーグの本塁打王に輝いたスラッガーに飛距離の魅力を再認識させた。

4番の阿部が好調なだけに…

4番を務める阿部は打率(3割3分3厘)と打点(96打点)でリーグトップを快走、本塁打(25本)もリーグ2位と絶好調だ。

それだけに、5、6番を任される村田は「阿部さんを(四球で)歩かせて僕で勝負があり得る」。CSまでの戦いを見据え「そういう場面でこれ以上、(打撃が)小さくなってはいけない」と自覚を深める。

チームの顔として君臨した昨季までとは一変、もがき、苦しみ続ける日々。それでも本人は「横浜の4番のときの姿とは違う。このチームに来て勉強になった」と前向きだ。

「優勝の瞬間はグラウンドにいたい」

「優勝の瞬間にはグラウンドに立っていたい。いの一番に胴上げに駆け寄りたい。代われと言われたら『嫌だ』と言います」

プロ入りして初めて、優勝マジックを減らす野球を体験し、念願のリーグ制覇がすぐそこに迫る。「(この経験が)いつか肥やしとなって、本当に巨人に来てよかったなと思えるシーズンにしたい」と村田。

そのためにも自らのバットでチームやファンからの揺るぎない信頼を勝ち取る戦いが、これからも続く。

(常広文太)

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