2019年7月21日(日)

未来面「あたらしい時代です。」

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社会の「不」を5G時代にどう解決しますか?
読者の提案 高崎秀雄・日東電工社長編

未来面
2019/6/24 2:00
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高崎社長の提示した「社会の『不』を5G時代にどう解決しますか?」という課題に対し、多数の投稿をいただきました。紙面掲載分を含めて、当コーナーでその一部を紹介します。

■記憶を記録する

 鳥羽 裕介(会社員、26歳)

次世代の高速通信技術「5G」の実用化によって、生活に必要なものはほとんどすべてが、インターネットの世界につながるかもしれない。いまの私たちには想像もつかないくらい膨大なデータ量を処理できるようになるだろう。そうした膨大なデータを活用することで、まだ手つかずの領域に足を踏み入れることができるのではないか。「記憶」がそのひとつだ。

この投稿を考えているいま、これまでの生活で不便に思ったことは何だったか考えてみたが、なかなか出てこない。不便に思うことはたくさんあったはずだ。記憶を記録して、必要なときに取り出すことができれば、違った世界が見えてくるのではないだろうか。他人の記憶にアクセスできれば、その人の人生を疑似体験することも可能になる。人間にとって未知の領域である記憶にこそ、新たなビジネスの種が眠っているのかもしれない。

■広く教育の機会を

 西 竜矢(会社員、30歳)

「離れている相手に何かを伝える」。人間は即座に遠くへ移動できるわけではなく、これは有益なことだ。5Gになれば、大きな革新を起こせるだろう。まず思いついたのは、教育機会の「不」足の解消だ。

私自身、北海道の田舎で生まれ育ち、通学には苦慮していた。仮想現実(VR)なども含めた双方向の情報伝達が、5Gによって十分に可能になれば、この問題は解決する。通常の通信教育で懸念されている他者とのコミュニケーション不足も「同時多数接続」という利点を生かすことで解消できるだろう。

広大な土地に住民が点在するアフリカなどでも、教育の機会をこれまで以上に提供していくことが可能になる。一人でも多くが十分な教育を受ける、この「不」の解消は、人々がより賢くなり、更に多くの「不」を解消していくきっかけとなり得るのではないか。

■通院せずに治療

 小林 亮太(駒沢大学グローバル・メディア・スタディーズ学部3年、20歳)

私の祖父母は80歳を超えており、毎週運転している。理由は通院だ。「病院まで片道約1時間かかり、大きな負担になっている」。昨年帰省した際、困ったように言っていた。最近、高齢者が交通事故を起こしたというニュースを多くみる。運転が負担として重くのしかかっていると、祖父母を通じて感じる。

5Gによって医療分野で実現を期待したいのは、病院に行かなくても診察を受けられるようになることだ。自宅と病院間でスムーズに画像などの情報をやりとりできれば、病院まで通う負担を減らせる。

自分の祖父母が抱えている負担からそんなことを考えてみた。どこかに誰にも気づかれていない「負担」があるはず。それを解消するために5Gを使えないだろうか。すでにあるものをさらに便利にするのではなく、今までになかった変化を起こすことに使うべきだと思う。

【以上が紙面掲載のアイデア】

■全ての車を自動運転に

 田辺 凌祐(同志社大学大学院修士2年、24歳)

最近、車による事故のニュースが多い。今後は事故のない社会を目指すべきで、だからこそ自動運転車を目にする機会も増えていくだろう。しかし今の自動運転技術は車1台1台に対するもので車同士はつながってないし、自動運転機能のない普通の車と混在する中で使用される。つまり事故は減るかもしれないが起こり続ける。

そこで私は町全体を管轄する巨大指令室を作り、町で走る全ての車を制御すればよいと考えた。全ての車を高度に自動運転化させ、5Gのネットワークでつなげる。運転するのは人ではなく人工知能(AI)だ。そうすることで前の車がブレーキをかければ後ろの車もブレーキをかけるし、アクセルも同様だ。さらに無駄なブレーキやアクセルを踏まないようにスピードを調整するから渋滞も防止でき、エネルギーも節約できる。そしてAIが歩行者、障害物を感知するから様々な危険を未然に防ぐ。そんなことが実現できれば車の事故なんてないのが当たり前で、悲惨なニュースを見なくていい日が訪れる。

■対面コミュニケーション不足を解消

 森川 大彰(大阪大学法学部3年、20歳)

5Gは対面コミュニケーション「不足」の解消に有効ではないか。現在では電話やメール・SNS(交流サイト)などの発達で互いの顔が見えない、非対面のものが大半を占める。しかし意思疎通を正確に図り、相手と親密な関係を築くには、対面性が重要だ。5Gは広く浅くなりがちな今日の人間関係に一石を投じる。まず離れた人とのコミュニケーションをより密にしてくれる。超高速・同時多数接続といった利点を生かし、ビデオ通話などで、相手と顔を合わせて意思疎通が容易に図ることが可能になる。従来の電話やSNSに比べて相手をより身近に感じることができる。さらに5Gは、身近な人と対面コミュニケーションを取る機会を増やしてくれる。テレワークやオンライン会議の普及で、残業や通勤時間の短縮が進むからだ。自由に使える時間が増えて、大切な家族や友人と過ごす時間に充てることが出来る。5Gにより遠近問わず、対面コミュニケーションの密度が一層濃くなるのである。

■AI自動通訳で言語を超えた相互理解

 庄司 雷達(自営業、74歳)

5G時代には、言語の壁がAI自動通訳の普及によりほぼ完全に解消される。一方で文化、慣習、理念や宗教など言語を越えた概念の分野での共存・相互理解が、AIによる重要な研究分野になるだろう。5Gでの一番の変化は、4Gまでの情報アクセスの不平等がほぼ解消され、誰もが普通に会話するだけで機器を操作し、必要な情報とサービスを容易に手にするだろう。高齢化社会に伴う介護・支援も、AIが組み込まれた介護補助器具やロボットの利用で、「老老介護」の苦労や悲劇の多くを克服できるだろう。幹線道路網や電気水道網のようにインターネットを公共施設化すれば誰もが利用できるが、インターネットに接続した機器に価値のあるデータや機密情報を保管することは路上に自分の大切な物を放置するようなもので、誰もしなくなるだろう。その代わりインターネットに接続しない、独立閉鎖型のローカルネットが増えてくることになろう。

■自然災害を予測

 南谷 美帆(駒沢大学グローバル・メディア・スタディーズ学部3年、20歳)

5Gの技術を用いて正確な天気や自然災害を予測し、それら情報を私達が瞬時に把握することができれば、悪天候や地震などに怯えることなく生活できるようになるのではないかと考える。天候を予測する際に利用する気象予測システム、全国の気象台、気象レーダー、静止気象衛星のそれぞれや地震を予測する探査機器に5Gの技術を組み込ませ、スマートフォンと連動させることによって常にリアルタイムの情報を知ることができ、悪天候時や大地震が予測された場合には前もって備えることができるので、天候に対する不満や災害後の混乱を未然に防ぐことができるだろう。技術革新が進んでいる世の中ではあるが、自然現象と向き合うのはいまだに難しい。天候などの自然現象は短時間でさえ変化が絶えないものなので、即座にそれらの情報を発信する必要があるのではないかと考える。5G時代は、天候や災害に振り回されることなくどんな自然現象とも共存できる世の中になってほしい。

■「どこにいても」「誰でも」受けられる授業

 田中 志穏(千葉大学園芸学部3年、21歳)

遠隔地にあるキャンパスに通う大学生は、制度上は他のキャンパスで受けることができるはずの授業も、休み時間でキャンパス間の移動ができないことやオンデマンド授業にタイムラグがあることで、ディスカッションなどリアルタイムで参加を求められる授業に出るのは難しい。5G時代に、私は高速通信システムを利用して、全教育機関でネットワークを構築し、単位の互換性を高めることで飛び級システムや遠隔地での授業支援を整え、「どこでも」「誰でも」受けることのできる授業をつくりたい。このシステムが実現すれば、どんな遠隔地でも授業ができるので、学生が自分の求めるスキルを持つ人を講師に選んで新しい授業を自分でつくることも可能になる。義務教育とは違い、自分で何を学ぶか決めることができるという環境を生かして、与えられた授業をただ受動的に受けるだけでなく、自分の学びを形成したい。

■通勤や転勤のない時代へ

 石塚 実紅(駒沢大学グローバル・メディア・スタディーズ学部、18歳)

私が考えた案は会社に出社しなくてもいいようにするというものです。現代社会において通勤ラッシュ、帰宅ラッシュは社会問題であり、また都市に人が集まり地方の過疎化が進んでいます。超高速、同時多数接続、低遅延の5Gがあればオフィスで行われている作業が家でできるようになると考えました。スカイプなどを使って会議もよりスムーズになり、情報も早くなるため直接会社でやり取りするように自宅にいても同じ速度で仕事ができるようになると思います。また自宅での仕事が一般化すれば、地方で暮らしながら都市で働けるため人口集中も緩和でき、さらに単身赴任や転勤もなくなると考えています。このように私は5Gを使って、通勤することで起こる「不」を解決したいと思います。

■スパコンをしのぐ分散コンピューティング

 青木 祐太(会社員、31歳)

人工知能(AI)が社会に浸透していくにつれて問題となるのが、AIの学習のために必要な計算量の増大と、それに伴うエネルギー消費や排熱の増大である。特に、クラウド側で大規模な計算を処理するために回路を高集積化すると発熱密度が高まり、その冷却のためにますます多くのエネルギーが必要となる。この課題を解決できるのが、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」を利用した分散コンピューティングである。スマホやウェアラブルデバイス、さらには車載デバイスなどの様々な移動端末がデータを集め、集めたデータを5Gを介して共有し、分散コンピューティングによって共同でAIを学習させ、その結果を共有する。一つ一つのデバイスは小さいので発熱密度はそれほど高くない。これだけ移動端末があらゆる場所にあれば、たとえ一つ一つの計算能力は頼りなくても、それらを集めればどんなスーパーコンピューターでもかなわないほどの計算能力が得られるだろう。超高速・同時多数接続・低遅延の5Gが、これを可能にする。

■遠隔地の両親を見守り

 大胡 裕二(会社員、55歳)

私の両親は80歳を超え、広島県で暮らしています。私は就職してずっと首都圏におります。父は認知症を発症しており、前日のことすら覚えていません。母は、その父のサポートで、自身の健康は維持しているものの、とても疲れています。毎週土曜日は午後6時35分に実家の母の携帯へ電話します。父が調子が良い時は、代わってもらい、カープの話や幼少期の出来事などで話が盛り上がります。ただ調子が優れず、蚊の鳴くような声の時も増えてきました。漠然としたアイデアですが、高齢者の両親の状況を遠隔で、リアルタイムで確認できるシステムの構築を期待します。もちろん血圧や心拍数なども確認したいです。かかりつけ医と私が相談できたりすると、理想的な遠隔介護です。

■孤独をなくし、日本を元気に

 中尾 貫太(朋優学院高校1年、15歳)

超高齢化社会を迎える日本において5Gの技術をうまく活用できれば、社会が抱える不安は解決できる。例えば、核家族化や未婚率の上昇に伴ってお年寄りが孤独になることが不安のひとつ。そこで、一人暮らしのお年寄りにチップなどを取り付け、体温や呼吸の異常を検知したら行政、医療機関などに情報が伝わるようなインフラができないだろうか。

ほかの5Gの使い方もあるだろう。歳をとると身体が思うようにならず、外出することが難しくなるが、それでも社会と接することは大切。そんなときにたくさんの拠点を同時につないで、音声も画像もクリアになったバーチャル空間をつくる。趣味、悩み、境遇などが同じ人と、会話ができるサークル活動のような仕組みを提供する。それによって人生に前向きになる人が増えるだろう。5Gを通じて孤独にならないインフラを作り、その仕組みを海外に輸出することで日本は元気になると思う。

■教員の長期間労働を解消

 坂巻 太一(信州大学大学院2年、24歳)

働き方改革が注目される中、社会変化への対応や保護者等からの期待の高まり等を背景に、学校教員の長時間労働が問題となっている。この原因の1つとして部活動が挙げられる。平日の練習や休日の大会に長時間割かれることで授業の準備ができない、休みが取れなくなっている。そこで、部活動に教員ではない外部の指導者を取り入れてみてはどうだろうか。例えば、プラスチック光ファイバーを張り巡らせた学校の体育館にカメラを配置する。指導者はどこにいても高精細に映像を映せるゴーグル型ディスプレー等を使って、まるで体育館にいるかのように生徒を指導する。さらに、生徒に動きを教えたいときにはロボットを遠隔操作する。そうすれば、遠い場所にいる指導者でも生徒に部活動を指導できるようになる。5Gを使えば教員の多忙化を解消し、さらに生徒はいつでも質の高い指導を受けられるのではないだろうか。

■災害情報を素早く伝える

 柴田 嶺(海陽学園海陽中等教育学校中学3年、14歳)

日本は地震がよく起こったり、火山が活発に活動したりすることから自然災害大国と呼ばれるている。そのことから災害予報に力を入れている。しかし、テレビやスマートフォンなどに情報が伝達されても急に起きる地震などから身の安全を確保できない場合が多い。5Gになると情報を伝えるスピードが早くなり、火災が起こるまでに身の安全を確保できる時間が多くなると考えられる。未来には現在ではできないような災害予想が増えてくると思われる。例えば、世界中の膨大な地震の情報を瞬時に集め、津波を起こすであろう地震を発見し、即座に情報を届ける津波予報、その地震が起こることによって周りのプレートの境目に影響を与えて自身が再び起こるかどうかの予想など、いろいろな可能性が存在する。5Gは膨大な情報量を瞬時に送ることができ、そのことは日本を防災大国として発展させていくことだろう。

■遠隔操作で手術

 佐久間 勇人(青山学院大学経済学部3年、21歳)

私は、5Gサービスを用いて遠隔操作で手術が可能になると考える。これにより、離島などの医師不足問題も解決できると思う。手術は少しの遅れでも重大な事故を引き起こしてしまう。そこで、超高速・低遅延で通信可能な5Gを介して、ネットワーク接続された次世代移動診療車が、職場や各種施設、無医地区、災害現場などに赴き、総合病院との間で高精度な診断映像とテレビ会議映像を同時に用いた遠隔診療を実現することができれば、より広いエリアでリアルタイムに高度な医療を行えるようになる。細かな作業を必要とするような難しい手術も遠隔で実行することができるのだ。最近では、中国で5G技術を駆使してロボットアームを動かして鉗子(かんし)と電気メスを遠隔操作し、豚の肝小葉を切除する手術に成功したことが明らかになっている。医師がどこにいても手術ができるようになれば、将来的に地域における医療格差もなくなっていくだろう。

■離れていても一緒に住んでいるような体験

 倉島 研(教職員、43歳)

5G水準のデータ通信は対人関係で行うコミュニケーションを意識上では区別できないほどに代替できる可能性がある。人間の精彩な画像や音声が遅延無く再現されることにより、リアルな感覚を私たちに生じさせる。これはコミュニケーションツールとしての手紙、電話、テレビ電話、SNSの次に位置するツールとなるだろう。遠隔地に住む家族や恋人同士を想定してほしい。彼らは別の場所で寝起きし食事をしている。しかし、等身大に映る大画面モニター、驚くべき薄さと軽さに将来なると思われるが、それをリビングルームに設置し、5G通信でお互いに常時接続していれば、そのリアルな情報と双方向性によって一緒に住んでいるような体験が得られるだろう。無論、物質として同一の場所に存在しあうというつながりが最上とは思うが離れて住まざるを得ないことだってある。そのような時の「どこでもスクリーン」だ。

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