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初のJ陥落はどこに…J1・J2、優勝・残留争い白熱

サッカージャーナリスト 大住良之

3月に開幕したJリーグ。J1(1部)とJ2(2部)の戦いも、終盤戦に突入した。J1は残り9試合、J2は残り8試合。だが、ともにまだまだ予断を許さない状況だ。優勝争いだけではなく、残留や昇格を決める戦いも、最後の最後まで行方がわからない混戦が続いている。

これまでJFLへの降格はなかったが…

1993年にスタートしたJリーグ。99年にはJ2が誕生し、J1からJ2への降格が生まれた。

しかし、これまでJ2からの降格はなかった。誕生した際のJ2は10クラブ。そこから徐々に増えてきたのだが、Jリーグは「22クラブまで増やす」という方針をとり、20クラブで争った2011年までは降格がなかったのだ。

だが今季、松本山雅と町田ゼルビアが加盟(Jリーグの下の全国リーグであるJFLから昇格)して22クラブに達したため、JFLとの間での入れ替え戦についてのルールがつくられたのだ。

JFLで2位以内に入ったクラブが下記の条件を満たしている場合には、自動入れ替えあるいは入れ替え戦が行われる

1)Jリーグに準加盟していること。

2)J2のクラブライセンスを取得していること。

「クラブライセンス」は今季始まった制度で、クラブ運営組織やクラブ施設(ホームスタジアム、トレーニング施設)などを審査したうえで、「J1」あるいは「J2」のライセンスが発行される。このため、たとえ昇格必要な成績を残しても、昇格先のライセンスがなければ昇格することはできない。

JFL、上位2強はほぼ確定?

17クラブで争われている今季のJFL。全34節のうち25節まで消化し、各クラブが23ないし25試合を消化しているが、上位2クラブはほぼ固まったように見える。

首位がAC長野パルセイロ(25試合で勝ち点52)、2位がV・ファーレン長崎(24試合、勝ち点50)。ともにJリーグの準加盟を認可されているクラブだ。

3位のSAGAWA SHIGAが24試合で勝ち点40と、勝ち点で10もの差がある。

クラブライセンスの審査は現在進行中で、発給の可否は9月末に決まる予定だ。

J2順位表
順位チーム勝点勝ち分け負け得点失点得失差
1甲府 68191144826+22
2湘南 63171255435+19
3大分 58177104934+15
4京都 58184124637+9
5千葉 57176114626+20
6東京V 57183135536+19
7山形 56151184836+12
8横浜FC 54166124939+10
9栃木 53158114034+6
10北九州 52157124337+6
11岡山 51131293229+3
12水戸 49147133937+2
13松本
 山雅
451112113235-3
14徳島 431110133536-1
15草津 401010142633-7
16熊本 401010143041-11
17福岡 39912134653-7
18愛媛 34810163641-5
19岐阜 29611172044-24
20富山 28610182947-18
21鳥取 2884222666-40
22町田 2459202451-27

(9月19日現在)

J2とJFLの入れ替え規定によると、JFL上位2チームがともに昇格条件を満たしている場合には、JFL1位とJ2の22位が自動入れ替え、JFL2位とJ2の21位が2戦制の入れ替え戦(11月25日と12月2日)を実施する。

J2生き残りをかけ、し烈な争い

1チームのみが昇格資格を満たしている場合、それがJFL1位ならJ2の22位クラブと自動入れ替え、2位の場合にはJ2の22位クラブとの間で2戦制の入れ替え戦が行われる。

そのJ2、全42節中34節を消化、残りは8節だが、最下位(22位)は町田ゼルビア(勝ち点24)。21位ガイナーレ鳥取(勝ち点28)との差はわずか4だ。

その上の20位カターレ富山(勝ち点28)、19位FC岐阜(勝ち点29)を含め、最後まで「生き残り」をかけた戦いが続きそうだ。

J2からJ1への昇格方法も変更

J2からJ1への昇格方法も、今年から大きく変わった。昨年まではJ2の上位3クラブが自動的にJ1に昇格していたが、今季は「J1ライセンス」がないと、その対象にすらなれない。

しかも、自動昇格は1位、2位の2クラブだけ。3位から6位の4クラブは勝ち抜き方式の「昇格プレーオフ」を戦い、それを勝ち抜いたクラブがJ1の座を勝ち取ることになる。

「昇格プレーオフ」は、11月18日に「準決勝」(会場未定)、23日に「決勝戦」(東京・国立競技場)が行われる。対象順位のチームにJ1ライセンスがない場合はプレーオフを行わず、J1の16位チームは残留となる。

第34節終了時で、首位はヴァンフォーレ甲府(勝ち点68)、2位は湘南ベルマーレ(63)。以下はダンゴレースで、3位大分トリニータ(58)、4位京都サンガ(58)、5位ジェフユナイテッド千葉(57)、東京ヴェルディ(57)と接戦だ。

さらにその下にはモンテディオ山形(56)、横浜FC(54)、栃木SC(53)、ギラヴァンツ北九州(52)、ファジアーノ岡山(51)、水戸ホーリーホック(49)と続いている。

J1昇格レース、プレーオフ出場レースの行方はまだまだ見えない。

「J2降格圏」から抜け出せないG大阪

「激戦」は、J1も同じだ。いや、「J2以上」といってもいい。

全34節中25節を終わって残りは9節。しかし、優勝争いも残留レースも、まったく混沌としているといっていい。

最下位(18位)は、ひとつ上のアルビレックス新潟(勝ち点25)から勝ち点で15も引き離されているコンサドーレ札幌(勝ち点10)で決定だろう。

しかし、残る2クラブはまったくわからない。25節終了時では17位アルビレックス新潟と16位ガンバ大阪がともに勝ち点25。だが15位大宮アルディージャが勝ち点27、14位セレッソ大阪が勝ち点29と差は開いていない。

13位ヴィッセル神戸、12位川崎フロンターレ、11位鹿島アントラーズの3クラブ(いずれも勝ち点33)も安泰とはいえない。

西野朗監督が去ってわずか1年で優勝候補から降格圏に落ちたG大阪の不調は「大混戦Jリーグ」を象徴する出来事。また川崎、鹿島といった上位争いの常連がなかなか浮上できないのも、今季の特徴のひとつだ。

広島と仙台、J1制覇目指してつばぜり合い

激しいのは残留争いだけではない。優勝争いも、まだ絞れない状況だ。

首位はサンフレッチェ広島(勝ち点47)。先週末の15日にベガルタ仙台と対戦し、今季躍進の原動力と言っていいMF高萩洋次郎の決勝点で2-1と競り勝った。この勝利で、広島は前節に仙台に明け渡した首位の座を取り戻した。

広島は昨年まで6シーズンにわたって指揮をとり、独特の攻撃的なスタイルをつくったミハイロ・ペトロヴィッチ監督が離れ、森保一監督が受け継いだが、昨年以上の全員攻撃のチームができ、エース佐藤寿人の左足もさえ渡っている。

J1順位表
順位チーム勝点勝ち分け負け得点失点得失差
1広島4714564726+21
2仙台 4512944424+20
3浦和 4512943524+11
4磐田 4112585137+14
5名古屋 4112583734+3
63911684637+9
7鳥栖 3810873022+8
8清水 38115928280
9FC東京371141029290
10横浜M 3581163128+3
11鹿島 3396103432+2
12川崎 3396103437-3
13神戸 33103123237-5
14C大阪 2985123236-4
15大宮 2776122342-19
16G大阪 2567124751-4
17新潟 2567121729-12
18札幌 1031212064-44

(9月19日現在)

2位仙台(勝ち点45)はスターはいないが、堅固な守備とMF梁勇基(北朝鮮代表)を中心としたスピード感あふれる攻撃力が魅力のチーム。

何よりも、今季これまでの25節中18もの節で首位を守ってきた精神力は敬服に値する。手倉森誠監督の下、チームが熟成期にさしかかっている証拠だろう。

攻撃的サッカーが浸透してきた浦和

この2クラブに徐々に接近し、2位仙台と勝ち点45で並んでいるのが浦和レッズ。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督の攻撃的サッカーが浸透し、昨年の残留争いから一転して優勝を争う力をつけた。

ペトロヴィッチ監督のサッカーを熟知するMF柏木陽介(2010年に広島から移籍)が獅子奮迅の活躍を見せている。

だが試合は支配するものの爆発的な得点力はなく(25試合中、3得点以上したのはわずか2試合)、優勝するには連勝が必要な終盤のダッシュがきくかどうか。

上位3チーム以外も

優勝争いはこの3クラブに絞られたわけではない。

4位につけるジュビロ磐田は、18クラブ中最多の51得点を記録している攻撃力が売り物。日本代表のFW前田遼一とDF駒野友一がチームを引っぱり、90分間攻め続けるサッカーは迫力がある。

磐田は勝ち点41で2位仙台、3位浦和との差はわずかに4。同勝ち点の5位名古屋グランパスとともに、今後優勝争いに加わってくる可能性は十分ある。

昨年の王者・柏レイソル(6位)は不安定な戦いが続いているが、それでも勝ち点39。首位との差が大きく開いたわけではない。

7位サガン鳥栖、8位清水エスパルス(ともに勝ち点38)も、可能性はゼロとはいえない。

今季初昇格した鳥栖の大健闘

このなかで最も大きな驚きで見られているのが今季初めてJ1昇格を果たした鳥栖。シーズン前は「降格候補」に挙げる人も多かったが、粘り強い守備と果敢な攻撃で上位につけているのは立派だ。

韓国人の尹晶煥(ユン・ジョンファン)監督の下、10得点を挙げているエースのFW豊田陽平に加え、福岡大から加入して3シーズン目のMF藤田直之が激しい運動量でチームをけん引している。

守勢に回ることも多いが、チャンスと見るとあっという間に相手ペナルティーエリアに3人、4人とはいってくるアグレッシブな鳥栖のサッカーは、非常にエキサイティングだ。

J1の優勝争い、J1残留争い、J2の上位チーム争い、「プレーオフ」出場権の3~6位争い、そしてJ2残留争い……。J1の18クラブ、J2の22クラブ、計40クラブの大半が何かをかけて戦う2012Jリーグの終盤戦。さて、結果は?

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