「世界の工場」中国の次 浮上する黄金の三角地帯
編集委員 後藤康浩

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2012/9/23 7:00
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■労働集約的産業は北回帰線を目指す

道路網の整備はゴールデン・トライアングルに大きな効果をもたらそうとしている

道路網の整備はゴールデン・トライアングルに大きな効果をもたらそうとしている

東西、南北の道路網の整備は日中両国の思惑以上の大きな効果を地域にもたらそうとしている。新たな産業集積だ。中国は一人あたり国内総生産(GDP)が5400ドルに達し、アジアでは人件費が高い国の一角に入った。工場労働者の賃金でみれば、タイとほぼ同等、ベトナムの2.5倍、ラオスの3倍、ミャンマー、カンボジアの4倍といった水準だ。結果として、労働集約型産業の工場は中国を逃げ出し、インドシナ半島に移転する動きが加速している。世界ではインドシナ半島からバングラデシュ、インド、パキスタン、さらに北アフリカ、大西洋を渡ってメキシコまで。北緯23度の北回帰線近くに、人件費の安い労働力を得られるベルト地帯があり、労働集約型産業がそこを目指して集積しつつある。ゴールデン・トライアングルをヘソとする地域が世界の産業では沸騰地帯になろうとしているのだ。

尖閣諸島を巡る日中の激しい対立は、日本企業に中国戦略の見直しを迫っている。仮に尖閣や歴史問題などが落ち着いたとしても、「安い人件費の中国」という時代がとうに終焉した以上、日本企業は中国に置いていた工場の相当部分の移転を真剣に考慮せざるを得ない。その受け皿はインド、バングラデシュなど南アジア、東南アジア諸国連合(ASEAN )となるが、そのなかでインドシナ半島は豊富で賃金の安い労働力、中国とインドの二つの大人口国を両にらみする地政学的位置という二つの利点、さらに東西、南北の道路網という強みを持つ。

アジアは常に変化する。ダイナミックな展開をみせるインドシナ半島に今、注目したい。

 「私が見た『未来世紀ジパング』」はテレビ東京系列で毎週月曜夜10時から放送する「日経スペシャル 未来世紀ジパング~沸騰現場の経済学~」(http://www.tv-tokyo.co.jp/zipangu/)と連動し、日本のこれからを左右する世界の動きを番組コメンテーターの目で伝えます。随時掲載します。筆者が登場する「"魔の三角地帯"が中国の経済特区に」は9月24日放送の予定です。

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