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中日の守護神・岩瀬、鉄腕投手の輝く勲章

中日の守護神、岩瀬仁紀(37)が24日、ナゴヤドームでのヤクルト戦で30セーブをマーク、自らの持つ30セーブの連続記録を8年に伸ばした。注目度はいまひとつだったが、実は米大リーグにも数少ない大記録。入団以来14年連続の50試合登板にもあと7試合となった。(記録は27日現在)

日本では空前絶後

ローテーションで投げる先発投手でも毎年、好成績を残すのは困難。まして毎日、ブルペンで控え、味方のリードを守らなければならない抑え投手は肉体的疲労に精神的疲労も加わり、好成績を維持するのはさらに難しいと言われている。

横浜(現DeNA)時代、「大魔神」といわれた佐々木主浩でさえ、移籍したマリナーズで3年連続を記録したが、日本では2年連続が最多。岩瀬を追う日本選手は3年が最高で、日本では空前絶後の記録といっていい。

米大リーグでも8年以上は2人だけ。通算608の大リーグ記録を持つヤンキースの守護神マリアノ・リベラが昨年まで9年連続だった。

連続30セーブ6年以上の大リーグ投手
9年リベラヤンキース
8年ホフマンパドレス
7年パーシバルエンゼルス
ネンマーリンズなど
6年ホフマンパドレスなど
エカーズリアスレチックス
ウェッテランドヤンキースなど
ネーサンツインズ

しかし、リベラは42歳で迎えた今年5月の練習中に右膝の靱帯を断裂し、故障者リスト入りした。その後、復帰していないから9年でストップしそうだ。

制球力と切れのいい変化球

リベラに次ぐのは601セーブのトレバー・ホフマン(パドレスなど)で8年連続。ただし、ホフマンは03年のシーズンを右肩などを手術して棒に振った後、04年から再び6年連続をマークしているから驚きのタフネスぶりである。

西尾東高から愛知大学と地元の球界で育ってきた岩瀬はNTT東海を経て、1999年に中日入りした。新人の時から左腕からの制球力と切れのいいスライダーで中継ぎ投手としての才能を発揮した。

10勝2敗1セーブと新人王の条件を満たしたが、同年には20勝を挙げた巨人・上原(現レンジャーズ)がいてタイトルは逃した。その後、抑え投手につなぐセットアッパーとして活躍した。転機は2004年の落合博満監督体制からだった。

岩瀬の年度別成績
年度試合
99651021
00581051
0161830
0252420
0358524
04602322
05601246
06562240
07612443
08513336
09542341
10541342
11560137
12430330
7895038343

落合監督時代、抑え投手に

03年にクローザーを務めていた大塚晶則がパドレスに入団した後、新しい抑え投手候補がいるかと聞かれて、同監督は「岩瀬がいるからいい」とひと言。入団6年目で抜てきされた。

惜しかったのは、抑えに転向した1年目のシーズン。開幕前にけがで出遅れた。結果は2勝3敗22セーブ。この年、順調にスタートして30に達していれば、さらに記録は1年を加えていたはずだ。

その後の活躍は年度別記録の通り。05、06、09、10年と4度の最多セーブ投手に輝き、11年には高津臣吾(ヤクルト)の持つ通算セーブ記録を更新する287セーブを達成した。

色々な記録を塗り替えるごとに聞かれる思い出の試合は07年の日本シリーズという。第5戦で落合監督が八回までパーフェクトだった山井を九回に岩瀬に代えた問題のゲームである。

首脳陣から厚い信頼

「これ以上ないほど緊張した」という。1点差でもあり、同僚の完全試合を引き継ぐ形で登板した。それでも3人で抑えてしまったのだからさすがだった。たとえ試合を失っても落合監督が「岩瀬で負けたのだから仕方ない」というほど厚い信頼を得ていた。

ただ、鉄腕にも"さび"は出る。昨年は不調の時もあり、MVPを獲得した浅尾拓也に抑え役を任せることもあった。今季は浅尾との2人抑えという構想もあったが、その浅尾が昨季ほどの投球を見せられずに戦列を離れたこともあり、前半は大車輪の登板となった。

球宴前に27セーブ。その反動は左肘の違和感と背中の張りとして表れ、球宴は登板しなかった。

2軍降格、自ら申し出る

7月31日に復帰したものの、8月1日にセーブに失敗したところで、権藤博投手コーチに2軍降格を自ら申し出た。「今までは踏ん張りながらやってきたけれど、どうにもできないと思ったのは初めて」と語ったそうだ。

2軍での調整は16日間に及んだが、体の治療など順調だったようだ。「おかげで体の芯が良くなって、自信を持って投げられている。良くない時期があったのでこれから取り返したい」とコメントして前向きだ。

18日に1軍へ戻ってからは3試合連続無安打無失点とベンチの信頼感を取り戻している。さすがに37歳の年齢だから、不調の原因は首脳陣の起用法にもあったのかもしれない。

連続30セーブ3年以上の日本人投手
8年岩瀬仁紀中日
3年高津臣吾ヤクルト
小林雅英ロッテ
永川勝浩広島
佐々木主浩マリナーズ

失敗しても「それを引きずらないのが抑え投手」という。過去のことを考えていたらこんな商売はできない、ともいう。ユニーホームを着ていないと普通のおじさんにも見えるが、精神的には相当タフなのだろう。

不調や失敗、何度も乗り越える

今や抑え投手の見本ともなっている。巨人の山口鉄也は「岩瀬さんを見て思った。いかにして3球で1ボール2ストライクに追い込むか」と語ったことがある。抑えといっても球威より制球が大事だということだろう。

何度も不調や失敗を繰り返しても、その都度立ち直り、年間30セーブを続けているのは本当にすごい。さすがに連日連夜の登板は無理だろうが、体調にさえ気をつけていれば、当分活躍できるように見える。

あと7試合の登板で自己の持つ新人からの連続50試合以上登板の記録も14年に達する。「自分の中で50試合と30セーブは続けていくという目安、数字なんで」と控えめに語る、鉄腕投手の記録がどこまで伸びるか楽しみだ。

(島田健)

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