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ライバルはルーニー 香川、マンUで熾烈な争い

サッカージャーナリスト 原田公樹

香川真司が札幌でのサッカー日本代表のベネズエラ戦を終え、眠りについたころだった。15日、この夏にイングランド・プレミアリーグで、もっとも注目されていた移籍交渉がまとまった。

マンUがファンペルシーを獲得

香川が所属するマンチェスター・ユナイテッド(マンU)が、アーセナルからオランダ代表のFWロビン・ファンペルシーを獲得することで合意。両クラブが同時に発表したのだ。

英国メディアによると4年契約で、移籍金が最大で2400万ポンド(約30億円)だという。ファンペルシーは昨季、リーグ戦で30ゴールを決めた得点王である。香川にとって、強力な援軍かつライバルが現れた。

6月、香川は昨季まで2年間プレーした、ドイツ・ブンデスリーガのボルシア・ドルトムントから、マンUへ移籍することが決まった。4年契約で、移籍金は1200万ポンド(約15億円)といわれている。

1977年に初めてプロ選手として奥寺康彦氏がドイツ・ブンデスリーガの1FCケルンでプレーして以来、30余年間で100人近い日本人プロ選手が欧州の主要リーグでプレーしてきた。ついに欧州最高峰のクラブの一つ、マンUでプレーする日本人選手が出現したのだ。

香川、プレシーズンツアーで持ち味を発揮

香川は7月から始まったマンUの世界を巡るプレシーズンツアーに帯同。南アフリカ、中国、ノルウェー、スウェーデン、ドイツで6試合すべてに出場した。徐々に持ち味を出している。

なかでも頭角を現したのは5日にノルウェー・オスロで行われたプレシーズンマッチ第4戦、地元のボーレンガ戦だった。

後半16分からトップ下のMFとして途中出場し、エースのルーニーと一緒に初めて実戦でプレー。9分間だったが、お互いにポジションを上下に入れ替えながら、息のあったプレーを見せた。

ボーレンガ戦の試合後、香川の表情が生き生きとしていたのが印象的だった。

「ルーニーがトップに入ったり、下へ落ちてきたときは自分が前に入ったり……。(ルーニーは)練習のときから下りてくることが多いから。お互いに流動的にプレーできれば、もっともっとよくなる」

バルサ戦で強烈な印象

ルーニーが途中交代したあとも、香川は他の選手たちと、精度の高いコンビネーションプレーを連発。ゴールは決められなかったものの、かなりチームになじんでいることをうかがわせた。

「ゴールが取れる雰囲気がある。今日もたくさんチャンスがあった。いかにゴール前でいい位置をとって、コンビネーションを上げていけるか。もっと(得点)チャンスはあると思っている」

序盤の南アフリカや中国での試合は、ぎこちなさがあったが、急速にチームに慣れ、手ごたえを感じている様子だ。

その3日後のスウェーデン・イエーテボリのバルセロナ(スペイン)戦は後半頭から、ルーニーと代わって途中出場。いきなり2発、絶好のシュートを放ったのだ。ともにGKピントに阻止され、ゴールにはならなかったが強烈な印象を残した。

「すごく刺激的な戦いができた」

その後、試合はバルセロナにボールを支配され、苦戦を強いられたが、ポストプレーから得点機を生み出すなど活躍した。

「すごく刺激的な戦いができた。お互いにベストコンディションではないけれど、開幕前に現時点で世界最高といわれているチームとこういう試合ができたことは、いい経験になった。絶対できるという強い自信や手ごたえは日々、感じている」

自信をみなぎらせた3日前の表情からは一転、悔しさを見せたが、急速にマンUのサッカーに順応していたことは確かだった。

11日のプレシーズン最終戦、敵地ドイツでのハノーバー戦にはボランチとして先発した。巧みにルーニーとポジションを入れ替わってゴール前へ繰り返し走り込むなど好プレーを連発。終盤にはルーニーの左クロスから決勝ゴールを決めた。

ルーニーとできるのは幸せ

試合後、ルーニーとのコンビネーションについて香川はこう話した。

「すごいチャンスを作ってくれるし、やっぱり絶対的な存在だと日々感じている。うまく連携が取れればパスはくるし、ゴールも決めてくれる。そういう選手とできるのは本当に幸せだと思っている。さらにレベルアップもできるんじゃないかなと思っている。頑張っていきたい」

最大の関心事は、香川が今季、マンUでレギュラーを取れるかどうかだ。プレシーズンマッチでは存在感を示し、現在チーム内の競争では非常に好位置にいるのは間違いない。だが今回、ファンペルシーの加入で、より競争が熾烈(しれつ)になったのは確かだ。

香川の起用場所は…

マンUの基本フォーメーションは4-4-2。試合によっては4-4-1-1になることもある。

ファーガソン監督は香川を主にセンターフォワードの背後のセカンドストライカーやトップ下のMFとして起用するはずだ。

試合によっては、ハノーバー戦のようにボランチで起用という可能性もあるが、あくまでもオプションのひとつだろう。中央の前のポジションの方が、香川は持ち味を発揮する、と心得ているからだ。

つまり香川にとってのライバルはルーニーということになる。プレースタイルが幅広く、ストライカーでありながら、トップ下のプレーもできるマルチプレーヤー。トップ下のMFを得意とする選手は香川とルーニー以外はいない。ルーニーが唯一最大のライバル、というわけだ。

一方、センターフォワードにはルーニーのほか、ウェルベック、エルナンデス、そして新たに獲得したファンペルシーと、強烈な4選手が顔を並べる。

ファーガソン監督もエースのルーニーはどんな組み合わせになっても外せないはずだ。つまり現時点で考えられる先発の組み合わせは、「ファンペルシー+ルーニー」、「ウェルベック+ルーニー」、「エルナンデス+ルーニー」、「ルーニー+香川」となる。

ルーニーとはひと味違ったプレーを

香川がより多くの試合に出場するためには、ファンペルシーら他のストライカーとのコンビネーションを上げ、ルーニーとはひと味違ったプレーを見せるのが近道だろう。

たとえばファンペルシーの相棒は、ルーニーよりも香川だろう、となればいいのである。

プレミアリーグの開幕戦は20日、敵地でのエバートン戦。香川はプレシーズン中、こう話していた。

「開幕戦に出ることが目標です。もっともっと存在感を出していけるようにしていきたい」

現状では先発できるかは微妙だが、18人のベンチ入りメンバーに入れば、途中出場する可能性は大いにある。たとえ開幕戦に出られなかったとしても、マンUは今季も60試合近くを戦う。

ファーガソン監督は20数名の選手をローテーションで起用。毎試合、選手の組み合わせを変えることで知られるため、シーズンの早い段階で必ず途中出場、そして先発のチャンスが巡ってくるはずだ。

日本人選手がルーニーとプレーし、そしてポジションを奪おうとしている。とても興味深いシーズンがまもなく始まる。

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