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全米プロ圧勝…マキロイはウッズを超えるか

米ゴルフウイーク誌記者 ジム・マッケイブ

荒れ狂う海。海岸にはすさまじい勢いで波が押し寄せる。空を見上げれば、怪しげな雲が迫り、稲妻が走る……。

男子ゴルフの今季メジャー最終戦、全米プロ選手権はまさにそんな天候との戦いでもあり、3日目は雷雨のため日没サスペンデット。最終日は、多くの選手にとってマラソンのように長い一日になった。

タイガー・ウッズ(米国)らは第3ラウンドの残りも消化するため、最終日は午前6時43分にスタートした。

大会記録となる8打差の圧勝

キアワアイランドリゾート(7676ヤード、パー72)もまた選手らに多くを求める難コースで、せいぜい5、6アンダーでの優勝争いかと思われたが、ロリー・マキロイ(英国)が、なんと13アンダーまでスコアを伸ばして圧勝した。

マキロイは、3日目に9ホールを終えたところで競技終了。その時点では、ビジェイ・シン(フィジー)と並んで6アンダーで暫定トップタイだったが、最終日は3日目の残り9ホールと合わせた27ホールで7つもスコアを伸ばし、他を引き離した。

2位は5アンダーのデービッド・リン(英国)。8打差の勝利は、ジャック・ニクラウス(米国)が保持していた7打差という記録を上回る大会記録ともなった。

「いいゴルフをすれば誰もかなわない」

リンの後ろには、キーガン・ブラッドリー(米国)、イアン・ポールター、ジャスティン・ローズ(ともに英国)、カール・ペテルソン(スウェーデン)らがいたが、彼らの姿ははるか後方にかすみ、パドレイグ・ハリントン(アイルランド)は「マキロイが、いいゴルフをしているときは、誰もかなわない」と話した。

確かにその通りで、マキロイは昨年、全米オープンも制したが、あのときも8打差で勝っており、相手に「かなわない」と脱帽させるような圧倒的な勝ち方だった。それはかつて、ウッズが他の選手に思わせたような力の差に似ている。

ウォズニアッキとの交際が報じられ

もっとも、このところのマキロイは6月の全米オープンで予選落ちするなど決して状態は良くなかった。7月の全英オープンも60位タイ。対照的に、女子テニスのキャロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)との華やかな交際がゴシップ誌をにぎわせ、彼のゴルフに対する情熱、向上心が疑問視される記事も掲載された。

「正直なところ、そう報じられることが気になっていた」とマキロイはいう。

だが「おかげでモチベーションが生まれた」そうだ。

「それが間違いであることを証明したかった。少し時間がかかったけれど、今回、こうして結果を出せてよかった」

モチベーションがなくても、彼なら今回のようなプレーが普段からできるはずだが、才能や技術と同様、彼が何かを成し遂げようというときに見せる強靱(きょうじん)な精神的力が彼の素晴らしいゴルフにつながっている。

昨年のマスターズで大逆転されたが

今でも、昨年のマスターズで、最終日の後半に大崩れして優勝を逃したときのことを思い出す。

あの日、ホールアウトした彼は、メディアに囲まれると、すべての質問に、相手の目を見て、丁寧に答えた。簡単にできることではない。失望感を逆なでするような質問もあったのに、それに声をあらげることもなく、淡々と答えた。

彼は、すべてを受け入れ、屈辱を雪辱への動機に変えた。彼はその2カ月の全米オープンで圧勝した。

コースを離れれば、まだ23歳の青年。笑みにはあどけなさが残る。トロフィーを前にして無邪気に語った。

「メジャーに2回も勝てるなんて……。そんなに多くの人ができることじゃない。そういう世界に仲間入りできたことが、とにかくうれしい」

まだまだ"証明"しないとならないことが…

ちなみに、ウッズが2つ目のタイトルを獲得したのは23歳7カ月のとき。マキロイは3カ月前の5月に23歳になったばかり。今のところは、ウッズのペースを上回っている。

必然的にマキロイはウッズを超えるか? という議論にもなったが、2010年の全米オープンを制したグレーム・マクダウエル(英国)は、2人をこう比較した。

「やはりタイガーのような選手は二度と現れないと思う。マキロイも素晴らしい選手だ。しかし、10年に一度、という選手だ。まだ、2人の間には大きな差がある」

妥当なところだろう。マキロイにはまだまだ"証明"しなければならないことが数多く残っている。

ウッズ、扉が開くのはもうすぐ?

ところでウッズだが、今回も優勝には届かず、2アンダーで11位タイに終わった。2日目を終えてトップタイになったが、3日目に崩れた。先月の全英オープンでもいい位置につけながら、最終日に崩れている。6月の全米オープンでも3日目を首位タイでスタートしながら、順位を落とした。

以前のタイガーなら、そのまま今回のマキロイのようにギアを上げて、追随を許さなかっただろうが、なかなかそれができない。

しかし、本人は「とにかく、優勝争いを続けることが大事だ」と前向きだ。確かに、ここ3回のメジャーではリーダーボードに名を連ねてきた。

彼は今、激しくドアをノックしている。

扉が開くのは、そう先のことではないのかもしれない。そんな予感をさせるのに十分の戦いぶりだった。

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