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解説者の目(山口香)

柔道はなぜ期待はずれに終わったか

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2012/8/4 11:45
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女子78キロ超級、決勝でキューバのオルティスに敗れた杉本=写真 佐光恭明

女子78キロ超級、決勝でキューバのオルティスに敗れた杉本=写真 佐光恭明

銀メダルを取ったとはいえ、女子78キロ超級の杉本美香(コマツ)は今大会の日本勢を象徴するような戦いぶりだった。決勝戦も勝てない相手ではなかった。

なのに、攻めずして負けたというか、フラストレーションがたまる試合だった。これまでにも指摘したように、事前に試合に出場しすぎたことなどの調整の失敗があったのだろう。

■昔は強い選手と思ってくれたが…

ただ、女子は持てる力を引き出せなかっただけで、まだまだいける。問題は史上初めて金メダルを取れなかった男子だ。

選手層が薄く、体操でいえばそもそもの持ち点が足りない選手が代表になっている。だから、力を出し切ってもメダルに届かない。史上初めて金メダルを取れなかったことも悪い前例になるだろう。負けることに慣れてしまうと、立て直すのは大変だ。

これまでは日の丸を付けていると、審判も対戦相手も強い選手だと思ってくれた。それは格闘技では非常に大きい部分だったのに、そうした"アドバンテージ"も小さくなっていくのだろう。

男子100キロ超級、2回戦でベラルーシ選手に敗れ座り込む上川=写真 佐光恭明

男子100キロ超級、2回戦でベラルーシ選手に敗れ座り込む上川=写真 佐光恭明

低迷にはそれなりの理由

男子の低迷にはそれなりの理由がある。まず、男子は女子よりも身体能力の差が如実に結果に出るのに、日本は体力をつけるための練習が少ないことだ。

男子は野球やサッカーというプロの人気スポーツがあり、他競技との子どもの奪い合いが激しいことも一因だ。いずれにせよ、1年や2年では好転しない問題である。

もちろん、個々の選手はコーチの言う通りに精いっぱいやったと思う。ただ、そのコーチをはじめ、強化策には問題が多かったのではないか。

たとえば「一本を取る柔道」を掲げながらも、そのための強化はしていなかった。技を練り、切れ味を増すためには、むやみに試合に出るのではなく、じっくり練習する時間が必要。試合に出れば出るほど技の切れ味は鈍り、相手に研究されることもあって、逆に一本は取りにくくなる。

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