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予選突破、わずか2割 全英オープンの高い壁

35分の7、20%――これは、ゴルフの全英オープン選手権での過去5年間の日本人選手の予選突破率である。過去10年に遡れば68分の22、32.3%だ。

日本人選手、今回も"惨敗"

ロイヤルリザム&セントアンズで開催された今年の大会(7月19~22日)に挑んだ日本勢は計8人で、決勝ラウンドに進んだのはルーキー藤本佳則(22)と武藤俊憲(34)の2人だけだった。

8分の2、25%。先ほどの数字と似通った結果で、しかも順位は藤本が54位、武藤は72位だから、厳しい見方をすれば今回も"惨敗"といえようか。

日本代表の中で、世界ランクトップの石川遼(20)は、予選カットラインに3打及ばず、通算6オーバーで2年連続予選落ちした。

メジャー大会では昨年の全英から5連続予選落ちに「ショックじゃない、といったらうそになる。これだけしかできないのか、というフラストレーションはある」。

常に前向きで、マイナス思考と受け取られる発言を避ける石川だから、多少割り引いて捉える必要があるのだが、大会前は今回も「万全です」。

練習では好調さうかがわせる

コース入りした15日には「去年とは別人。ゴルフが変わった。(予選落ちした)全米オープンからも変わってきた」と自信あふれる言葉を連ねた。

ドローにフェード、ストレートとボールをコントロール。リンクスの風に対しても「ぶつけたり、乗せたり、距離を調整できる」と話していた。

実際、練習ラウンドではドライバーや3番、5番ウッドでのティーショット、アイアンショットともあまりブレず、好調さをうかがわせていた。

しかし、ふたを開ければ予選ラウンドの2日間とも後半で大きくスコアを落とした。アウトは初日がパープレーで2日目は2アンダー。ところがインでは初日が14番から5連続ボギーをたたき4オーバー、2日目も同じく4オーバーと目を覆いたくなるような崩壊だった。

自分のスイングできなくなる

左右のラフやバンカーへ千々に乱れたショットについて「スイングの安定感が、今週は確実に欠けていた」。

周囲から好成績を期待され、それに応えたいという気持ちの焦りがボギーの連発を招いたのか。渡英直前で3位に入った長嶋茂雄招待セガサミー杯(北海道)では大会前に腰痛を訴えており、体調面に問題があって18ホール続かなかったのか。

本人は「スイングを安定させる」ことと「コースマネジメント」を課題に挙げた。「バンカーに入れない、ドライバーで距離を抑えないといけない、と考えすぎると自分のスイングができなくなる」とも。

「一つのクラブで何色も出せる」と石川。いろんな球筋を打ち分けられるようになったことで、以前の「足し算・引き算」でなく「連立方程式」のように頭の中で複雑に考えるようになり、計算が狂って災いを招いたのかもしれない。

全米プロに暗雲も

世界ランク上位選手が出場しなかった先週のRBCカナディアンオープンでも47位にとどまった。いずれにせよ、技術、精神面とも、今の石川はかなり不安材料を抱えているように見える。

昨年、優勝争いした今週2日開幕の世界選手権シリーズ、ブリヂストン招待(オハイオ州)でも好成績を収められないなら、今季メジャー最終戦の全米プロ(8月9~12日、サウスカロライナ州)に暗雲が広がる。

一方、武藤は3度目の出場で初の予選突破を果たした。飛行機トラブルで、15日に現地入りするはずがドイツ・フランクフルトで足止めされ、翌日に疲労困憊(こんぱい)の体でコースに現れた。

しかし初日3アンダーをマークして6位発進、15位で決勝ラウンドに進んだ。トレーナーを帯同していなかったため"スタミナ切れ"した。

ベストで臨めば優勝争いも

最終日に崩れたものの「僕としては世界に近いなと感じた。初日、2日目だけでも通用したのは大きい。みんなはよく『世界の壁は厚かった』と言うけど、もう少しできそうな気がする」と手応えを口にした。ゴルフの状態、体調などをベストにして臨めば、優勝争いができるはずだと。

新人・藤本は国内ツアーでもショットの安定感が光っていた。メジャー初挑戦での予選通過は実力通りだろう。「全英だけかもしれないが、いろんなライから風を計算して、いろんな球筋で打てるように練習していけば(上位で)戦えるのでは」と振り返った。

リンクスは重い海風、硬い地面に硬いグリーン、ポットバンカー、うねりのきついフェアウエーなど日本とはかなりコース条件が違う。経験を重ねないことには、そうそう簡単に攻略はできない。

国内コース、タフに設定を

他のメジャーコースも、全米オープンや全米プロはラフが深く粘っこく、ピン位置も相当に厳しい。藤田寛之が言うように、海外で通用する選手を育てるために、日本のコースももう少しタフな設定にする必要がある。

メジャーで最も出場選手が多いのに、全英でのトップ10入りは2006年の谷原秀人(5位)以来いない。それどころか20位以内もゼロだ。

07年以降では09年の久保谷健一、一昨年の石川の27位が最高と不振が続いている。日本ツアーのこれ以上の地盤沈下を防ぐためにも、全米プロでは石川、藤田、谷口徹に何とか頑張ってもらいたいのだが……。

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