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解説者の目(山口香)

オーラがなかった福見 女子柔道「金」候補の暗転

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2012/7/29 10:33
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これが五輪ということなのだろう。柔道の女子48キロ級で金メダル候補筆頭と見られていた福見友子(了徳寺学園職)は、今までに見たことがないくらいに硬かった。とにかくスピードがない。技や動きに切れもなかった。

女子48キロ級3位決定戦でハンガリーのチェルノビチュキーに敗れた福見=写真 小川望

女子48キロ級3位決定戦でハンガリーのチェルノビチュキーに敗れた福見=写真 小川望

準決勝は不用意に攻めて…

1回戦の試合前、両手を何度も口元に持っていって息を吹き掛けるようなしぐさをしていた。普段はあんなことをする子じゃない。調整の失敗もあったのかもしれないが、やはり緊張が大きかったのだろう。27歳のベテランにとっても、五輪の畳は立った人にしか分からないものがあったのだと思う。

そんな状態でも何とか勝ち上がっていったから、尻上がりに調子が上がるかと思ったが、敗れた準決勝、3位決定戦はやはり硬くなってしまっていた。

準決勝は不用意に攻めてしまった。技を返されると思ったら、普通は途中で引くのに、あのときの福見はいつもと違って反応が遅かった。

3位決定戦は奥襟を取られるなど組み手争いで劣勢だったが、決して相手が強いわけじゃなかった。普段の福見だったらうまくさばけていたし、そもそも、相手があんなに強気に攻めてくることもなかった。

調子が悪いときにどうやって勝つか

本当に強い選手なら、面と向かったときに、相手を威圧することができる。この日の福見にはそのオーラがなかった。同じ畳に立った相手が「行けるんじゃないか」と本能的に感じて攻めてきていた。

「普通にやれば勝てる」と分かっていても、五輪独特の雰囲気がそれをさせなくする。福見と同じ階級だったあの谷亮子さんだって、はじめの2回は金を取れなかった。逆に、準決勝で敗れたドゥミトル(ルーマニア)は3度目の五輪。まさに百戦錬磨だった。

本人も調子が悪いということは十分、分かっていたはずだ。しかし、不安というものは、消そうとしてもどんどん大きくなっていくもの。解決策としては、調子が悪いときにどうやって勝つかということを、考えられたら良かった。作戦を変えて戦ってみようとか。

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