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海を渡る「ネコミミ」

米アップル、韓国サムスンやLG電子――台頭する海外勢に比べ、日本の電機メーカーは景気の良い話を聞きません。しかし、規模は小さいながらも、世界各国から「クール」と支持されている製品があります。脳波で動く「necomimi(ネコミミ)」です。

4月末に開催された「ニコニコ超会議」。枝野幸男経産相らが参加した討論会「超クール・ジャパン作戦会議」では、ドワンゴの川上量生(のぶお)会長が着用して登壇し、話題を呼びました(当日の様子はこちら))。大の猫好きな私も、そのリアルな動きに釘づけになった1人です。

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ネコミミを企画した「ニューロウェア」は企業ではなく、プランナーやデザイナー、ITコンサルタントらが自由に参画するプロジェクトです。脳波や生体センサーを生かしたファッションアイテムなどをコミュニケーションに活用することを目的に、プロトタイプを製作。脳センサーの特許を持つ米Neurosky(ニューロスカイ)社が協力して商品化しました。

一見「耳付きカチューシャ」のようにも見えますが、そこには高度な技術力が潜んでいます。額と耳たぶのセンサーで脳波を計測。「集中」と「リラックス」の2つの電気信号に変え、信号の強弱などに応じて頭上の"ミミ"が立ったり寝たりと、4つのパターンで動きます。医療現場などで使われる脳波計と異なり、騒音のある屋外でも、動いている人物の脳波を検知できるのが特徴だといいます。

海外では2011年ごろから、英BBC放送や英紙「デーリー・テレグラフ」、米ブログメディア「テッククランチ」などに相次いで取り上げられてきました。

現在も、アメリカやロシア、ヨーロッパ、オーストラリアなど、世界各国から「どうやったら買えるのか」と問い合わせが殺到。欲しがっているのはコスプレ好きなど主に日本のサブカルチャーファンで、動画投稿サイト「ユーチューブ」の紹介動画は1年半で約240万回再生され、「I NEED THEM(欲しい)!!!!!」「These are so cool(なんてクールなんだ)」など、英語のコメントが目立ちます。

ニューロウェアのフェイスブックページで押された「いいね」は約1万6千で、米国ではすでに通販が始まっているそうです。着用したユーザーの誇らしげな写真には「Send to Brazil "onegai"(お願いだからブラジルにも送って)」「Costa Rica…(コスタリカは)」と世界中のユーザーからコメントが付いています。7月にはフランス、8月には台湾でも発売を見込んでいるとのこと。たくさんのネコミミが、これからも海を渡ることになるのでしょう。

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ネコミミは「クール」なだけでなく、新たなコミュニケーションを生み出す可能性も秘めています。友人同士がネコミミをつけて会話すると、バラバラだった"ミミ"の動きがやがてシンクロする――そんな不思議な現象が見られると聞きました。たとえば家族や友人、恋人とけんかをした時。素直に謝ることができなくても、互いの"ミミ"がくたりと垂れて「ごめんね」と言っている。そんなほほ笑ましい光景を、目にする日が来るのかもしれません。

「コスプレしないし」「『コンプガチャに自腹4万円』は同情されても、ネコミミは同情されまい…」。そう思って今まで何とか踏みとどまってきましたが、通販で購入してしまう日も遠くなさそうです。

(猫好)

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