続・行き過ぎたソーシャルゲーム 依然残る「射幸心」
「ガチャ依存」か「脱ガチャ」か 健全化への分水嶺

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2012/5/22 15:00
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 行き過ぎたソーシャルゲームに歯止めがかかった。今年2月のGREEの「ドリランド騒動」を機に露呈した、無法の「換金市場」と「射幸性」。グリーやDeNAなど業界大手は、アイテム換金や未成年ユーザーの利用制限などで相次ぎ対策を講じ、「コンプガチャ」に関しては消費者庁の違法見解を受けて5月中の全廃を決めた。だが射幸心の問題は、いまだなお尾を引いている。

5月下旬、九州のある地方を訪れた。一連のソーシャルゲーム問題の引き金となった今年2月の「ドリランド騒動」。その渦中の人物は今、何を思うのか、聞いてみたかったからだ。

ドリランドは宝を求めて探検するゲームで、より強いカードを有料の「ガチャ」で引き当てることがゲームの根幹。流行しているソーシャルゲームの代表格といえ、「GREE」を運営するグリー自らが提供している。今年2月、このドリランドでカードが複製できる不具合が見つかり、知られざる換金市場と射幸性の実態があらわになった。

「ヤフーオークション(ヤフオク)」で取引されたドリランド関連のアイテムの落札総額は、2月までの3カ月間で4億円以上。1枚5万円ほどの値が付く希少な「レアカード」を中心に荒稼ぎするユーザーが続出した。

アイテムを売買する「リアルマネートレード(RMT)」を禁ずるGREEの規約に違反してはいるが、RMT自体は合法。複製したとしてもシステムの不具合によるもので、不正アクセスではない(現時点では逮捕も捜査もされていない)。エスカレートするソーシャルゲームの換金市場と射幸性という背景をうまく利用し、一儲けした人の中には3カ月で3000万円以上も稼いだ者もいる。

その彼を訪ねたのだが、「もう関わりたくないし、蒸し返したくもない」と自宅の上階に籠もったまま、出てきてはくれなかった。代わりに応対してくれた家族は、こう話した。

「彼は自分でちゃんと仕事をしていますし、確定申告をして税金も払っておりますので、一切やましいことはないです。ゲーム会社がそういうふうにできる(ゲームで稼げる)ようにしてたこと自体が、根本的に甘いわけでしょ。できないようにすればいいわけですから……」

■野放しだった換金市場の「RMT」

ドリランド騒動から3カ月。この騒動に意味があるとしたら、それはソーシャルゲームに関心がない「大人」たちに実態を知らしめたことだろう。証券会社やメディアは好業績をはやし、関連する省庁はどんなゲームが高収益を生んでいるのか知ろうとすらしなかった。

決算発表で「真摯に対応する」と話したグリーの田中良和社長(8日午後、東京・六本木)

決算発表で「真摯に対応する」と話したグリーの田中良和社長(8日午後、東京・六本木)

それが一変した。そして、何よりグリー自身が大きく健全化へと舵を切った。

3月30日には、17のRMT専門事業者に対してGREEのアイテムを取り扱わないよう書面で要請。GREE上のすべての有料アイテムに追跡用のIDを付与し、RMTなど禁止行為の調査を効率的に行えるようにすると公表している。4月23日には、未成年ユーザーのすべての決済方法の課金上限額を「16歳未満は月額5000円、20歳未満は同1万円」と定め、アイテムが有料であることを強調して表示するようにもした。

こうした流れに、「Mobage(モバゲー)」を運営するライバルのディー・エヌ・エー(DeNA)をはじめ、業界全体が足並みをそろえて追随。RMTと青少年保護の対策が一気に進んだ。

だが同時に、成長を優先するがゆえに問題を先送りしてきたとのそしりも免れない。

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