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ソフトバンク、和田・杉内らの穴は埋まるのか

昨季の先発陣から和田、杉内、ホールトンの3人が移籍で抜けたソフトバンク。これまで11勝8敗1分けのパ・リーグ3位とまずまずのスタートを切っているが、期待された新加入の外国人投手2人が不調で離脱するなど先発陣の不安定さが目立つ。2年連続日本一を目指すチームにとって、投手陣の立て直しは不可欠。昨季合わせて43勝を稼いだ3本柱の穴は埋められるのか……。(記録は23日現在)

大誤算の新外国人投手2人

開幕前日の3月29日、秋山監督は「各球団とも昨年よりチーム力が上がって混戦になるだろう。先発投手がカギになる。新外国人と若手に期待する」と語った。

秋山監督のいう期待の若手とは、5年目の右腕岩崎と6年目の左腕山田。そして新外国人は米大リーグ通算119勝の右腕ペニー、オープン戦で結果を出した左腕ピントの2人だったはずだ。

ところが、新外国人の2人はこれまでのところ大誤算。昨季、米大リーグのタイガースで11勝(11敗)を挙げ、鳴り物入りで入団したペニーは初登板となった4日の楽天戦で、3回1/3を投げて6失点でKO(負け投手)。その後、右肩の痛みを訴え、米国で検査を受けるために一時帰国してしまった(18日に再来日し2軍調整中)。

10年まで5年間、大リーグのマーリンズに所属していたピントは5日の楽天戦で5回を投げて2失点で勝利投手になったものの、11日の日本ハム戦で2回1/3を投げて6失点の乱調で負け投手。早々と2軍降格が命じられた。

FA移籍の帆足の調子も上がらず

この2人の代役となるはずの投手たちの調子も決して良くない。西武からFA移籍した期待の左腕・帆足はいまだにエンジンがかからず、15日のロッテ戦で移籍後初登板を果たしたが、2回2/3を投げて4失点。負け投手となって再び2軍落ちしてしまった。

右肩痛から復活した新垣が1日のオリックス戦で挙げた3年半ぶりの勝利は、開幕直後の明るいニュースの一つだったが、その後の2試合は大量失点して降板(8日の西武戦は5回5失点も勝ち投手)。ペニー、ピントの離脱でチャンスをもらい、12日の日本ハム戦で今季初登板した大隣は4年ぶりの完封勝利で期待に応えたが、18日のオリックス戦では6回4失点と安定感を欠いている。

今季、これまでのチーム防御率は3.02。昨年の2.32と比べ、0.70悪化している。しかも昨季は20試合を消化した時点で、先発投手が六回を投げきれずに降板した試合は2試合しかなかったが、今季は7試合と先発投手が早々と降板するケースも目立っている。

こうした投手陣の苦しい台所事情の中でも、これまで11勝8敗1分けの貯金3と無難なスタートが切れているのは、岩崎と山田の若手2人と新エースの摂津が踏ん張っているからだ。

5年目、22歳の岩崎の成長

今年5年目、22歳の岩崎は今季ここまで4試合に登板して2勝2敗、防御率は2.10。2連勝の後、2試合連続で黒星はついたが投球内容は悪くない。

特に22日の楽天戦では8安打を浴びながら1失点に抑える粘りの投球で9回を投げ抜いた。それでも「負けがつくのは先に点を取られたから。ゼロに抑えれば負けない」と自分を責めるところがたくましい。

登板1、2試合目の2つの勝ち星が、相手の先発より先に失点しながら味方の逆転で得られたものだったからかもしれない。「こんな内容では満足できない」という自分に対する厳しさが、岩崎の言葉からにじみ出ている。

ダルビッシュと自主トレ、刺激受ける

150キロ前後の直球にスライダー、カーブ、フォークなどの変化球を操る将来のエース候補。今季の開幕前はレンジャーズに移籍したダルビッシュと一緒に自主トレを積み、多くの刺激を受けた。

1日5食で体重増に取り組み、ダルビッシュからボールに体重を乗せるための左足の踏み込み方や変化球の握り方などを伝授されたという。昨季は6勝2敗、今季は大きな上積みも期待できそうだ。

自分に対する厳しさではプロ6年目、23歳の山田も負けてはいない。育成選手から支配下登録を勝ち取り、今や先発の柱の一人に成長しつつある。今季もこれまで3試合に登板して2勝1敗、防御率1.37と安定感を発揮している。

6年目、山田も先発の柱の一人に成長

初登板の3日の楽天戦こそ、仙台の寒さのせいだったのか6四死球と制球を乱し、5回2/3を投げて4失点(自責点は2)で黒星。しかし、本拠地の福岡に帰って迎えた10日の日本ハム戦では、変化球で打たせて取る本来のピッチングで危なげなく7回1失点にまとめて1勝目を手にした。

この白星に、ほっとした表情ぐらいは見せてくれてもよさそうなものだが、本人は「今年は15勝すると宣言している。1勝ごと、1敗ごとに一喜一憂はしていられない」といたってクール。「まだまだ俺は満足していない」といわんばかりの表情だった。

昨季、5月に完封勝利を飾るなど前半戦は順調に勝ち星を伸ばしたが、夏場に失速して7勝止まり。7月以降はわずか1勝だったことを反省材料として、さらに体を鍛えて今季開幕を迎えた。

130キロ台だが、打者の手元で微妙に変化

今季はここまで6連戦がスタートする火曜日に先発。「週のアタマに投げるからには少しでも長いイニングを投げ、リリーフを助けなければならない」と強い責任感を前面に出す。

189センチの長身左腕。直球は球速こそ130キロ台だが、打者の手元で微妙に変化してなかなかバットの芯でとらえさせない。

カーブ、スライダーを交えた緩急が持ち味だが、打者の胸元、膝元を直球でずばりと突く度胸の良さも魅力だ。

この2人に、新エースとしての模範を示しているのが摂津だ。これまで4試合に登板して3勝、調子のいい悪いに関係なくすべての試合で2失点以内に収めている(防御率は1.24)。

新エース摂津の責任感

鹿児島で行われた21日の楽天戦は途中から激しい雨となったが、制球を乱した楽天投手陣とは対照的に、八回途中まで1失点で平然と投げきった。

摂津の言葉からはエースの自覚がにじみ出る。「去年、杉内さんがすごい雨の中で投げるのを見た。自分も気にしていられない」。和田、杉内、ホールトンの穴を埋めるのは自分だという強い気持ちが、安定感抜群の投球につながっている。

攻撃陣が奮起する必要も

とはいえ、先発で計算できるのは現状では摂津、岩崎、山田の3人ぐらい。昨年のような安定感のあるローテーションはまだ存在しない。昨季のチームの完投数は21で、このうち杉内が7、和田が4、ホールトンが3と計14完投。この点も長いシーズンを見通した場合の不安材料の一つではある。

長年守護神を務めてきた馬原が今季は長期離脱、森福、ファルケンボーグらの救援投手に過度の負担をかけないためには、余裕のある点差で登板してもらえるように攻撃陣が奮起する必要があるのかもしれない。

幸いにして怪力助っ人のペーニャは今のところ順調に日本の野球に適応し、打率3割超、リーグトップの4本塁打と貴重な戦力になっている。1軍から離脱した両外国人投手とは違って、こちらの方はうれしい誤算だろう。

(影井幹夫)

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