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ドルト連覇…香川真司「僕がレベルアップしたところ」

加入2年目の今季は13得点、チームの連覇に貢献した香川真司=写真 カイ・サワベ

サッカーのドイツ1部リーグのドルトムントが2年連続8度目の優勝を決めた。加入2年目の日本代表MF香川真司(23)は13得点、9アシストの活躍でチームをけん引した。昨季は右足小指の骨折で後半戦を棒に振ったが、今季はフルに働いての栄冠。この1年を振り返り、胸の内を語ってもらった。(聞き手は編集委員 吉田誠一)

辛抱強くやってきたことが実を結んだ

――2年連続で厳しいリーグを制した。

「(ボルシアMG戦で)自分がゴールを取って優勝を決めることができたのはうれしい。シーズンの前半戦はチームとしても個人としてもうまくいかず、苦しかったので、優勝が決まった瞬間はいろんなものがこみ上げてきた。うまくいかない中でも自分を信じて、辛抱強くやってきたことが実を結んだ。この1年で精神的な強さを身につけることができたと思う」

――シーズン序盤はチーム全体がもがいていた。

「キャンプでの状態は良かった。体の調子は良かったし、ハンブルガーSVとの開幕戦(昨年8月5日)もいい形で勝てた。そのあと、日本代表の韓国戦(同10日、2得点)で帰国し、ドイツに戻ると体のキレが悪くなっていた。運動量も体のキレも落ちていた。それが続くことで、精神的にも疲労を感じるようになった。チームとしても、序盤戦は攻撃がかみ合わなくて、守備もはまらなかった」

シーズン序盤は苦労した

――昨季、攻撃を組み立てていたボランチのシャヒンが移籍し、FWバリオスは南米選手権の故障で長期離脱した。

「ドルトムントはクロップ監督があまりメンバーを変えずに戦ってきた。そういう中でチームの中心選手が抜けた影響は大きかった。チームとして、さまよっていた感じがする」

「シャヒンがいなくなり、シーズン序盤はボランチからトップ下の僕になかなか、くさびのパスが来なくなったので苦労した。代わりにボランチに入った新加入のギュンドガンはもともとトップ下の選手なので、慣れるまでに時間がかかった。加入1年目で、しかもポジションが変わったのだから、戸惑いがあったと思う」

「1年目にいきなり結果を求められてもつらい。短い期間で新加入の選手の力を判断するのは良くない。彼はボランチをやり続けたことで、今は余裕が出てきている。シャヒンとは違った色を出している。新加入の選手にとっては、時間が大事なのだと感じた」

10月には不振で2試合外されたが…

――でも、香川選手は1年目ですぐに活躍した。

「それは、チームの状況が良かったから。周りの調子がいいので、僕も勢いに乗せてもらった」

――今季の序盤に苦しんだのは、右足小指の骨折で昨年1月末から5月中旬までピッチを離れていた影響ではないか。

「もちろん、それはあったと思う。長く休んでオフに入り、翌シーズンの開幕からいきなりベストに持っていくのは難しい」

――10月には不振で2試合外された。

「もちろん悔しかったけれど、自分のプレーができていなかったので、仕方ないと思った。チーム状況が悪かったので、監督にすれば、何かを変える必要があった」

――焦りはなかったか。

「それはなかった。絶対、結果を残せるようになるという自信はあった。でも、あのころは追い詰められていた。というより、自分で追い詰めていたのかもしれない。そういう性格なので」

復帰戦でゴール、「もっとできるはず」

――復帰したケルン戦ですぐに先制ゴールを決めた。

「ゴールはうれしかったけれど、1試合結果を残しただけではダメ。それを続けることが大事だと考えていた。もっとできるはずだと思っていた」

――周りの選手との連係の面で工夫してきたことは。

「この選手の場合は下がってパスを受けにいったほうがいい、この選手ならなるべく前で待ってパスを引き出したほうがいいと考えながら動いている。ボールが落ち着かない場合は引いて受けて、パスを回す時間を増やすようにしている。そのへんは臨機応変にして、組み立てにも加わるようにしている」

――バリオスの代わりに1トップに座ったレバンドフスキは器用なタイプではない。

「レバンドフスキは周りとのコンビネーションではなく、自分で何とかしてゴールを決めるストライカー。周りを生かすタイプではないので、僕が欲しいタイミングでリターンパスが来ない。でも、それは仕方のないこと。そういう選手ではないのだから」

1年目とは違う余裕がある

「昨季、僕がケガする前の前半戦にバリオスと僕で8点ずつ取った。それは、お互いに生かし合っていたというデータだと思う。今季はここまでレバンドフスキが20得点で、僕が13得点。これだけ差があるのは、彼が周りを生かすタイプではないから。彼が僕を生かしてくれていたら、もっと点を取れたという自信はある」

――今季はボールを持ったときに、かなり余裕を持っている。

「1年目とは違う余裕がある。だから、ボールを持って前を向いたときに、プレーの選択肢が増えている。スルーパスの精度も上がっている。それは今季の僕の評価できるところだと思う」

「選手としてレベルアップするには、プレーの選択肢を増やしたり、パスの質を上げたりしなければならないと思っていた。それを意識し続けてきた。意識することが大事なんです」

「こういうことをやりたいんだと常に意識していると、自分の脳と体にその考えが染み込んでいく。すぐにではないけれど、そのうちにそれが結果として表れてくる。パスの質の高さは自分の一つの武器として、さらに磨いていきたい」

シュートを狙う意識、ぶれてはいけないところ

――しかし、シュートを狙う意識は強く保っているのでは。

「そこは一番ぶれてはいけないところ。パスに酔ってはいけない。僕はあくまで、得点能力の高い中盤の選手だと思っている」

「だから、点を取ることが第一。パスに焦点を持っていってはダメ。得点するためには、味方を生かしながらも、ゴール前に入っていってパスを受けなくてはならない」

――内容はさほど良くなくても、チームは昨年9月24日から無敗を続けてきた。

「決してうまくいっていない中でも、結果だけは残していた。それは大事なことだと思う。そうしているうちに、12月になってチーム全体がフィットしてきた。何か転機があったわけではない。勝ち続けるうちに自信が膨らんできた」

いまは積極的に前に出て行けている

「いまはチームとしても個人としても、攻守にわたって積極的に前に出て行けている。僕らの強みであるスピード感のある攻撃ができている。こぼれ球を拾い、前半からボールを支配して相手に何もさせない。欧州チャンピオンズリーグ(CL)は1次リーグで敗退してしまったけれど、いまの調子で戦っていたら、結果は変わっていたかもしれない」

――ボランチに経験のあるケールが入ったのは大きいのでは。

「彼は典型的なドイツ人のキャプテンという感じ。熱い人間で、チームをまとめる能力がある。彼が入ると、ぬるい雰囲気にならず、チームが引き締まる」

「ふだんは仲間と食事に行ったり、ゆっくり寝たりしてリラックスしている」と語る香川=写真 カイ・サワベ

ふだんはリラックス

――4月に入ってから、ヤマ場だった2位バイエルン・ミュンヘン戦、3位シャルケ戦で連勝し、優勝をほぼ確実にした。

「ストレスはなかった。試合を追うごとに、次の試合が楽しみになっていった。いいリズムが続いていたので、私生活でもそのリズムを守ろうと思っていた。リラックスして、『いつも通りに』と言い聞かせていた」

「ふだんはリラックスして、試合に向けて徐々に集中力を高めていく。でもピリピリした雰囲気をつくるのではない。生活はあまりピシッとさせない。仲間と食事に行ったり、ゆっくり寝たり、ボーっとしたり……」

「この時間は何をしなければいけないとか、時間だから寝なければいけないというようにはしない。思うままに動く。それもリフレッシュとして必要だと思う」

――ピッチに入るときに心掛けていることは。

「試合直前になったら、体が重くてどうしようなどとは考えないようにしている。そこまでいったら、どうにもならないのだから。あとは集中力を高めていって、試合で動き回るだけ」

余計なことは考えない

「余計なことは考えない。どういう試合になるというイメージは持たない。ボールと相手とピッチだけを見て戦う。こういうプレーをしようとか、相手はこうくるだろうとかイメージしていると、その考えにプレーが縛られてしまう。だから、試合になったら無心になるようにしている。無心になって、本能に任せて動く」

「勝ち点の計算などもしない。2位のバイエルン・ミュンヘンと勝ち点3差に迫られたときも、ああ3差なのかと思っただけだった」

「バイエルンが次にどこと戦うのかも知らなかった。相手のことは気にしない。そういうふうになれたときは、状態がいいとき」

強くいられるかどうか

――ドイツでの2シーズン目を終えようとしているいま、感じていることは。

「欧州で1年通して力を出し切るのは簡単なことではない。それができる選手はトップクラスの選手。欧州で生き残っていくには、この舞台で結果を残すんだという覚悟、強い気持ちがないと無理だと思う」

「問題は強くいられるかどうか。壁はあったけれど、いまいる舞台でならやっていけると思っている。でも、もっと上を目指すには、経験を積んで、選手として成長していかなくてはならない」

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