「日本のゲームは最低」 波紋を広げたゲーム開発者の発言
ゲームジャーナリスト 新 清士

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2012/3/28 7:00
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この動きは、ネット流通を展開する他社にも共通している。各社とも優れたインディーズゲームを自社のプラットフォームに掲載するための獲得合戦を続け、完成度の高いゲームができあがったら自社に取り込むのだ。その方が開発費のリスクも小さく、収益も上げやすい。ミドルレンジのゲームを開発していた既存のスタジオは、こうしたインディーズゲームに押されている。半面、収益性が見えにくいため、少ない人数の開発体制でなければ、何年にもわたる開発期間のリスクを負えなくなってきている。

■広がるインディーズゲームのムーブメント

GDCPlayの様子

GDCPlayの様子

GDCの会場では、新しい試みとして、今年、GDC Playという展示イベントも開催された。ここではインディーズの開発者を中心に小さなブースを持ち、来場者にアピールし商談機会を探ろうという試みだ。企画は大成功し、50ブース以上で展示が行われ、インディーズゲームの博覧会のようになった。

「この開発者は日本の格闘ゲームが好きなんだろうなあ」と感じられる、なぜか武装したセクシーな女性が格闘するゲームなど、「これはビジネスになるんだろうか」と思わせるものもあった。ただ、世界中から多様なゲームが展示されているインディーズゲームの裾野の広さには驚かされた。

そして、インディーズゲームの最高峰は、GDCで行われる「インディペンデント・ゲームズ・フェスティバル(IGF)」の授賞式だ。全世界700タイトルものタイトルから、厳しい審査を受けて勝ち抜いたゲームは粒ぞろいで、見たこともないような新しいイノベーションを実現したゲームが毎年のように登場する。

IGFでグランドプライズを受賞したフィル・フィッシュ氏の様子

IGFでグランドプライズを受賞したフィル・フィッシュ氏の様子

最終ノミネーションに残るのは40タイトルあまりで、それらの展示ブースは毎年人でごった返すほど大人気を博す。そして、開発者にとっては、10部門ある賞を取れるかどうかで人生が変わる。セレモニーで見事受賞し、壇上で声を震わせながら、両親や友人たちに感謝を述べる姿には、毎年感動させられる。何年も孤独に耐えながら、自分を信じて作り続けた結果だからだ。

今年、フィッシュ氏の「FEZ」は、最高のグランドプライズを受賞した。過去、日本製ゲームの受賞歴はない。冒頭で紹介したフィッシュ氏の"刺激的"な発言を好意的に受け止め代弁すると、日本に対して言いたかったのは、「今のゲームの世界を牽引するインディーズで、革新的なゲームを作って勝負してこい」ということかもしれない。

新清士(しん・きよし)
1970年生まれ。慶應義塾大学商学部及び環境情報学部卒。ゲーム会社で営業、企画職を経験後、ゲーム産業を中心としたジャーナリストに。国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)副代表、立命館大学映像学部非常勤講師、日本デジタルゲーム学会(digrajapan)理事なども務める。
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