2019年2月18日(月)

テレビ敗戦「失敗の本質」 シャープ、パナソニックを惑わせた巨艦の誘惑

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2012/3/20 11:07
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テレビ敗戦。

まもなく期末を迎える2011年度は、日本の電機業界にとって忘れられない年になるだろう。

社長交代の記者会見をするシャープの片山幹雄・次期会長(3月14日午後、大阪市北区)

社長交代の記者会見をするシャープの片山幹雄・次期会長(3月14日午後、大阪市北区)

12年3月期の連結業績見通しでシャープは2900億円、パナソニックは7800億円の最終赤字に転落し、ソニーは4期連続となる2200億円の赤字を計上する見通しだ。3社はそろって社長交代に踏み切る。失敗の原因はどこにあったのか。

「あんたら、よその人は笑うかもしれんが、わしらはいま、本当にうれしいんや。ずうっと悔しい思いをしてきたからな」

10数年前に聞いた、シャープ幹部の話が忘れられない。

「テレビは家電の王様や。ほかの製品とはわけが違う。シャープは日本で最初に白黒テレビを作った会社や。そやけど、カラーの時代になると松下(松下電器産業=現パナソニック)やソニーに押されて、ブラウン管を自分で作れん時期があった」

決算発表で記者会見をするパナソニックの大坪文雄社長(2月3日午後、東京都港区)

決算発表で記者会見をするパナソニックの大坪文雄社長(2月3日午後、東京都港区)

――でもシャープはブラウン管のカラーテレビを売ってましたよね。

「簡単な話や。よそから玉を買うとった」

――玉ってなんですか?

「そんなもんも知らんのか。ブラウン管のことや。よそから裸の玉を買うてきて、テレビに組み立てて、シャープのブランドで売るわけや」

――アウトソーシングってやつですね。

「そんな格好ええもんとちゃう。よそは原価よりかなり高い値段でシャープに玉を売るから、シャープのテレビの原価はよそより高い。ところが、売り場へいったら、うちはブランド力がないよって、よそのテレビより安く売られる。もうかるわけないやろ。せやけど、王様のテレビをやらんわけにはいかん。つらい仕事やった」

新社長就任が決まり記者会見する平井一夫副社長。右はハワード・ストリンガー会長兼社長(2月2日、東京都千代田区)

新社長就任が決まり記者会見する平井一夫副社長。右はハワード・ストリンガー会長兼社長(2月2日、東京都千代田区)

――でも、今は違いますね。

「そうや。亀山で自前の玉をなんぼでも作れる。まあ今は玉やのうて板やけどな。うちが開発したぴかぴかの板を、よそが売ってくれと頼みに来る。シャープは王様の中の王様になった。わしらはそれがうれしいんや」

目指し続けた"坂の上の雲"をようやくその手につかんだ。言葉の端々からそんな喜びが伝わってきた。

その頃、シャープの旗艦工場だった亀山では、液晶パネルの生産効率を高めるための設備更新が進んでいた。

厳戒態勢の中で最新鋭の生産装置が運び込まれる。工場内部の取材はシャットアウト。トラックで運ばれた装置を工場に搬入する通路は物々しくブルーシートで覆われた。

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