2018年11月21日(水)

緩和出口政策の「手じまい」 FRBの視野に
清水功哉編集委員に聞く

日経プラス10「フカヨミ」
2018/9/3 10:00
保存
共有
印刷
その他


ニュースを詳しく解説する「フカヨミ」コーナー。国際経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)での米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の利上げに関する発言と、今後の市場への影響について、日本経済新聞の清水功哉編集委員に聞きました。

小谷キャスター

小谷キャスター

清水編集委員(8月27日出演)

清水編集委員(8月27日出演)


▼ニュースの骨子
 米連邦準備理事会(FRB)内で利上げ路線を2019年にも打ち切る案が浮上している。8月23日からアメリカで開かれた国際経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)に参加した複数の高官が言及し、パウエル議長も過度な引き締めを避ける考えを表明した。

清水編集委員の解説要旨は以下の通りです。

■円相場や日銀の金融政策に影響

「今年のジャクソンホール会議の最大の焦点はパウエルFRB議長の講演でした。内容のポイントは3つ。1つ目は現在の利上げ路線を当面は継続する、ということ。9月の利上げの可能性は一段と高まりました。2つ目は、一方で将来の利上げ打ち止めが徐々に視野に入ってきた、ということです。景気を刺激も、冷やしもしない『中立的な金利水準』をFRBは2.9%程度と推計しています。現在の政策金利は1.75~2%ですから、仮に0.25%の上げ幅で3か月おきに利上げしたとしますと、2019年半ばには中立的な金利水準に到達する計算になります。このタイミングで利上げが打ち止めになる可能性があるのです。そして3つ目は、将来金融が危機的な状況になった際に「何でもする」と踏み込んだ発言をしたことでしょう」

「重要なのは第2、第3のポイントだと考えます。表に示したようにFRBの出口政策を5つのレベルに分けて示しますと、現在、すでにレベル4になっており、レベル5の利上げ打ち止めも徐々に視野に入り始めています。これは円相場や日銀の政策にも大きな影響を及ぼすでしょう。市場が1年もしないうちに利上げが終了するというシナリオを意識し始めますと、ドル高・円安圧力がかかりにくくなり、場合によっては逆に円高圧力がかかりやすくなります。実際にFRBが今年に入って3月、6月と利上げをしましたが、ドル高は思うほど進みませんでした。むしろ、今後は円高圧力への警戒も必要になります。日銀も円高リスクを考慮して、金融緩和策の修正作業を思い切って進めにくくなります。実際に日銀は7月末の金融政策決定会合で長期金利(10年物国債利回り)の上限を従来の2倍の0.2%程度に引き上げることを決めましたが、1ヵ月経っても長期金利はそれほど上がっていません。日銀の出口政策は、まだレベル1です。利上げを円滑に進められない状況に陥れば、金融緩和余地を十分に得られないまま次の金融危機を迎えるリスクを抱えることになりかねないのです」

■米は早くも将来の危機対応に言及

「一方、前回の利上げ局面でFRBは5%台まで引き上げました。今回、3%程度で利上げを打ち止める背景には、10年前の世界的な金融危機の影響などにより米国経済の実力が下がっているという事情があります。次の景気後退時の利下げ余地は昔に比べると限定的で、FRBは利下げ以外の金融緩和の手法にも知恵を絞らなくてはならないと考えています。だからこそ今回の会議で、パウエル議長が早くも将来の危機再来時に『何でもする』との決意を表明したわけです」

日経プラス10のホームページ

番組は日経電子版、テレビ東京ビジネスオンデマンドで配信しています

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報