悠々球論(権藤博)

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斎藤佑樹の爽やかさの陰に潜んだ計り知れぬ実力

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2011/9/4 7:00
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持ち味のない代わり、彼はその場その場で最も通用する球を選択し、相撲でいえば押し相撲であれ四つ相撲であれ、相手に合わせた取り口を取ることができる。千変万化。これといった形がないことは、実は彼のなかのたぐいまれな順応性と表裏一体の部分なのではないだろうか……。

2月の春季キャンプで初めて会ったときの斎藤(中央)の印象は間違っていなかった

2月の春季キャンプで初めて会ったときの斎藤(中央)の印象は間違っていなかった

■高度な順応性

その順応性は私が1月のこのコラムで書いたように、自主トレの段階から際立っていた。自主トレとも思えぬたくさんの観衆が日本ハムの千葉・鎌ケ谷の合宿所に詰めかけるなかで、彼はどう行動したか。

「他人に流されず、自分のペースで調整したい。普段通りにやって、それで実力がなければ2軍で鍛え直せばいい。だから格好をつける必要もない」。そういって斎藤はマイペースを貫き通したのだった。

それだけをみても、高度な順応性がみてとれる。自分が置かれている状況を周りの様子を含めて、実に正確に把握することができる。

その能力は今風に「空気を読む力」と言い換えてもいいかもしれない。それが高度な順応性をもたらす。

■通用する球、しない球を見極め

札幌ドームに大観衆を集めて行われた入団会見、先発しても5回、6回で交代させるなど「壊れ物」のようなベンチの扱い。どこまでもうたぐり深いマスコミの目。そうした現実のすべてから彼は自身の置かれている立場をしっかりと把握し、前に進むためのエネルギーに変えていったのだと思われる。

打たれながらも自分の通用する球、しない球を冷静に見つめ、自分の姿を作り替えていった結果が8月27日、西武打線を7回まで零封した投球に表れた。8回途中、中村剛也に3ランを浴びて降板したが、自己最長の7回1/3まで投球回を伸ばした。

たぐいまれなる順応性を武器とする異才が、その本領を発揮してきたというべきだろう。

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