悠々球論(権藤博)

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斎藤佑樹の爽やかさの陰に潜んだ計り知れぬ実力

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2011/9/4 7:00
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「あんな顔みたことない」という私の言葉を否定的な意味で受け止めた記者はおそらく他の多くの評論家、記者諸氏と同じく、ドラフト前後から流布されていた、通り相場の斎藤評に毒されていたのだろう。

■評価はあまり高くなかったが

「駒大苫小牧からすぐ楽天に入り、プロの訓練を受けた田中将大とは大学の4年で雲泥の差がついた」

「斎藤の速球は大学レベルでは通用しても、プロでは通用しない」

「斎藤は人気先行。あの体力ではプロではもたない」

もっともらしい解説からおやじ的ジェラシーがまじったあてこすりまで、とにかく斎藤に対する「業界」の評価はあまり高くなかった。

しかし、私は彼の人生を直視した。早実で甲子園の大旗を手にし、早大でも六大学制覇に大学日本一。大学では1、2年のときがよくて、3、4年のときはいまひとつだったけれど、要所の試合は必ずものにしてきた。

■持ち味のないことこそが武器

ということは何を意味するか。取り立てて人をうならす球を持っているわけではない彼がなぜ、無類の勝負強さを発揮し、プロという舞台にまで上ることができたのか。

ひょっとすると彼は、その場その場の状況やレベルに対応する並外れた適応能力を持っているのかもしれない。私はそう考えた。

彼にはおよそ、持ち味というものがない。どの球も並みよりちょっと上という程度の平均的な投手だ。しかし、その持ち味のないことこそが、彼の武器なのではないか。

そう考えたとき、私は斎藤という男の輪郭がおぼろげながらみえてくるような気がした。

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