2018年10月22日(月)

日銀が「柔軟化」に動いた狙いは
清水功哉編集委員に聞く

日経プラス10「フカヨミ」
2018/8/6 10:00
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ニュースを詳しく解説する「フカヨミ」コーナー。日銀が金融緩和政策運営の柔軟化に動いた狙いなどについて、日本経済新聞の清水功哉編集委員に聞きました。

小谷キャスター

小谷キャスター

清水功哉編集委員

清水功哉編集委員


▼ニュースの骨子
 日銀は7月30~31日に開いた金融政策決定会合で金融緩和政策の枠組みの強化を決めた。物価が上がりにくいことを踏まえ、「当分の間、きわめて低い長短金利の水準を維持する」と約束した。ただ緩和長期化の副作用にも配慮し、長期金利の一時的な上振れなどを容認する。

清水編集委員の解説要旨は以下の通りです。

■緩和策の副作用を軽減

「なぜ今、日銀が動いたのか。理由としては展望リポートでも指摘されたように、物価上昇圧力がなかなか強まりそうにない点が一段と明確になったことが挙げられます。2020年度になっても2%の物価目標の達成は難しく、緩和策の長期化が必至となりました。そのためには緩和策の副作用である国債市場の機能低下や金融機関の収益圧迫などを軽減しなければなりません。日銀の巨額な上場投資信託(ETF)購入が株式市場の機能をゆがめているとの指摘もありました。今のうちから副作用を軽くして、今後も緩和策を円滑に手掛けられる環境を整えようと考えたのです」


■景気の先行きに不安「今しかない」

「このタイミングに動いた理由としては、日銀が景気の先行きを心配している点も挙げられます。今回、初めてリスク要因として『保護主義』という言葉を加えました。世界景気は今のところ好調ですが、米中貿易戦争が激化する懸念が強まり、下振れリスクが軽視できなくなっています。リスクが顕在化すれば、国内景気も無傷ではいられません。19年度には消費増税も予定されていますので『景気がいいうちに早めに動かないと政策調整の機会を失う』という危機感が、日銀内に広がっていました。9月の自民党総裁選前という政治的に微妙な時期にもかかわらず、たとえ内容が多少不十分であっても、あえて動いたのです」

「ただし、日銀の狙い通りに副作用を軽減して緩和長期化に備えるという展開になるかは不透明です。長期金利の誘導の柔軟化は金利上昇につながります。投機筋がここに注目すると、円高材料にされる可能性があります。それを避けるために日銀は、極めて低い長短金利の水準を当分の間維持する方針を示しました。この方針通りに政策を運用すれば、柔軟化は進まないかもしれない。いわばジレンマであり、日銀の目的が本当に達成されるかは、不確実だと言わざるを得ません」

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