2018年7月19日(木)

DJターンテーブルがつなげた思い

2011/8/4 22:30
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 津波で流された1台のディスクジョッキー(DJ)用のレコードプレーヤー「DJターンテーブル」に導かれて、2人の男が再会を果たした。宮城県女川町のかまぼこ製造会社の取締役で、地元の経済復興に奔走する高橋正樹さん(36)と、関西を中心に活動するロックバンド「ソウル・フラワー・ユニオン」のリーダー、中川敬さん(45)の2人。阪神大震災時、中川さんの「避難所出前ライブ」に、たまたまボランティアで居合わせた高橋さんは機材運搬などを手伝った。あれから16年、2人の「縁」は「絆」へと変わった。

がれきの中から見つかった「DJターンテーブル」(7月19日)

がれきの中から見つかった「DJターンテーブル」(7月19日)

高橋さんの家業の「高政」は女川町の老舗かまぼこ製造会社。本社工場が町の中心部から離れていたため、いち早く営業を再開した。生産ラインは部分復旧だが、24時間フル稼働で笹かまぼこを製造し、同業者に工場の空きスペースを無償で貸すなどの支援策を次々と打ち出してきた地元復興のシンボル企業だ(7月19日)

高橋さんの家業の「高政」は女川町の老舗かまぼこ製造会社。本社工場が町の中心部から離れていたため、いち早く営業を再開した。生産ラインは部分復旧だが、24時間フル稼働で笹かまぼこを製造し、同業者に工場の空きスペースを無償で貸すなどの支援策を次々と打ち出してきた地元復興のシンボル企業だ(7月19日)

しかし高橋さんの自宅は流された。音楽好きだった高橋さんは、震災前には石巻市内で音楽イベントに参加するなどDJとしての活動も続けてきた。シンセサイザーや音響機器など、これまでコツコツ集めてきた機材を一瞬ですべて無くした(7月19日)

しかし高橋さんの自宅は流された。音楽好きだった高橋さんは、震災前には石巻市内で音楽イベントに参加するなどDJとしての活動も続けてきた。シンセサイザーや音響機器など、これまでコツコツ集めてきた機材を一瞬ですべて無くした(7月19日)

そんな中、4月下旬に女川町を訪れた「ソウル・フラワー・ユニオン」の中川さんがツイッターに投稿した一枚の写真(撮影:中川さん、右)を見て高橋さんは驚いた。「おれのDJターンテーブルだ!」。すぐに連絡を取り合い、一緒に現場へ駆け付けた。中川さんが指差す先に、愛用の機材があった。「水位が上がっていたけど、ずぶぬれで取りにいきました」。宝物が戻ってきた(7月19日)

そんな中、4月下旬に女川町を訪れた「ソウル・フラワー・ユニオン」の中川さんがツイッターに投稿した一枚の写真(撮影:中川さん、右)を見て高橋さんは驚いた。「おれのDJターンテーブルだ!」。すぐに連絡を取り合い、一緒に現場へ駆け付けた。中川さんが指差す先に、愛用の機材があった。「水位が上がっていたけど、ずぶぬれで取りにいきました」。宝物が戻ってきた(7月19日)

こうした縁で被災者を対象にした「女川出前ライブ」が実現した。高橋さんは中学生の時から中川さんの大ファン。大学時代に阪神大震災のボランティアで訪れた避難所で、神戸の「出前ライブ」を一度だけ手伝ったことを鮮明に覚えている(6月21日)

こうした縁で被災者を対象にした「女川出前ライブ」が実現した。高橋さんは中学生の時から中川さんの大ファン。大学時代に阪神大震災のボランティアで訪れた避難所で、神戸の「出前ライブ」を一度だけ手伝ったことを鮮明に覚えている(6月21日)

ライブには出来たての笹かまぼこが観客にふるまわれた(6月21日)

ライブには出来たての笹かまぼこが観客にふるまわれた(6月21日)

兵庫県出身の中川さんは、神戸で延べ250回以上「避難所出前ライブ」を行った経験を持つ。レパートリーは宮城民謡や昭和歌謡などお年寄りが楽しめる内容が中心。懐かしのメロディーに涙ぐむ人は多い。「歌は不思議。その人のいろんな記憶とつながるんやね」と中川さんは話す(6月21日)

兵庫県出身の中川さんは、神戸で延べ250回以上「避難所出前ライブ」を行った経験を持つ。レパートリーは宮城民謡や昭和歌謡などお年寄りが楽しめる内容が中心。懐かしのメロディーに涙ぐむ人は多い。「歌は不思議。その人のいろんな記憶とつながるんやね」と中川さんは話す(6月21日)

必ず歌うオリジナル曲「満月の夕(ゆうべ)」は阪神大震災の出前ライブで産まれた曲だ。高橋さんは「時を超え/国境線から/幾千里のがれきの町に立つ」という歌詞を聞くたびに、津波で亡くなった祖父や仲間たちを思い出す。「この胸の振り子は鳴らす/今を刻むため」。今、復興のためにできることをするために、中川さんと高橋さんのタッグは始まったばかりだ(6月21日、宮城県女川町)=写真 小林健

必ず歌うオリジナル曲「満月の夕(ゆうべ)」は阪神大震災の出前ライブで産まれた曲だ。高橋さんは「時を超え/国境線から/幾千里のがれきの町に立つ」という歌詞を聞くたびに、津波で亡くなった祖父や仲間たちを思い出す。「この胸の振り子は鳴らす/今を刻むため」。今、復興のためにできることをするために、中川さんと高橋さんのタッグは始まったばかりだ(6月21日、宮城県女川町)=写真 小林健

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