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農業と農村はどうすればもっと元気になる?

読者の提案 中家徹・全国農業協同組合中央会会長編

中家会長の提示した「農業と農村はどうすればもっと元気になる?」という課題に対し、多数のご投稿をいただきました。紙面掲載分を含めて、当コーナーでその一部をご紹介します。

ありえない視点プラスし面白く

 吉岡 明日香(主婦、32歳)

今までありえなかったものや事象が交錯することで元気になると思う。「クラブ(DJ)イベント×農業」「夏フェス×農業」「ロボット対決×大自然」「ファッションショー×田舎会場」などといった発想だ。おしゃれや色恋に興味津々な層を「農業体験合コン」に呼び込む。「食」にとくに重きを置いていない層を興味のありそうなイベントと絡めて試食や農業体験、農家民宿体験をさせる。逆に、農家の人たちが小中学校に出向き、授業で児童や生徒から野菜やお米、お菓子などで普段感じていることをヒアリングする。農家の方々がおしゃれな旬の作物の調理を家庭科授業で教えてもよい。普段なかなか関わりがなさそうなテーマで、気軽にできる形で「楽しい」をキーワードに掛け合わせていけば、きっと農業と農村は盛り上がるだろう。

地方特有の知恵 よみがえらせる

 小林 千春(自営・自由業、69歳)

6次産業化の講演を頼まれると、文献調査や現地に出向いて、その地方特有の知恵や食を復元して資料集にまとめて配布してきた。A4で100枚を超えることもある。群馬県吾妻地方に麦飯をふっくら炊く「秘伝」があった。三河地方の豆味噌は味噌玉にわら縄を通してつる。菌を発生させるわら縄が必須だ。栃木県小山の「べんけい」は、囲炉裏の上のわらづとに、焼いた魚を串刺しのまま刺して保存する。乾燥してもさがらないように、串の根元を四角に、先の方を三角に削ってある。豪雪の揖斐川上流には根曲がり材を垂木などにうまく使う技術があった。農村はプレミアムな知恵が無尽蔵に眠り、これを現代によみがえらすことで新たな価値を生む。

義務教育の科目に「農業」の追加を

 鷺谷 亮佑(中央大学商学部1年、18歳)

農業を発展させるためには、農家を公務員化するのも一法だろう。最近の若者が農業に対して関心がないのは「給料が安定しない」「農業に携わる機会があまりない」といった理由があるからだ。ならば農家の公務員化で収入を安定したものにすればおのずと人手は増えていくと思う。また教師になるための専門の授業「教職」が大学にあるように農業にもそういった「農職」なるものを配置し、農家になるのも筆記試験と実技試験を課すことで必然的に農業に携わる機会が生まれると思う。もっといえば義務教育の科目に「農業」を加えれば、より多くの人が農業の魅力に気づくだろう。私は、農業を営むことの不安を取り除くことで農業の楽しさを一層広められ、人手不足解消につながっていくと思う。

【以上が紙面掲載のアイデア】

熟年パワーをうまく使おう

 小渕 眞(会社員、59歳)

農業従事者の悩みは、毎日作物の面倒を見るなど労力がかかるのに、生活維持の為の収入が獲得できない点ではないかと思う。サラリーマン程度の生活維持を目指す20~50代の働き世代は子供の養育費も必要で、日本の小中規模農業では生活の維持ができないと思う。逆に60歳(または65歳)以上の熟年者には、すでに生活を維持できており、生産の喜びや周りの期待に応えるために活躍したい方が大勢いるのではないか。ただ、移住して毎日農業をすることには足踏みをしてしまうという方は多数存在するし、興味があるが、都合が良いときだけ働きたいという要望もあると感じる。そこで農地に出向くスケジュールと農業の行程を管理できれば、熟年者のローテーションで農業を未来継続的に実施することができると思う。分散した小さい農場でも、付加価値を付けることで、競争力も上げられるのではないか。

ブランディングと消費者のポジション変更

 藤村 美緒(会社員、40歳)

消費者対生産者の図式を崩す。消費者を観客にせず、オーナーであり生産補助者の立場にする必要がある。生産地、生産者、生産物のブランディングを柱に消費者の立場を変え、全員が生活習慣的に農業に関わる仕組みを作る。具体的には(1)地域をデザインで魅せ、ストーリーを売り、ファンを獲得する。消費者に「こんな珍しい地域を知っている」という優越感を与える所にする。(2)消費者が生産者をプロデュースし、現地体験し、過程に関わりながら消費する形を作ることで、「私が育てた」という意識で愛着を強めてもらう。(3)駅など地域内の料理人が、大喜利や勝ち抜き形式でライブクッキングをし、町全体で盛り上がりつつ食料廃棄を減らす。ゲーム的な要素にすることで、市民の視点が「より無駄にしないために何ができるか」に注力されるのではないか。

インバウンド事業に応用する

 鳥丸 幹雄(会社員、46歳)

荒廃が進む農地の現状は、増え続ける空き家の問題と似ていると感じる。空き家を利用した訪日外国人向けの民泊が本格化している。それと同様に、農家が手放した農地を外国人観光客の体験の場として提供することを提案する。旅行に求める価値観が日本らしさの体験へとシフトしており、伝統的な農作業体験に関心を示す外国人は多いと思う。私は野菜が大好物で、直売所巡りが趣味の一つだ。将来は栽培も考えているが、知識や体力の面で不安がある。農作業体験は、手軽に参加でき、体力に応じたプログラムの設定といった工夫が必要と思う。国からの交付金給付は、訪問者に対する整備費用に充てられるようにすべきである。その農業体験から、本格的に農業を目指す人材が生み出される可能性もある。新たな人の流れを作ることによって、農村がもっと元気になると考える。

農村で育児

 小片 優菜(中央大学商学部1年、18歳)

私の考えは耕作放棄地を若い人たち、特に若い夫婦に安く売ることだ。さらに農業をやってくれたら育児費の補助をしていけば良いと思う。そして人口増加が見込めるようになったら大きい街などへの交通の便を良くしていくべきだ。これによって、農村の人口そして農家が増えることが期待される。また農家の高齢化、将来の担い手減少の心配に多少は歯止めができると考える。まだあまりお金がない若い夫婦にとって土地を安く購入でき、さらに育児費の補助は魅力的なことだ。ただしそれだけでなく、安心して子育てできるよう保育所施設や学校が身近でなければならない。若い人たちにとって農村は何もなくて生活するのに不便な場所というイメージがある。しかし、農村に大型商業施設を建設することは不可能だ。だから大きな街に簡単にアクセスできるように交通の便を良くして、「何もないから生活するのが大変」という印象を変えていく必要がある。

耕作放棄地が地域活性化の懸け橋に

 藤井 駿(京都橘大学現代ビジネス学部3年、20歳)

耕作放棄地がひと目でわかるマップアプリで、いつでも好きな場所で農業を始められる環境をつくってはどうだろうか。アプリをみれば、場所や栽培適正作物、賃料などの情報が一覧でわかるようにしておく。農業に興味がある若者は増えているが、いざ始めようとしても、都心で農地を借りると2畳程度で数万円する。地方で一から農地を探すのも大変だ。私は実家が米農家。稲作は減反政策によって耕作放棄地が増えた。害獣が荒らす被害が広がるなど問題が多く、耕作放棄地を活性化する対策が必要だ。農地の所有者は、土地と農業の経験をシェアしてはどうだろうか。そうすれば高齢化が進む山村で、新たな交流が生まれる。それに農地を借りる側は安い費用で農業を楽しめ、作物の育て方を所有者に気軽に相談できる。場合によっては良質な環境が整っているというメリットもある。

農業休暇制度の導入を

 重岡 優希(会社員、25歳)

農業を盛り上げるためには、農業に携わる人口を増やすことが必要だ。地方では過疎化によって農業を担う人材の確保が困難になっている。一方、都市で暮らしながらも農業に興味がある人は多い。レンタル農地は抽選制となっており、農業をやってみたくてもできない人がいる。この農業をやってみたくてもできない人々が、日本の農業を盛り上げるための潜在的な人材になる。彼ら・彼女らがその力を発揮するためには、農地に赴く時間が必要である。有給休暇があるが、社会や会社が農業のために休暇を取ることを奨励することが大切だと思い、「農業休暇」と呼んでみた。このような制度があれば、彼ら・彼女らは喜んで農地に赴くのではないだろうか。都市に住む人々が人手不足の農家を助けることで、農業に携わる人口が増え、農業を盛り上げることにつながると思う。さらに、農業を身近なものとすることで、退職後など第二の人生として農家を目指す人の増加も期待できるだろう。

日本の農村を若者たちの国際交流の場に

 三浦 琉暉(中央大学商学部1年、18歳)

海外の青年たちを呼び込むことで、日本の農業と農村を再び元気にすることができると考えている。現在の日本の若者は、農業への関心が強いとは決して言えず、農村の高齢化に歯止めをかけることは非常に難しいと感じている。だが、日本の農業と農村を見捨てるわけにはいかない。また、世界に目を向けると、世界人口は今後も増加し、食糧不足がさらに深刻になると予想されている。そこで、海外の若者を日本農業の担い手として日本に招き、日本の高い農業技術を学んでもらうことを提案する。帰国後に、日本で学んだことを食糧問題の解決に活かしてもらう。また、日本の若者も農村を訪れるようになるだろう。海外に関心のある日本の若者は多く、留学せずに身近な農村で海外の若者との国際交流が可能になるからだ。農村が若返り、農業に興味を持つ日本の若者の増加も期待できる。

農協が経営する保育園を

 渡辺 健一(自営業、47歳)

農業を元気にする為には農産物が安価に取引されないようにすることが重要だ。その要因の一つに外食化、中食などで家庭で調理する機会が減っていることが無視できないと思う。対策として、親世代、子世代の食育がベースとして必要だ。そこで、農協が保育園の経営に乗り出したらどうだろう。食と農が充実した保育園は魅力的ではないかと思う。農協には統廃合の結果、余剰施設が多く見られるため、場所はありそうだ。保育園内で国産や地元の食材を利用し、畑で農業体験をし、保護者世代に食材を販売することも強い需要があるのではないだろうか。保育園不足の社会問題にも役立つ。地元に保育需要が少なければ、離れた都市部に開設したら良いのでは。現状の農協は、葬祭センターやデイサービスなど高齢者には手厚い事業を展開しているが、若年層向けサービスにもっと投資すべきだと思う。

耕作放棄地リノベーション

 赤塚 慎平(会社員、33歳)

目指すは不動産情報サイトの畑バージョンだ。ビッグデータと人工知能(AI)を活用し、既存の農地や耕作放棄地を優、良などにクラス分けし、農地を利用したい人とマッチングする仕組みを作ってはどうだろうか。農地や耕作放棄地を一覧にすることで、それらの土地のポテンシャル(栽培可能作物、収益など)を比較できるようになる。農業に対する知識や経験に乏しい新規就農者でも、農地を選ぶ際の新しい基準が手に入るのが利点だ。既存農家にとっても、所有する農地の格付け結果が明確になるため、土壌改良を進めてよりよい農地にしていこうとするインセンティブが高まるはずだ。取引事例が蓄積され、健全な市場が形成されるようになれば、このところ農業への参入が目立つ企業にとっても参入のハードルがさらに下がると見る。耕作放棄地に新規就農者や企業といった新顔の参入が増えることで、日本の農業はより活力を増すはずだ。

人材派遣による農家の継承

 西村 嘉彦(会社員 46歳)

都会では働きたいが十分な働き場所がないと、嘆く人々がいるのではないだろう? そこで、JAグループが人材派遣の子会社を設立し、そのような人を社員として雇用して農家に派遣するのはどうだろうか。農業の継続に加え、適材であれば、後継者難の農家の継承をスムーズにすることができるのではないか。農家はもうからないというイメージがあるが、会社員なので派遣するJAが月給制を保証する。農家の収益は派遣されている社員の会社がいったん受け取り、本人の習熟度合いなどを査定し、給料も変動させる仕組みだ。将来的にはJAグループの子会社を統合することで、より会社の体力が強くなり、多くの人を全国各地に派遣できるようになるのではないかとも思う。そうすれば、管理費などを大幅に削減できるはずだ。JAグループ内にシステム会社があるので、人材を登録したりする仕組みを作るのもさほど難しくないと見ている。

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