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4期目迎えたプーチン体制の行方は

池田元博上級論説委員に聞く

小谷:18日に行われたロシア大統領選挙で、プーチン大統領が70%を超える圧倒的な得票率で勝利をおさめました。プーチン体制4期目となるロシアの行方を日本経済新聞の池田元博上級論説委員に聞きます。最初の当選からおよそ18年が経過して、なお衰えることを知らないプーチン氏の人気の理由はどこにあるのでしょうか。
小谷キャスター
池田上級論説委員(3月19日放送)

「社会混乱の収拾」と「大国主義」

「プーチン大統領の人気の秘密を解き明かすうえで欠かせないキーワードは2つあると思います。一つは『社会混乱の収拾』。もう一つが『大国主義』です。プーチン大統領が2000年に就任して以降の、プーチン氏の支持率の推移と毎年の経済成長率の推移をグラフで示しました。2000年当時のロシア社会ではソ連崩壊後の混乱の状況が続いていました。そうした中でプーチン大統領が就任すると、ロシア経済は原油の高騰の恩恵を受けます。プーチン政権1期目と2期目、00年~08年にかけてですが、経済成長率は年平均で7%程度に達しました。国家財政も潤い社会も安定。プーチン政権は年金や公務員の給料を大幅にアップしました。プーチン大統領はソ連崩壊後の社会混乱を収拾し、国民の生活を安定させた立役者となり、国民人気を不動のものにしたのです」

小谷:もう一つのキーワード「大国主義」とは、どういうことですか?

「12年以降のプーチン政権第3期ですが、経済は低成長に転じました。15~16年はマイナス成長に陥りました。経済では国民人気をつなぎとめることができないということで、プーチン政権が柱に掲げたのが『強いロシア』、大国ロシア路線だったのです。その象徴が14年のウクライナのクリミア半島の併合です。これによりロシア国民の愛国心に火をつけ、プーチン大統領の支持率が再び急上昇するきっかけとなりました。さらにプーチン氏はシリアへの空爆作戦にも介入して圧倒的な軍事力を披露し、『大国ロシアの復活』というイメージを国民に植え付けたという経緯があります」

小谷:大国ロシアの復権というのは、国際社会との軋轢(あつれき)を生むことにより成立しているようにも感じますが、プーチン政権4期目もこの傾向は続くのでしょうか?

4期目も「強いロシア」

「プーチン大統領は今回の選挙戦では、いわゆる選挙公約を出しませんでした。その代わりに毎年恒例の大統領年次教書を大統領選の直前に行い、その中で『選挙公約』を示しました。その内容を見てみますと、確かに経済面では『1人当たりの国内総生産(GDP)を1.5倍に引き上げる』といった様々な公約をしているのですが、演説で目立ったのは国防、軍事、安全保障に関する部分でした。主に米国の歴代政権が続けてきたミサイル防衛(MD)の世界展開、北大西洋条約機構(NATO)の軍備増強に加え、トランプ政権が打ち出した『核体制の見直し』を相次ぎ批判しました。そしてロシアとしても対抗上やむを得ず、軍備力の特に核戦力の強化に動かなければならない、としました。新しい大陸間弾道ミサイル(ICBM)など、新しい兵器を次々と披露したのです。4期目のプーチン政権は、やはり『大国ロシア』路線を柱に据えるでしょう。こうした強権路線は結局、欧米との対立をさらに先鋭化させるのではないでしょうか」

小谷:日本として気になるのは北方領土問題。16年12月に北方領土での共同経済活動で合意し、昨年9月には5項目の事業を優先的に進めることで合意しました。さらなる進展は期待できそうですか?

日米安保と領土問題

「安倍首相とプーチン大統領はこれまでに20回も会い、5月末にも安倍首相がロシアを訪問する予定です。共同経済活動の具体化が進めばいいのですが、双方の立場の違いから、難しい状況が続いています。プーチン大統領は近年、仮に北方領土を日本に返した場合に、その領土にアメリカの基地ができるのではないか、あるいは、アメリカが進めるミサイル防衛網が構築されるのではないか、と強い懸念を示しています。いわば日米安保と領土問題を絡みあわせ、交渉のハードルを上げているといった状況だと思います。最近は特に対米戦略として、北方領土の軍備力の増強を進めています。領土交渉で突破口を見出すのは、難しいというのが実情だと思います」

番組は日経電子版、テレビ東京ビジネスオンデマンドで配信しています

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