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持続可能な社会には何が必要ですか

読者の提案 尾堂真一・日本特殊陶業会長兼社長編

尾堂社長の提示した「持続可能な社会には何が必要ですか」という課題に対し、多数のご投稿をいただきました。紙面掲載分を含めて、当コーナーでその一部をご紹介します。

製品から原料を生み出す

 野口 裕太(教諭、34歳)

製造業では原料を仕入れ、それを加工し、製品として出荷している。この「原料→製品」は原料が尽きれば、製品も尽きることを意味している。これでは、いずれその製品を作り出すことができなくなり、「持続不可能」な社会を生み出してしまう。そこで製造業であっても、「製品→原料」の取組が欠かせない。直接的に古くなった製品を解体し、そこから原料を回収する方法もあるだろう。また、全く新しく原料を生み出すような取組による方法もあるだろう。いずれの方法であっても、将来世代に限りある資源を受け渡し続けなければ、将来私たちの生活が行き詰まることは容易に予想できる。企業のこのような活動は、消費者や投資家の評価を得て、利益を上げることと同等に重視されている。この流れを日本中の企業に広げていく必要がある。持続可能な社会のためには即効薬はない。地道な私たちの将来を見据えた行動が必要だ。

「売る」から「シェア」への変革

 豊島 佳奈美(天王寺学館高等学校総合学科2年、19歳)

燃料電池車(FCV)、電気自動車……環境問題解決のために開発されたこれらの技術。現状は、高価格やインフラの未整備などが原因で手の届かない存在になっている。果たしてこれで良いのだろうか。優れた技術でもそれが求められている時代に力を発揮できなければ、宝の持ち腐れになってしまう。それを回避するには普及に重点を置いた抜本的な改革が必要だ。そこで私が提案するのは、技術を「売る」のではなく「シェア(共有)する」という発想の転換だ。例えば、最先端のFCVを専用ステーションに配置し、公共交通機関として利用できるようにする。シェアすることで使用する車は削減でき、あらゆるものがつながるIoTを駆使すれば最短経路や目的地への誘導など、エネルギーも減らせる。既存の駐車場を活用すれば全国展開も夢ではない。優れた技術が人々の生活に行き渡る未来…そこに持続可能な社会もあるのではないだろうか。

植物や動物を形づくる素材活用

 市地 福太郎(海陽学園海陽中等教育学校高校1年、16歳)

最近、リサイクル技術の急速な進歩により、物や素材を再利用することが可能になり、また社会的にも広く求められるようになってきた。しかし、完全な物質の再利用は不可能で必ず無駄が出てくる。そうなると、持続可能な社会は作りえないということになってしまう。以上のことを考えると、植物や動物を形づくっている素材を有効利用できるような技術を確立し、人間が工場で生産できるような体制を完成させることが、持続的社会における最終ゴールだと思う。例えば、成長の速い竹を試して工業製品を作ってみたり、貝や昆虫等の持つ硬い部位をどうやって再現・利用できるか考えれば、弁当箱やビニール傘などの素材に活用することができるのではないだろうか。

【以上が紙面掲載のアイデア】

使い切り、元に戻す

 尾崎 ゆみ子(主婦、48歳)

例えば、木を切ったら植える。切った木は植える前の状態、すなわちすべて使い切り、木のない状態になるまでにする。ゴミを出さない。例えば、地中から資源を掘り出したら、掘り出す前の状態に戻す。掘り出したことによって、何かが無くなったり減ったりしてはいけない。掘り出したものは全て使い切る。排気も出さない。何か新しい物を発明したら、それらを全て使い切る。使い捨てではない発想が重要だ。何かを発明するときは、それが使い切れることを見通すのが前提になる。発明品によって暮らしは豊かになっても、それが登場する前の地球と変わってしまうのではいけない。変わっていないか確認しながら前に進む。常に元の状態に戻すことを考えていれば、持続可能な社会になると思う。

プラスチック補完計画

 曽田 昌弘(会社員、38歳)

私事だが、昨年第1子が生まれた。私が生きている間であれば、今と同じライフスタイル、今と同じ資源の使い方をしていても問題ないだろう。だが、生まれたばかりのこの子がこれから生きていく地球と考えると、そうは言っていられない。持続可能な社会、その入り口のエネルギーに関しては、太陽がある限りは人類の知恵が解決すると信じている。しかし、問題は出口すなわち廃棄物にある。プラスチックは非常に便利で文明を大きく発展させたが、廃棄物としては厄介な存在だ。海洋投棄によるマイクロプラスチックが問題になっている通りだ。解決のカギは、土にも海にもかえる生分解プラスチックの開発か、さもなければ天然資源によるプラスチックの領域の補完である。紙など植物を原料とした繊維と、土を原料とした陶器が、それぞれプラスチックの領域を両側から挟むように進化すれば、プラスチックが担っている領域を完全に補完できるようになるのではないだろうか。

株主のためではなく消費者のために

 浜田 周(慶応義塾大学経済学部3年、21歳)

持続可能な社会に必要なものは、消費者のために環境配慮型の商品やサービスを提供するという企業の姿勢である。日本企業では1990年代後半から環境経営が定着し、最近ではESG投資という言葉も注目されている。すなわち「株主のため」に環境に配慮せざるを得ない状況だ。しかし、そのような消極的理由では不十分である。なぜなら、「消費者のため」に環境配慮型の商品を提供するという姿勢でなければ市場は拡大せず、じきに持続不可能な社会に陥ってしまうからだ。企業は多くの場合、コストを理由に環境への配慮を敬遠する。しかし、例えば「住みやすい街」という時、不可欠な要素として「木々の緑」を挙げる人が増えるように、環境へのニーズは高まっている。また、企業にとってコスト面のデメリットばかりではない。環境に配慮した商品をアピールすることで、消費者の支持を集め、企業のブランディングにいかせる。企業はもっと消費者を意識して環境に配慮すべきだ。

海水から電気

 門間 優太朗(海陽学園海陽中等教育学校1年、13歳)

私が持続可能な社会に必要だと思うものは「海水」だ。海は地球全体の約7割を占め、何億年という間、一度もなくなったことがない。その「海水」を使って持続可能な社会を創り出すために、日本ではまだ数が少ない潮力発電所をたくさん造り、潮力発電を行うというのはどうだろか。そこで作られた電気は電気自動車や鉄道、家電など様々な場所に使うことができる。潮力発電は火力発電のように二酸化炭素(CO2)を排出しないので地球温暖化の防止につながる。そして、これからも海水はなくなることがない。「海水」を活用すること、持続可能な社会に必要なことだと私は思う。

全体最適、全体バランス、「フィードバック制御」で築こう

 牛見 靖則(会社員、65歳)

世の中は流行やセンセーショナルな言動に流れやすい。例えば、発電方法では太陽光発電がもてはやされ、風力発電や地熱発電が置き去りにされている。自動車でも電気自動車(EV)の生産計画を声高に宣言するメーカーが多くみられる。物事の本質を見極めて判断し、言動する必要がある。良い面があれば、必ず悪い面があるものである。太陽光発電や風力発電は電力供給が不安定にならざるをえない。地熱発電は自然環境を一部損なうかもしれない。EVもバッテリーの供給能力がある限界値に達し、すべてに取って代わることは現実的でないだろう。発電方法にしろ、自動車社会にしろ、全体最適と全体バランスを第一に考えて「フィードバック制御」を行い、急激にではなく漸進的に変化させていけば、持続可能な社会が築かれるだろう。

自然素材で代用

 谷合 剛(高知工科大学1年、20歳)

現在の主たる交通手段である自動車など、ないと不便になるものの多くは人間がここ何百年かで作り出したものであり、様々な公害や環境破壊を起こしてきた。自然に存在するものをうまく代用できれば持続可能な社会になるだろう。例えば、プラスチックの代わりにセラミックを用いて処分時には粉砕してコンクリートに混ぜ込めば、マイクロプラスチックによる汚染の問題は改善するはずだ。その他、ビニール袋を紙袋に代えたり木造建築を増やしたりすれば、森の管理に人の手が入るようになり、資源の確保につながる。これらの対策だけでも処分が困難な廃棄物を減らし、持続可能な社会を目指すための第一歩となると思う。

「ひま」な時間の必要さ

 鈴木 天陽(海陽学園海陽中等教育学校2年、14歳)

現代の日本社会において「ひま」な時が少ないといわれている。仕事漬けの毎日を送っている人も、その中で得られた貴重な休日で満足している人も多いと思う。古代ローマの役人は、午前は仕事をするが、午後には友人たちとともに話をして「ひま」な時間を過ごしていたという。それを思うと、私は忙しく時間が過ぎる現代社会を生きる人々に明るい未来は訪れるのだろうか、と考える。このままでは、これから先、人々が幸せに生きることができなくなると思う。人々は、少し忙しさから離れて「ひま」な時間に身を置くというのも人生において大切なことだと考える。私は人にはもっと「ひま」な時間が必要だと思う。

考えるきっかけを与える環境整備

 藤井 麻由(神戸学院大学法学部4年、22歳)

私たち人間が生み出したものをエネルギーに変えて、自分たちの生活で消費していけるような持続可能な社会をつくっていくことはできないだろうか。私が考える持続可能な社会に必要なことは、私たちが普段使用するエネルギーに関しても、自立した生活を送れる「環境」づくりである。例えば、今、社会問題にもなっている「食品ロス」。自分たちの食卓で出た食べ残しや、消費期限切れの食品ロスを、家に設置したミニ焼却場で焼却し、それによって発生した二酸化炭素をエネルギーとして、車を走らせたり、家の明かりを灯すことができたりするようになれば、エネルギー版「地産地消」の環境をつくり上げることができ、今よりももっとエネルギーをつくる環境が身近になる。このような環境がまわりにあれば環境問題等について自ら考える機会が増え、より質の高い、持続可能な社会になっていくだろう。

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今回で「世界を変えよう」シリーズは終わりです。4月から新しい未来面が始まります。次期シリーズもよろしくお願いします。

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