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サッカーの興趣をそぐ「シミュレーション」を戒めるには
編集委員 武智幸徳

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2011/5/8 7:00
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サッカーの反則の中で下劣な部類に入ると思えるのが「シミュレーション」である。反則をされた振りをして自分に有利な笛を手に入れようとする浅ましい芝居のことだ。4月27日に行われた欧州チャンピオンズリーグ(CL)準決勝第1戦、レアル・マドリードとFCバルセロナの大一番も、このくだらない芝居の乱発が試合の興趣を著しくそいでしまった。

■ルールブックに存在すること自体が恥辱

シミュレーションという反則はいろいろな点で問題が多いと思っている。

まず、主審を欺くという心のありように品性の貧しさが透けて見えるのが悲しい。「偽装」「擬装」などという名の反則がルールブックの中に存在すること自体、サッカーにとって恥辱以外のなにものでもないだろう。

この反則、濡れ衣(ぬれぎぬ)が結構多いようにも思う。2足歩行する人間は簡単に転ぶ生き物である。分かっている衝突に対しては身構えて対応できても、予期せぬ接触にはそれこそ大の大人でも小石につまずいて転ぶことがある。

人間は自分の身を守るために自ら転ぶことをあえて選んだりもする。ケガを回避するために、変な手の付き方をするくらいなら飛んで転んでしまった方が受け身をとりやすいからだ。

■大きな分水嶺に

転ぶという行為にはそういう微妙なニュアンスがいろいろ含まれるのに、ペナルティーエリア内でボールから離れて倒れると「PKをもらいにいった偽装工作」として(一律とまではいわないが)罰せられるようになってしまった。

そしてなにより、シミュレーションの一番の怖さは、罪のない人間を陥れることができることである。CL準決勝第1戦もシミュレーションが試合の大きな分水嶺(ぶんすいれい)になったという見方もできよう。

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