2019年8月19日(月)

被災地ボランティア、連休混乱の裏側
ニーズは無数、「社協」の限界

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2011/5/9 7:00
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「末広町方面、泥のかき出し、あと2名空いています!」「クルマある方いませんか~?」……。

連休の朝、石巻専修大学5号館付近はボランティア希望者でごった返していた

連休の朝、石巻専修大学5号館付近はボランティア希望者でごった返していた

宮城県石巻市の北部に位置し、東京ドーム9個分と広大な敷地を有する石巻専修大学のキャンパス。ゴールデンウイーク(GW)2目日となる4月30日の朝8時過ぎ、その5号館付近に設けられた災害ボランティアセンターの前に数百人のボランティア希望者が参集し、スタッフが次々と仕事先へ振り分けていた。ボランティアから「ボラセン」と呼ばれ親しまれている拠点だ。

ボランティアの登録を受け付けているテントに目をやると、なぜか「新規」の案内がある。事前に「4月29日から5月8日まで個人・団体ともに新規ボランティアの受け入れを中止する」と説明していたはずだ。受付のスタッフに聞くと、「せっかく来てもらったのに、帰すわけにはいかなくて……」との答え。何事もなかったかのように、淡々と登録作業を進めていた。

新規登録を済ませたばかりの、神奈川県相模原市から来たというIT関連企業勤務の岩田励二さん(43)はこう話す。「役に立ちたいと思っていたが、仕事の都合もあり、連休中の今日と明日の午前中しか活動できない。行ってみないと分からないので、来てみた」

■受け入れ中止のはずが・・・

東日本大震災から1カ月半。大型連休に突入し、ボランティア熱が沸点に達した。ところが、その熱を冷ますかのように、各地の災害ボラセンは「受け入れ困難」のメッセージを発信した。石巻だけでなく、沿岸部の約30市町村に設置されたボラセンのうち約8割が連休前の段階で県外からの受け入れを中止。これを受けて新聞やテレビは「連休利用ボランティアお断り」「東北3県『供給過剰』」といった見出しで報じた。

グラウンドをボランティアに開放している石巻専修大学には、数百のテントが立ち並ぶ

グラウンドをボランティアに開放している石巻専修大学には、数百のテントが立ち並ぶ

だが、そうした情報を知らずに、あるいは、あえて訪れる人が後を絶たず、各地のボラセンは対応に追われた。最も多くのボランティアが集まった石巻では、連休初日の29日に前日の2.5倍にあたる772人、翌30日には945人の新規登録があった。

宮城県南三陸町の災害ボラセンのように連休に入って新規の受け入れを再開したところもある。受け入れ中止の事前告知で「殺到」が避けられた一方、急きょ新たな仕事が舞い込み、人手が足りなくなったからだ。その後、5月1日には受け入れ中止を再度、告知した。気仙沼市の災害ボラセンは連休終盤の5月5日に受け入れ再開を決め、6~8日は仙台駅から気仙沼市までの無料バスを用意するなど、一転、ボランティア集めに奔走した。

混乱の様相を呈する被災地ボランティアの現場。しかし、この連休を通して混乱なく、受け入れを続けていたボラセンもある。救いを求める声は、連休中も星の数ほどあった。

■避難所に根を下ろす「勝手ボラセン」は受け入れ継続

石巻市立湊小学校の裏手にある墓地には今も流されたクルマが残る

石巻市立湊小学校の裏手にある墓地には今も流されたクルマが残る

石巻専修大学から南に5キロメートル下った場所、女川町方面に抜ける道路沿いに、旧北上川を遡上した津波が1階部分を打ち抜いた石巻市立湊小学校がある。連休が明けた今も約240人の避難者が寝泊まりし、周辺の自宅避難者300人以上の物資補給拠点にもなっている。周囲はガレキや汚泥が手つかずで残る場所が多く、自衛隊の車両やトラックが通るたびに土ぼこりが舞う。学校の裏手の墓園では流されて来たクルマが無残な姿をさらしたままだ。

ここに毎日、夕方になると、周囲の家屋で汚泥やガレキの撤去を手伝ったボランティアが泥だらけになって帰って来る。皆、校舎入り口付近に設けられた「湊小ボランティアセンター」から周辺の被害を受けた家屋に派遣された人たちだ。この湊小ボラセンの運営を続けている災害支援団体「チーム神戸」の金田真須美代表(52)は、こう言う。

「うちのボラセンでは連休中でも一般のボランティアをバンバン受け入れていましたよ。ここには仕事はいくらでもある。ボランティアが余るということはない。受け入れ中止なんて、とんでもない。本当にもったいないと思う」

金田代表をはじめ、阪神大震災以降、災害支援の経験が豊富なチーム神戸の面々が湊小で支援活動を始めたのは3月18日のことだった。あまりの惨状に「ボランティアの手がいくらあっても足りない」と判断した金田代表は4月頭にボラセンを立ち上げ、湊小避難所の運営者や、同じく湊小で長期的な支援に携わるNPO(非営利組織)やNGO(非政府組織)などと連携しながら、運営を続けている。

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