2018年6月20日(水)

米アマゾン、強さの源泉はどこに
田中陽編集委員に聞く

日経プラス10「フカヨミ」
2018/3/5 10:00
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小谷:米国のネット通販大手、アマゾン・ドット・コムが快進撃を続けています。アマゾンが今月初めに発表した2017年の売上高は1年前と比べおよそ30%増えました。時価総額は今月中旬に約75兆円となり、マイクロソフトを抜いて世界3位に浮上しました。アマゾンの強さはどこにあるのでしょうか。日本経済新聞の田中陽編集委員に聞きます。まず、先ほどニュースでもお伝えしましたが、アマゾンが日本の食品や日用品メーカーに対して、販売した金額の一部を協力金という形で支払いを求めているということですが、どういう意味があるのでしょうか。

小谷キャスター

小谷キャスター

田中氏(2月27日放送)

田中氏(2月27日放送)


■メーカーにとって無視できない存在に

 「アマゾンが取引先に対して強力なプレッシャーをかけているように思える話ですが、実は今までアマゾンは色々な商品を取りそろえるために、これまでメーカーに対しては緩い条件で取り引きをしてきました。そして急速に売り上げを伸ばし、メーカーにとってはアマゾンが無視できない存在になってきました。そのタイミングで1~5%ぐらい協力金を求めるという話です。スーパーとメーカーとの取引でも販売協力金や協賛金などがありますが、現状ですと販売金額の1%前後といわれています。5%は若干多いという印象です」


小谷:アマゾンの強さの秘密はどこにあるのでしょうか?

 「小売業で世界最大手のウォルマートと比較しますと、ウォルマートの売上高は53兆円で、アマゾンは19兆円。営業利益をみてもアマゾンはウォルマートの5分の1程度にとどまります。ただ時価総額は約79兆円に達し、ウォルマートの2.7倍です。時価総額の大きさは、アマゾンに対する成長への期待の高さだと思います。アマゾンの事業に『AWS』というのがあります。『アマゾンウェブサービス』のことで、自社のオンライン上でのノウハウを生かし、第三者にも高品質のサービスを提供する事業です。具体的にはサーバーの提供やデータベースの分析などのサービスがあります。アマゾンの売上高の大半は通販事業が占めるのですが、営業利益でみると通販は赤字で、AWSで稼いでいるのです」

小谷:なぜアマゾンは、利益が少ない事業に力を入れるのでしょうか?

■小売りではなく、データでもうける

 「小売り事業というのは色々なデータが取れるからです。いつ、だれが、どういう所で何を買ったか。消費者行動はビッグデータの塊なのです。それを人工知能(AI)と組み合わせて新たなサービスにつなげる。データを蓄積するために小売りをやっているようなもので、もうける優先順位は低いのです。先ほどのニュースで販売協力金の支払いを求めるということでしたが、恐らく値下げの原資として使うのではないでしょうか」

小谷:アマゾンの次の一手というのも知りたくなりますね。

■「留守宅」克服し新サービス

 「おそらくアマゾンは自前で物流網を築こうとしています。そこで問題となるのが、配達時に留守の家が多いことです。この問題を解決しようと昨年11月、『アマゾン・キー』の導入を発表しました。無線で鍵を開けるスマートキーと、自宅にクラウドカメラのセットを購入し取り付けます。家が留守の場合、配達員が荷物のバーコードをスキャンすると自動的に1回だけ鍵が開き、荷物を玄関の中に入れることができます。鍵が解除されるとカメラで配達員を動画で撮影しますので、セキュリティー効果を高めるともいえます」

小谷:自宅の鍵をアマゾンの鍵に付け替えればサービスを受けることができるのですか?

 「そうです。アマゾン・キーが普及すると単に届けるだけではなく、新たなサービスが考えられます。例えば不在時のハウスクリーニングをアマゾン経由で依頼したり、旅行中のペットの世話を頼んだりするようなイメージです。今後、アマゾンは様々な自宅向けサービスを付け加えていくでしょう。アマゾンが創り出す新しい世界に、日本企業がどう対応するのか注目しています

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